著名音楽プロデューサーの詐欺事件と企業コンプライアンス
ある経営コンサルタントのブログの秋月さんも「なんで小室哲哉容疑者の詐欺事件に『大阪地検特捜部』なのか?」と疑問を呈しておられますが、私も報道当初より、ずいぶんと重い扱いだなぁ・・・といった感想を抱いておりました。検察庁が直接告訴を受理した事件ですし、被告訴人が(かつて一世を風靡した)著名な音楽プロデューサーということもあり、検察庁も重く受け止めているのだろうか・・・とも思いましたが、それでもなんとなく「特捜部扱い」には違和感を覚えます。
過去の小室哲哉氏の華やかなイメージと、転落してしまった現在とのギャップに国民の興味が集まっているためか、本件は「困窮に至った小室氏の個人的犯行」ばかりが報道されているのでありますが、芦屋市の会社社長から詐取したとされる5億円のうち、3億4000万円程度がジャスダック上場企業からの借金返済に充当されていたことが報じられたとなりますと、ちょっと事件の様相も変わってくるのかもしれません。(読売新聞などは、すでにこの借金返済を受けた企業名も掲載されております。ただ、現時点ではこの企業からなんらの情報開示もないようです。)しかも、年6割に及ぶ利息に関する約定があった、ということですので、ちょっと驚きであります。平成18年3月当時の事業持ち株会社の事業目的にもよりますが、事業の一環として企業が(報道されているような高利をもって)ファイナンス業務を行っていたとすると、企業コンプライアンス面で看過しえない問題も浮上してくる可能性がありそうですね。(なるほど、なんとなく大阪地検特捜部が動き出した意味がわかってきたような気がいたします。)
たしかに小室哲哉氏は、著名な音楽プロデューサーではありますが、企業社会からみた場合には、典型的な新興企業のカリスマ経営者という立場でありますので、業績が傾くなかで、かなり荒っぽい事業融資や未公開株の譲渡問題などに直面していた可能性は高いように思われます。小室氏の捜査の進展にビビっている企業もあるような気がいたします。著名な音楽プロデューサーの詐欺被告事件は、今後の大きな展開のなかでは、ほんのヒトコマにすぎない出来事になるのかもしれません。経済事犯として、大阪地検特捜部→アイシーエフ事件といった連想と同じような「にほひ」を感じるのは私だけでしょうか。(本日は、単なる推測エントリーにて失礼いたします)
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コメント
ご無沙汰しております。
業務が一段落したので、色々とネットを散策していたら、面白いニュースリリースにぶつかりました。
是非、先生のご見解をいただきたいところです。
また、今後どうなるか、継続して見ていきたいなと思います。
投稿: Kazu | 2008年11月 6日 (木) 18時07分
かなりご無沙汰しておりました。
先生、さすがに読みが鋭いですね。
仕手集団の大物の逮捕を続けている大阪地検特捜部が動いているのは、何かあるかなと私も思い調べてみると、某新聞ではすでに仕手集団で有名なホールディングスから小室氏が融資を受けていたとの記事がありました。
取立ての電話がKEIKOさんの実家にまでかかっていたような報道もありますが、仮に記事を前提とすれば、全うな金融筋の取立て方法とは思えない内容のものもあり(行過ぎ)、大阪地検が動く何らかの理由があるのでしょう。
投稿: コンプロ | 2008年11月 7日 (金) 01時04分
ご承知のとおり、当JASDAQ企業の社長さんは元国会議員の弟さんですね。また実質上のオーナーは、以前東京協和事件で逮捕された方ですね。いずれにせよ、小室氏の逮捕劇は先生ご推察のとおり、経済事犯の入り口にすぎない、ということです。ただ、著作権ビジネスのルール作りが進むということもあるのでは・・・
投稿: omuro | 2008年11月 7日 (金) 01時36分
ねらいなんてないと思います。
(以下削除)
投稿: るぱん | 2008年11月 7日 (金) 12時41分
るぱんさん、ごめんなさい。
一番おもしろいところ削除させていただきました。
反論の根拠はとてもおもしろいのですが、いかんせん、特定個人に関する生々しい事実適示の記述はちょっとまずいので。。。
投稿: toshi | 2008年11月 7日 (金) 12時48分