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2008年9月13日 (土)

レックスHD株式価格決定申立事件(高裁)逆転判決(速報版)

すごい決定が出ましたね。(三尊さん、おめでとうございます。私は2年前、ずいぶんと三尊さんを怒らせてしまいましたが、このような難しい裁判に実質勝訴されたことにつき、代理人の先生方を含め、素直に皆様方の功績に称賛をおくりたいと思います。もちろん、まだこれで終わったわけではないと思いますが・・・)MBOにおける商事非訟事件におきまして、専門家による高額の鑑定なしで、少数株主が実質的に勝訴した意義は非常に大きいものと思われます。いやホント、ビックリしました。

日経ニュースでも報道されているとおり、本日(9月12日)東京高等裁判所におきまして、旧レックス・ホールディングスのMBO(正確にはTOB価格)に最後まで反対されておられた約120名の株主の皆様方の一株あたりの買取価格を33万6966円とする決定が出されました。(ちなみに、原審東京地裁決定では昨年12月19日に一株あたり23万円とする決定が出ております)決定全文は、コメント欄で株主の会代表でいらっしゃる山口三尊氏が紹介されているHPにてご覧になれます。(私もすぐに全文を入手しました)

午後11時まで仕事をしておりましたので、まだ全文をきちんと読めておりませんが、ざっと読ませていただいたかぎりでは、東京地裁決定を完全に覆す決定理由ですね。おそらく少数株主の皆様が、当初より主張されていた内容にほぼ沿った形での判断過程をたどっているのではないでしょうか。おそらくこの決定につきましては、今後いろいろな法律雑誌で高名な先生方が解説を書かれることになるでしょうから、拙ブログで偉そうに感想を述べることも差し控えさせていただきますが、MBOの利益相反構造について、これほどまでに主張立証責任や、裁判所が斟酌すべき平均株価の算定期間の選択との関係で、真正面から採りあげた裁判例はなかったと思います。さらに、東京地裁が23万円を合理的な株価とした判断理由の大きなところ(多くの株主がTOBに応じたから、たぶん合理的な価格である、とする理由と、ほかにTOBをしてくるような会社が出てこなかったから、たぶん合理的な価格であるとする理由)をことごとく否定しているのは、少数株主側からみて痛快でしょうね。今後、「株式非公開化としてのMBO」を検討している上場企業にとっても、いろいろな行動指針を提供している点も高く評価されるのではないでしょうか。(この点はじっくり読んでみるとおもしろそうですね)

最後にどうしても触れておかねばならないのは、昨日のエントリーでも少し書きましたが、企業価値研究会の「MBO報告書」の裁判に及ぼす影響であります。東京地裁決定では、レックス側に有利に引用されておりましたが、この東京高裁決定では、逆に少数株主側にかなり有利に引用されております。ともかく、経産省企業価値研究会の策定する実務指針の司法判断に及ぼす影響については、これを別途研究する必要があるんじゃないでしょうか。(また、連休中にでも、じっくり全文を読ませていただこうかと思っておりますが、本日は速報版にて失礼いたします)

9月 13, 2008 レックスHDのMBOと少数株主保護 |

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コメント

はじめまして。ある大学で商事法を学んでいる者です。(ローの合格率にはガックリきてしまいました)いつも勉強させていただいております。

全文がすぐに読めることに驚きました。関係者の方に感謝いたします。私も東京高裁決定の内容には驚きました。こういった決定は学者と実務家による検討会など開催されるといいですね。

ちなみに山口先生が触れておられる「企業価値研究会」の裁判に及ぼす影響度ですが、商事非訟事件と訴訟事件とでは区別して検討するのも一考かと思いました。なぜ株式買取請求権に関わる紛争が非訟事件なのか、という点もあるわけですが、非訟事件の場合には裁判所の裁量範囲が広いのが特徴ですから、わりと気楽に(?)経産省の研究会を採りあげることも可能ではないかと思います。なので買収防衛策の適法性が問題となる場面でも、買取請求の場面と(裁判への影響力を)同一に考えていいかどうかも、すこし検討の余地があるように思いました。(思いつきですが)
長々と失礼しました。

投稿: 関西の商事法研究員 | 2008年9月13日 (土) 11時51分

コメント欄で株主の会代表でいらっしゃる山口三尊氏が紹介されているHPはこちらです。http://www.geocities.jp/kanebou1620/index.html

この件に関しては、言いたいことは(関心のあることは、という意味です)山ほどあるのですが、あくまでビジネス法務の部屋、ですので、自粛しております。
しかし、トシアキ先生も関西の商事法研究員さんも関心を持っていますので「企業価値研究会」などの「実務家等による研究会」について述べさせていただきます。

決定文を見ていただくと分かるのですが、レックス側の代理人に大石弁護士がいらっしゃいます。この方は、企業価値研究会のタスクフォースのメンバーとして、参加しています。
その他、特に弁護士として参加している方は、ほとんどが、ファンド側の代理人、又は、ファンドを顧客とする法律事務所に勤務する弁護士です。
法律事務所の寡占化傾向から、やむをえないのかも知れませんが、「専門家による研究会」の人選が、極めて偏っていることは否定できません。
利害関係があるから、必ず不公正な行動をすると決め付けるつもりはりませんが、一方の利害関係人のみが参加する研究会の中立性には、大いに疑問を持っています。

経済産業省による「MBO指針」の内容は、少数株主に極めて不利なものであり、実質的には、「MBO奨励指針」であるというのが、私の認識です。(このあたりは、ホームページにあります、経済産業省に送付した意見書などにも書いています。)
正直、あのMBO指針が、東京地裁の判断に影響を与えた可能性は否定できないと思います。
言葉を慎まずに申し上げるなら、・・・(削除)・・・・であるとさえ、言いうるのではないかと考えています。

言いたいことは山ほどありますが、ここが「高尚な学問的議論をする場」であることはわきまえているつもりですので、問題提起に留めさせていただきます。

あと、別にトシアキ先生に怒ったことはありませんよ。~〔笑〕。
ただ、S社の件で大阪に行くことになると思うので、トシアキ先生にご馳走になりたいとは思っております。〔笑〕。では。

投稿: 山口三尊 | 2008年9月13日 (土) 13時07分

商事法研究員さん、はじめまして。いつもブログをご覧いただきありがとうございます。そうですよね。ご専門家の方から見ても、かなり衝撃的な内容ですよね。会社側が株主に対して情報開示を行うことのインセンティブをどう考えるべきか、けっこう考えさせられるところではないでしょうか。(このあたり、またご意見いただけましたら幸いです)

三尊さん、ゴメンなさい、二点ほどコメントを修正させていただきました。(修正の趣旨は、①ここまでズバッと言われますと、ほかの方がコメントしづらくなってしまう、②その固有の会社名を出されますと、大阪は「村社会」なもので、私自身がコメントしづらくなってしまう、ということです。他意はございません。もちろん、大阪にお越しの折にはささやかながら小宴を催させていただきます。)コメント内容については、私も非常に興味がありますので、別途エントリーとしてアップさせていただきます。

投稿: toshi | 2008年9月13日 (土) 14時44分

了解です~
全然大丈夫ですよ~
トシアキ先生、メール送りましたのでご覧下さい。

投稿: 山口三尊 | 2008年9月14日 (日) 01時07分

この判決は当時の株主には非常に腹立たしい内容です。23万で売れとの通知を受け、反対しても会社が強制的に買い取るとの内容でした。その上代金は1か月後でないと受けてられないとのことで市場で売却した株主が多かった(私もその一人ですが)が買取価格がこの判決のように33万6966円であれば当然会社側に買取請求したでしょう。このような判決が出た以上23万で強制的に買取の通知により不利益を被った当時の株主に対する救済はないのでしょうか?会社側に損害請求の道は無いのでしょうか?

投稿: unknown | 2008年9月14日 (日) 17時02分

なるほど、たしかにTOBに応じた多数の株主側からすれば、たしかにunknownさんのようなご意見もありますね。(これはムズカシイですね)
会社側に損害賠償というよりも、23万円のAP8から提示されたTOB価格について、これに賛同した取締役の善管注意義務違反を問う、ということでしょうか?こういった決定が出るくらいだから、そもそも十分に価格の適正について検討したのだろうか?という疑問ですかね。それとも、少数株主排除のために最初から低価格での買取を実現するスキーム自体の違法性を論じるというものでしょうか?いずれにしましても、地裁と高裁では結論が違う事実もありますので、もう少し私も検討してみたいと思います。軽々しく結論を述べにくい問題ですね。

投稿: toshi | 2008年9月16日 (火) 02時41分

突然こんなことを書いて申し訳ありません。
①私は建設業の(株)フジタ株(4000株)を約56万円で購入。
②平成14年にこの株がフジタ株0,2(5分の1で80株現在でも保  有)とACアルエステート4000株(この会社は負債清算会社で途中 解散し現在ない)
③最近MBOするとか、なお買収価格は1株200円。従って私の場合は 56万円が16000円になりますが、こんなに身勝手なことを許して 良いのでしょうか。
  インターネット上でも裁判が出来ないのかと多々指摘されているが、 なにか良い方法はないでしょうか。

投稿: Y.N | 2008年10月15日 (水) 19時19分

Y.Nさん、はじめまして。

9月25日付けのTOB賛同に関するフジタのリリースを読ませていただきました。3か月平均の株価は143円ということで、49%程度のプレミアム価格を上乗せしてのTOBということですね。(6か月平均をとるともうすこしプレミアムは減ると思いますが)TOB価格の算出方法としては、最近のMBO事例とそれほど異なるところがないようですが、もしこの6か月以内において業績に著しい影響を与えるようなリリースが出ておりましたら、若干疑問が残ります。
なお、TOBに応じないことも自由ですが、買付者の保有株式数いかんでは強制的に株式交換などを行うこともできますので(そこまでリリースを読んでおりませんが、もしそういった手法をとるのであればリリースされているはずです)、株主として残り続けることはほぼ困難かと思われます。そのときは買取請求権を行使することになりますが、もし買取請求権を行使することも検討されるときは、その利害得失を法律家に検討していただくほうがよろしいかと思われます。

投稿: toshi | 2008年10月16日 (木) 22時10分

これは、やる価値あると思いますね。
6ヵ月平均が213円でしょ。
8月の26日ごろ、株価が下落していますが、その理由次第では、
213×1.2の255円いくと思います。
あと、プレミアムの上昇傾向なんかを鑑みるとそれ以上でもおかしくないです。
私なら、本人訴訟になってもやりますね。

レックスと同じスキームで、株主総会に先立って反対、株主総会でも反対、二十日以内に申立、です。
個人的には、公開買付け賛同行為を差し止めるとどうなるのか、興味あるんですけどね。

投稿: 山口三尊 | 2008年10月21日 (火) 00時16分

山口三尊さん、せっかくコメントいただいたのですが、どうもコメント欄の調子が悪いようですね。(コメントツリーに反映されないようです)

投稿: toshi | 2008年10月21日 (火) 01時46分

これは、やる価値あると思いますね。
6ヵ月平均が213円でしょ。
8月の26日ごろ、株価が下落していますが、その理由次第では、
213×1.2の255円いくと思います。
あと、プレミアムの上昇傾向なんかを鑑みるとそれ以上でもおかしくないです。
私なら、本人訴訟になってもやりますね。

レックスと同じスキームで、株主総会に先立って反対、株主総会でも反対、二十日以内に申立、です。
個人的には、公開買付け賛同行為を差し止めるとどうなるのか、興味あるんですけどね。

投稿: 山口三尊 | 2008年10月21日 (火) 01時50分

unknown様おまたせしました。、まさに、現在、「レックス公開買付に応募したかたの訴訟」を検討しております。
興味があればご連絡下さい。

kanebo1620@tob.name
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/65322657.html

投稿: 山口三尊 | 2009年6月21日 (日) 11時48分

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