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2008年9月 4日 (木)

会計制度監視機構~公正なる会計慣行とは~第1回会合

「死刑判決」と聞いてネタにするのは非常に不謹慎かとは思いますが、「妻82人と3日以内に離婚しなければ死刑」という判決をナイジェリアの男性(84歳)が受けたそうであります。(朝日ニュースはこちら)妻は4人まで、とするイスラムの教えが司法の判断基準とされるのもスゴイですが、「コーランには5人以上の妻を持つ場合のペナルティが書いていない」なる抗弁を持ち出すところもルールベースの規制の間隙を突く日本の市場規制をみるようでスゴイです。私がもっとも心配するのは、本当に82人の女性との間で3日以内に離婚できるのだろうか・・・ということ。ハンコをもらうにも、そのうち何名かは所在不明ということもあるでしょうし、絶対に条件成就は困難ではないでしょうか。ちなみに私はたとえ4人であっても、「平等に接する」なる条件が付されるだけで、たぶん命を落とすと思います。なお、この男性は判決後、法廷を後にするとき、裁判長にこう言ったそうです。

「私はあなたとはちがう。」・・・・・・(最後の文章だけ作り話です)

さて、経済産業省に隣接している大同生命霞が関ビルにて、朝から会計制度監視機構の新たな研究会に参加してまいりました。先日の長銀事件最高裁判決をはじめ、これまで「会計基準」の解釈が問題となった裁判例などをもとに「公正なる会計慣行」の中身を検証し、改めて「公正なる会計慣行とは何か」を問い直すことで法と会計基準との調和(調和がむずかしいとすれば、よりよい併存状態?)を提言するのが主たる目的であります。メンバーは23名で、機構の委員の方に加えて企業会計審議会や企業会計基準委員会の委員の方々や、財界の方々、市場関係者の皆様、会計専門職の方々、(私を除き)著名な弁護士の皆様ということで、なぜ私がここに座っているのかはよくわかりません(^^;まァ、あんまり深く考えないで、せっかくの機会ですからじっくりと勉強させていただこうかと思っています。

本日の会合では、私も偉そうにこの研究会で議論いただきたいことを述べさせていただきましたが、おそらく今後この研究会で中心論点となりますのは(あくまでも私の予想ですが)①企業会計問題を司法はどのように裁くのが適正なのか、②金融商品取引法、会社法は、今後国際財務報告基準をどのように受け入れていくのか(これまでの「公正なる会計慣行」の基準をもって、はたして国際会計基準を受け入れていくことは可能なのか)、③プリンシプルベース、将来価値(見積もり、収益予想)へと進む会計基準の流れと法規範性、④その他、といったあたりかと思われます。私的にはどれも実に興味深く、関心の高い項目であります。取り扱われるべき論点は今後の法と会計の接点をどのように考えるか・・・・というものでありますが、この問題を真剣に検討するためには、まず法と会計の両方の立場から、戦後「会計の法規範性」をどのように考えてきたのか、といった歴史を、企業会計原則の変遷とともにきちんと押さえる必要がありそうです。また、国際会計基準と会計慣行の問題を考えるにあたっても、過去の英米系、大陸系の会計基準の浸透度に関する知識が必要だと認識いたしました。

長銀事件判決だけでなく、ライブドア事件判決なども視野に入れながら、企業社会に対して実益のある提言がなされればいいですね。なお、上記23名のメンバーには当然、法律、会計の学者の方もいらっしゃいまして、次回研究会では、(はじめてお目にかかる)弥永教授の「公正なる会計慣行」に関するご解説を拝聴する予定であります。(おそらく長銀最高裁判決に関する評釈が中心になるのではないかと。)

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