上場会社コンプライアンス・フォーラムのお知らせ(大阪編)
(9日午前;追記あり)
8月に東証自主規制法人(COMLEC)、JASDAQ共催による上場会社コンプライアンスフォーラムをご紹介いたしましたが、予想どおり大盛況だったようですね(当日の模様は週刊経営財務の2887号に掲載されております)「こういった催事が東京では頻繁にあっていいですね。大証さんと共催で大阪でもやってくれたらいいですね。」と書いておりましたところ、「想ひ」が通じたのか(^^;、東京証券取引所自主規制法人主催、大阪証券取引所共催による「上場会社コンプライアンス・フォーラム in OSAKA」が開催されるようであります。日時は11月7日(金)、場所は中之島の国際会議場だそうです。東京は「渋谷公会堂」でしたよね。。。
旬刊経理情報(10月10日号)の巻頭言(論談)でも、東証COMLEC理事長さんがお書きになっているように、主たるテーマは「上場企業におけるインサイダー取引の未然防止策と今後の課題」ということでして、「市場の信頼を守る」とともに「市場の信頼を創る」ことを念頭に企業コンプライアンス啓蒙活動の一環として開催されるそうであります。前回の東京でのフォーラムでは(会場の関係などから)参加条件なども厳しかったようですが、今回の大阪フォーラムでは一般の事業会社も弁護士も会計士も、広く市場関係者のご参加についてWelcomeのようですので、私も早速申し込みました。証券取引等監視委員会の事務局の方のお話もお聞きしたいですし、先日のNHKインサイダー事件において第三者委員会の委員をされている國廣正弁護士の「インサイダー取引防止と内部統制」に関する講演もたいへん興味がございます。課徴金事例なども集積されてきましたし、形式的処罰規制としての「うっかりインサイダー」(これは証券取引等監視委員会の方々は「不適切な表現」とおっしゃっておられますが)にも話題が集中しているところですので、金曜日のお昼に国際会議場まで行く値打ちはあると思います。私も、裁判所(刑事事件)、行政庁(課徴金)、取引所(自主規制)それぞれが、どういった視点でインサイダー事件と向き合っているのか、少し予習をして臨みたいと思っております。
先の理事長さんの巻頭言でも「法令遵守体制」と「情報管理体制」に分けて論じておられるようで、重要情報が集まりやすい場所での管理のほかに、「重要情報が発生しうる場所」における情報管理にも配慮しなければならない、というのは「なるほど」と思います。たしかにインサイダー取引規定に該当する「重要な事実」は、常に社長さんや取締役会だけが情報の発信地ではないですよね。職務に関して重要な事実にアクセスしうる立場の従業員さんが発信地に近いということも考えられるところであります。東証、大証共催のコンプライアンス・セミナーなど、あまり関西では頻繁に行われないものかもしれませんので、ご興味のある方はぜひご参加いただければ、と思います。
(9日午前;追記)
読売新聞の朝刊を読んでおりましたらある会社のIR責任者の方のインサイダー疑惑に関する記事が掲載されておりました。今後はコノテのインサイダーが増えるのでは?ということで、9月25日に日本経営協会にて「広報・情報開示に関するコンプライアンス」という講演をさせていただきましたが、「知人」の名前を借りて自社株売買をする、というのは、本当にリスクが高いです。以前も「家族を不幸にするインサイダー」でも書きましたが、親族まで取り調べの対象に巻き込んでしまうリスク(しかも任意なので、期間が相当に長くなります)がありますので、くれぐれもご注意を。
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コメント
9月10日東証・JASDAQ共催による「上場会社コンプライアンス・フォーラム」に出席した者です。
パネルディスカッションで東京電力の監査役である築館勝利氏が、監査役の立場からとの前置きで、社内でインサイダー取引が行われたら内部統制システムの問題という視点から考え、取締役の善管注意義務違反、任務懈怠が無かったかを検証する必要があるとの発言をされました。
つまり、個人による違法行為発生⇒会社の法令遵守体制に不備⇒内部統制システムの構築、運用が不十分⇒取締役の善管注意義務違反、任務懈怠。
というつながりです。もしも社内で自社の株式等についてのインサイダー取引が発生した場合、内部統制部門としての責務は重大ということだと感じました。
投稿: メロ | 2008年10月10日 (金) 08時11分
メロさん、こんばんは。情報どうもありがとうございます。東京電力の築館氏はこの10月から日本監査役協会の会長に就任される方ですね。おそらく本日の私の(監査役全国会議の)司会と報告を間近でご覧になっていたものと思います。(本日は財務報告内部統制のお話が中心だったので、本件とはあまり関係ないかもしれませんが)
なるほど、インサイダー防止と内部統制構築義務の問題ですか。これを監査役監査の視点から考える・・・ということですね。取締役の行為を違法(もしくは違法の疑いがある)として、内部統制システムの構築、運用が不十分(相当とは言えない、もしくは職務執行において問題がある)というためには、具体的にどのようなシステムが必要で、またその具体的なシステムをとることによってなぜ個人による違法行為の発生を防止できる蓋然性が高いと考えるのか、かなり説得的な理屈を展開する必要があると思います。現実に救済を求める株主(事後的救済)ではなく、社内の監査役監査の問題でありますので、少なくとも将来の違法行為が予防できるできる程度の防止策とは何か?(それは実現可能性があるのか)といった点の議論が必要ではないかと思います。具体的には何を構築することが求められるのでしょうかね?コンプライアンスプログラムや社員研修などでしょうか?法令遵守体制というとかなり広くなりそうなので、全社的な情報管理体制について議論する方が具体的ではないかと考えます。内部統制の構築、運用が不十分であることと取締役の職務執行の違法性を結びつけるためには、(経営判断がからみますので)インサイダー取引が発覚したことによる企業自身の損害発生の蓋然性も問題となりますので、リスク管理の問題についても検討を要するのではないでしょうか。
投稿: toshi | 2008年10月10日 (金) 22時05分
初めてコメントさせて頂きます。
東証自主機関のHPにて東京のフォーラム内容が公開されていました。
資料だけでなく、講演録も公開されているところが勉強になるのではと思います。
http://www.tse.or.jp/sr/comlec/c-forum080910.html
お時間があれば是非!
投稿: レアル | 2008年10月24日 (金) 23時29分
本当ですね。(情報ありがとうございます)
資料と講義録がついていて勉強になりますね。
もうすぐ大阪でも開催されるのですが、それまでにこの講義録で予習させていただきます。
また、こういった情報はありがたいのでご教示いただけますと幸いです。
投稿: toshi | 2008年10月25日 (土) 20時32分