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2008年5月28日 (水)

監査役交代が内部統制に及ぼすインパクト

日本ハウズイング社と原弘産社における株主名簿閲覧拒否仮処分事件の東京地裁決定につきましては、昨日の日経法務インサイドで少しだけ骨子が掲載されておりましたが、結論からみて、保全の必要性がない(原弘産ホームページにて自らの主張を株主に訴えかけることが可能、法定開示書類によって議決権ベースで65%程度の株主が判明している、日本ハウズイング側が株主に発送する参考書類に提案全文を掲載予定であることなどが理由)とのことで、原弘産側の閲覧請求が認められなかったようです。(ただし即時抗告あり)ただ、本日(5月27日)日本ハウズイング社の大株主(株式会社カテリーナ・イノウエ。日本ハウズイングの創業者による資産管理会社だそうです)より、双方に対して公開質問状が届いたようで、その中身を拝見いたしますと、これがかなりおもしろい内容です。とりわけこの質問状では、株主名簿閲覧拒否事件に絡んで、昨日の法務インサイドの記事にも言及されており、日本ハウズイング社に対しては、正々堂々と株主名簿を公開するよう要求しており、もし拒否するのであれば、その理由を説明するように求めています。他の質問内容も、委任状争奪戦を前にした株主からの質問として非常に参考になるところであり、私的には(こういった質問状が出てくる背景にはいろいろなご事情があるとは拝察いたしますが)ぜひとも、この公開質問状に対する真摯なご回答を両社にいただき、勉強させていただきたいと切に願っております。

さて、本日ある研究会の席上で、小耳にはさんだお話ですが、某会社の監査役が任期満了目前の時期に、諸般の都合によって辞任をされた、ということで、適時開示もされたのでありますが、これを知った監査法人の担当者から某会社に連絡が入り、「監査役辞任後の貴社の内部統制が有効であることの証明書を差し入れてほしい」と言われたそうで、会社も顧問弁護士さんもたいそうビックリしたそうであります。私もその開示情報は読んでおりましたが、その辞任理由は、やむをえず任期満了前に辞任せざるをえない正当な理由が読み取れるわけでして、とくに不穏な空気が会社内に漂っていることを予感させるようなものではありませんでした。したがって、私も「内部統制の有効性証明宣誓書の差し入れ」というのも少し驚いた次第です。ひょっとすると、任期を残して監査役が辞任する場合のマニュアルとして、こういった有効性証明書を出させるのが、最近の傾向になってきているのでしょうか?そもそも、いったい誰がそんな内部統制に関する有効性を判断できるのか、また有効であることを証明できるのか、ちょっとよくわかりませんが、こういった慣行があるとすると、監査役もずいぶんと辞めるのにプレッシャーがかかりますよね。。。だいたい、監査役辞任のお知らせには、辞任理由として「一身上の都合により」とか「諸事情により」といった簡単な理由が付されているだけでありますが、監査役が辞任することが会社の不穏な空気を想像させるものであるならば、もう少し「不穏な辞め方なのか」、「平穏に辞めたのか」想像がつく程度の理由が必要になるのかもしれません。以前にもエントリーのなかで少し述べましたが、監査役の任期は(上場会社の場合)4年ということで非常に長いものですから、とりわけ社外監査役(非常勤)のように他の仕事を兼任しているような方でしたら、本業の関係で途中辞任しなければならないケースもけっこう多いと思います。また、年齢的なところからくる「健康上の理由」もあるでしょう。したがいまして、監査役の(任期半ばにおける)辞任というのは、本当に「不穏な理由」と「平穏な理由」がけっこう数の上では拮抗しているのではないでしょうか。(もちろん、そんな統計結果などあるはずないでしょうが)

「社内に不穏な空気が流れているのかどうか」ということだけでなく、モニタリングの重要な役割を担う監査役がいなくなったこと自体が、内部統制の有効性に影響を与える場合もあるかもしれませんので、一概には申し上げられませんが、内部統制の有効性評価にあたって、監査役の社内における行動が参考とされるのが一般的ということであれば、少しずつ会社制度における監査役監査の地位も向上するのかもしれませんね。

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