IR型株主総会の議事運営について
株主総会では8割の個人株主が議決権行使を検討している、との日経ニュースが出ておりましたが、本日(6月17日)関西ではIR型株主総会を開催する企業として有名な某上場会社の定時株主総会に参加させていただきました。この会社の総会は初めて出席いたしましたが、いや、スゴイ株主さんの数です。報告事項の質疑応答の際にはおそらく株主、来賓合わせて1000人を超えていたはずです。仮面ライダーの主題歌とか歌ってそうなプロの歌手の声に合わせて、出席者一同「社歌」を唄うところから始まる総会なんです(^^;;ちなみに、私はこの会社の役員に選任されたものでも、なんでもありません。念のため・・・・
まずは昨年新聞やニュースで大きく報じられた不祥事に対する社長の謝罪から始まり、その再発防止策を大型プロジェクトでビジュアル化するのはお見事!!やっぱり、ただ防止策を活字にするだけでなく、社内でどのように実現しているかを、ビデオ等で説明することは株主さまに安心感を抱かせます。他部門が前年並みの売り上げのなかで、不祥事発生部門だけが20%の売り上げ減・・・・・、やっぱり不祥事が報道されるのは怖いです。あと、プロジェクターに「召集通知をご覧ください」と出ていた(本当は「招集通知」ですが)のがやけに気になりました。。。「召集」だと会社と株主の立場が逆転するので、間違いはタブーのはずですが。
IR型総会の場合、役員のパフォーマンスも重要なんですね。「部門報告」が各担当役員から行われましたが、会場から拍手が沸き起こったのはわずか2名の役員さんのみでした。そのうちのお一人は、「棒読み」報告が多いなか、ペーパーをまったく読まずに、会場の株主様のほうを向いて、堂々と報告された子会社代表者の方でした。(日本を代表する某企業のご出身とか)ペーパーのない報告は見ていて本当に美しい。そしてもうお一人は日本初の女性の鉄道会社社長(子会社代表者。若い!エド・はるみさんに似てる!)さんでした。(こちらは話題性かも)総務部の方々にとっては、たいへんかもしれませんが、役員さんの演出もこういった総会では気になるところですね。
そしてなんといいましても、株主さんのお目当ては総会終了後のイベントですね。実際のところ、決議なんてどうでもよくて、このイベントのためだけにやってきた、といっても過言ではない株主様がどれほど多いか(笑)まあ、会社側としては、個人株主さまを増やすための施策といいますか、ほとんど広報活動ですね。いやいや、株主総会の常識をくつがえすような異次元を見せていただきました。
ところで、ひとつ気になったのが総会の議事運営に関してであります。この会社の総会は報告事項→決議事項→報告事項の質疑応答といった流れでありますが、私は報告事項→報告事項の質疑応答→決議事項の流れのほうが出席株主が多数の場合は適切ではないかと思います。といいますのは①どうしても素人株主さんが多いので、議案に関係のない質問が飛び交い、決議事項の進行に時間がかかる、こういった質問や要望は、先に報告事項の質疑応答のなかでくみとって、決議のために本当に必要な質問だけで採決に臨むほうがいい、②IR型総会の場合、定刻どおりには株主が会場に現れず、後半になって増えるので、最後のほうで総会の決議をとったほうが株主さまにも喜ばれる、③おそらく決議事項を先に行うのは、他の総会にも出席予定の株主さまへの配慮かと思われますが、私が見たところイベント目的で来られた方が多く、こういった総会では腰を据えてやってきた株主さまが多いのではないかと思われる、④イベントに近い段階で決議をとったほうが、株主さまを「早く終わりたいな」といった気分にさせる(これはあくまでも会社サイドからの政策的意見でありますが)といったところからであります。
しかし、こういった株主総会の姿もあるんですね。(勉強になりました)
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