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2008年6月 7日 (土)

「社外監査役の乱」を冷静に考える

金曜日の夜はほとんど更新をお休みしておりますが、きょうは「野村證券の事実調査報告と再発防止策の公表」や「テレビ朝日、朝日新聞の株式相互保有」、「三輪そうめん偽装表示」などなど、エントリーとして書きたい出来事がたくさんありました。しかしなんといいましても、当ブログにお越しの皆様であれば、「きっとエントリーするにちがいない」と予想しておられるとおり、「社外監査役の乱」について、とりいそぎ速報版としてエントリーしておきたいと思います。

荏原、前期決算承認を株主総会議案に、監査役の一人が承認せず(日経ニュース)

「決議事項に関するお知らせ」(荏原製作所IRリリースより)

荏原製作所には5名の監査役がいらっしゃいますが(常勤2名、非常勤社外3名)、その監査役会の監査報告書によると、事業報告の監査結果は「相当と認める」ものであり、計算書類についても、連結・単体とも監査法人の監査を「相当と認める」ものとされております。しかしながら、会社法施行規則130条2項に基づき、監査役と監査役会との監査意見が異なる場合の「付記事由」が記載されており、監査役O氏が以下のとおり、相当とは認められない理由を述べておられます。

「コンプライアンス上重大な疑義があるので、本事業報告を承認しない<その理由>元経営幹部による会社資金の不正支出に対する、取締役および取締役会の調査は不十分であり、当職は会社法381条に基づき、本件に関する調査を実施したが、取締役は調査に必要な情報の開示を行わず、当職が要求した関係者に対するヒヤリングにも対応していない。したがって取締役の職務執行に関し、法令に違反し又はその疑いがあると認められる。また、本件に係る調査報告書には、経理帳簿の虚偽記載を疑わせる記載があり、本事業報告は承認できない」

会計監査人設置会社の場合、監査役(監査役会)が計算書類に対する会計監査人の適法意見に同意する場合には、計算書類に対する株主総会での承認決議は不要でありますが(会社法439条、会社計算規則163条)、監査役(監査役会)が異議を述べる場合には、原則(438条)に立ち返って総会の承認決議を要するものであります。なお、監査役は独任制の機関ですので、監査役会とは別に、たとえ一人でも異議を述べた場合には計算書類には承認を要するものとなります。また、本件では社外監査役であるO氏は、「事業報告については承認できない」と説明されておられますので、計算書類についてはどうなんだろうか?と若干疑問も生じるところでありますが、会社側としてはO氏が「経理帳簿の虚偽記載」を問題とされているようですので、やはり「計算書類についても同意できないもの」と厳格に と同様に解釈しているようであります。また、社外監査役O氏が理由として述べているところが事実であれば、会社法上の内部統制システムの構築上の瑕疵(内部統制システムの基本方針決議の内容として、監査役への報告体制の整備が掲げられております)も問題になってこようかと思われます。

ところで、この社外監査役のO氏は、元警視庁公安部長、元内閣情報調査室長、現ライブドア監査役でいらっしゃる方で、この1年の荏原製作所の取締役会出席率、監査役会出席率をみましても、とてもまじめに出席されていらっしゃるようです。また、他の社外監査役さん方も、みなさまご承知の錚々たるメンバーの方々、そして実際に社内調査を担当した3名の弁護士さん方も、コンプライアンスで著名な先生方、また再発防止委員会の外部委員の方々もしかり・・・・・  ということで、とても「社外監査役の乱」などと、面白おかしくエントリーできそうな雰囲気ではありませんので、続編につきましても、冷静に問題点を分析していきたいと思っております。果たして総会当日、どういったことになるのでしょうか?株主さん方からの質問に対して、O氏はどのように説明されるのでしょうか?また、会計監査人は出席して自らの調査内容を説明されるのでしょうか?(とりあえず、つづく・・・)

PS ところで、(話は変わりますが)野村證券の報告書において、インサイダー取引をやってしまう社員は断然29歳から31歳くらいに集中している・・・なる報告は、スゴイなぁ(^^;;  「アラフォー」ならぬ「アラサー」ということなんでしょうか。

6月 7, 2008 監査役の理想と現実 |

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コメント

こんにちは
この監査役の方、NECの専務も歴任されたのですね。なんと言うか、歴戦の修羅場だらけのご経歴で。
荏原だけでなく、確かIHIも同様なのですが、長期工事系の決算企業ってこういうの発生しやすいですね。
「いいたいことはあるが規定上言えない。詳細は監査報告書に全て付記した」と日経新聞にコメントされていますが、総会だと言える(言う義務がある)のでしょうか。
いずれにせよ事実が開示されるようなことになるのか、うやむやになってしまうような法律なのかという点お分かりでしたらご教示ください。
PS
カテリーナさん、動きましたね。

投稿: katsu | 2008年6月 7日 (土) 18時21分

ついさっき、日経ニュースで原弘産の(日本ハウズイング株主向け)説明会の様子を知りましたが、ホントびっくりしました。
ニュース内容からみて、ちょっと誤解を招きかねないので、今後「カテリーナ・ヤマグチ」はジョークとして使用するのは差し控えようと思いました(笑)

投稿: toshi | 2008年6月 7日 (土) 19時42分

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