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2008年11月12日 (水)

BNPパリバの株式売買はインサイダー取引に該当するか?

(12日午前 追記あります)

昨日は裁判員制度に関するエントリーをアップしたところ、あまりにも偶然のことでありますが、最高裁判所司法研修所から「裁判員制度に関する重要な研究報告書」がリリースされたようであります。(日経ニュースはこちら)ニュースで報じられております研究報告の内容はビックリでありまして、裁判員法廷に臨む(すくなくとも私のような不埒な)弁護士の意識は、ここにおきまして改革しなければならないことになりそうであります(この件についてはまた別の機会に・・・・・)

さて、すでに多くのブログで話題になっておりますが、アーバンコーポレーションの不適切開示(違法開示)に関与したとされるBNPパリバ日本法人の件につき、11月11日付けにて、外部検討委員会による最終報告が発表されたようでして、その報告書概要を読ませていただきました。(委員のみなさまは、元検事総長の方を筆頭に、錚々たるメンバーです)アーバンコーポレーションによる不適切開示(スワップ契約部分をあえて開示しないこと)への積極的関与につきましては、すでに金融庁から(不適切→違法)認定を受けておりますので、それに追随した形で、かなり厳しい判断が下されているものと受け止めました。

問題はスワップ取引が存在するにもかかわらず、このような重要事実を秘匿して、その間にもヘッジ取引を繰り返していたBNPパリバの取引については、金融商品取引法で禁止されているインサイダー取引に該当するかどうか、という点でありますが、外部検討委員会は、

当該情報を知りながらヘッジ取引を行っていたBNPP東京支店の行動は、インサイダー取引に該当する可能性は否定できないものと考えております。しかしながら、本件ヘッジ取引は、スワップ契約に基づいて機械的に行われていたものであり、実質的にみると法が本来予定していた行為形態とは異なっている面があること、またインサイダー取引の該当性については、本委員会は判断する立場にはないことから、その点の判断については控えさせていただきます。

として、なんだかよく趣旨がつかめないような、「ん~、どっちやねん!」といいたくなるような歯切れの悪い報告内容になっております。現行のインサイダー規制は形式犯として処罰対象とされており、重要事実があって、その重要事実を知りながら、株式売買を行ってしまえば、その取引で儲けようといった目的があってもなくても(また実際に利益を獲得していなくても)インサイダー規制には該当してしまうわけであります。(軽微基準に該当するケースを除く)ただ、BNPパリバのヘッジ取引が、そもそも株価の変動(差益?)に基づく利益獲得を目的としたものではないということから、「本来予定していた行為形態とは異なっている面がある」と判断されたのかもしれませんが、インサイダー取引の可能性は否定できないけれども、可能性が高いとまでは述べられていないようであります。刑事罰を基本とするならば、インサイダー取引の構成要件該当性は認められるけれども、その違法性に乏しい、といった説明になるのでしょうか。課徴金制度を基本とするならば、課徴金算定の基礎となる利得計算の根拠がない、といった説明になるのでしょうか。もし、「富の変動」が「既存株主→BNPパリバの手数料」といった流れの場合、変動の要因が重要な事実の不開示によるものなのか、それともMSCB類似の株式価値の希薄化によるものなのか、という点においても結論が異なってくるように思いますが。

また、素朴な疑問ではありますが、そもそもインサイダー取引規制が適用されるのは、重要事実につきましては、後日「公表されること」が前提になっているものと思われます。しかしながら、スワップ取引の不開示ということが「重要事実」だとしましても、アーバンコーポレーションさえ倒産しなければ、後日このスワップ取引を公表することがBNPパリバにとっては「予想しうるもの」とは言い切れないのではないでしょうか。インサイダー取引を取締る趣旨は、重要事実が後日公表されるからこそ、そのタイムラグを利用する不公正取引を防止するところにあると思いますし、むしろBNPパリバとしては、後日になっても公表されるような事実はそもそも認識されていなかったのではないか、という疑念がぬぐい切れません。(←この点につきましては、「通りすがりさん」と大杉先生にご異論をいただきましたので、また検討してみます。理屈だけでなく、結論もおかしくなる・・・といったことになりますと、私としても十分検討する必要がありそうです。私の意見に対する「ダメ押し」でも結構ですので、またご意見がございましたらどしどしコメントいただければ幸いです。)ということで、スワップ取引の存在が「重要な事実」ではあっても、これがインサイダー取引規制における「重要事実」には該当しないか、もしくはBNPパリバ側にはインサイダー取引についての犯意(故意)がなかったとみるべきではないかと思いますが、このあたりはいかがなものでしょうか。(注:不適切開示以前の株取引との関係では、「重要事実」であることは当然だと思いますが、不適切開示以後の株取引との関係ではどうなんだろうか?といった疑問であります。脊髄反射的に書いておりますので、勘違いがあれば、またご指摘ください)

もうひとつ興味深いのは、先のシャルレの件でもそうでありますが、企業行動の「法令順守」について、最近こういった外部の第三者委員会報告の持つ役割がかなり重要になってきたのではないか、といった点であります。司法的救済による事後規制がなかなか奏功しないなかでの有力なソフトローとしての役割を担いつつあるのではないか、といった感想を持っております。(また、この点につきましては別の機会にもエントリーしたいと思います)

(12日午前;追記)

朝日新聞ニュースによりますと、金融庁がBNPパリバに対して金融商品取引法違反に基づき、「投資者保護規定」に抵触するものとして行政処分を検討している、とのことであります。(ニュースはこちら)アーバンコーポレーションの不適切開示について、積極的に働きかけた点を捉えて・・・ということのようですね。

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コメント

法曹界とは関係の無い通りすがりの者ですが、一点教えて下さい。
スワップ取引の不開示ということが「不適切開示」にあたる事は、
既に金融庁に認定されているのですよね。
であれば、その不適切開示の状況が続く(スワップ取引の開示が
将来に渡って行われない)と考えること自体が問題になるのでは
無いでしょうか?
貴殿の理屈では、某放送局の局員がインサイダーに関わったと処分
された事件でも、本人が「入手した情報は重要事項と思わなかった」
と主張すれば犯罪にならなくなりませんか?

投稿: 通りすがりの者です | 2008年11月12日 (水) 06時23分

通りすがりさん、コメントありがとうござます。(いえいえ、こちらこそ勘違いがありましたらお教えいただきたいところです)

スワップ取引の開示が将来にわたって行われないこと自体を「公表された事実」と捉えるという意味でしょうか?そうであるならば、スワップを開示する以前におけるパリバの株取り引きが問題になるのではないでしょうか?この報告書を読みますと、不適切開示の後の売買を問題にしているということですよね。
このあたり、インサイダー取引を検討するにあたって、企業にとっても十分に理解しておく必要があると思いますし、私自身も勘違いがあると恥ずかしいところですので、またどしどしご意見いただければありがたいところです。

投稿: toshi | 2008年11月12日 (水) 09時29分

山口先生、ご無沙汰しております。
まだ報告書を読んでいないので、的外れな感想になるかもしれませんが、次のように考えました。
重要事実か否かは、当事者が開示を予定しているかどうかではなく、法律によって開示が義務付けられているかによって客観的に判断するのだろうと思います。私は、CBの発行とスワップ契約の締結は、一方のみを開示するのはミスリーディングなので、法で前者の開示が義務付けられていることと合わせると、後者の開示も法律上の義務だと思うのですが、この点は異論があるかもしれません。そして、toshi先生が書かれている(?)ように、「本来開示すべきタイミング」と「遅れて開示されたタイミング」との間の取引は、インサイダー取引規制がカバーするものか否か、慎重な検討が必要だと思います。
報告書の書き方につきましては、法人が有するはずの自己負罪特権を、法人から委託を受けた調査委員会が放棄するに等しいことをすべきでない、ということとして、私は受け止めたのですが、もちろん、toshi先生が書かれているように、報告書の認定事実を元に構成要件該当性を検討することは、大変重要であると思います。
まとまりもキレもないコメントですが、ここらで失礼しまんにやわ。

投稿: おおすぎ | 2008年11月12日 (水) 09時46分

早速のお返事有難うございます。
小生が疑問に思ったのは次の点です。
金融庁が「不適切開示」と認定した事で、法律的にはスワップ取引は公表しなければいけない事項であった。(異論もあるかもしれませんが、ここでは金融庁の判断を正とします)
パリバにの意図があったか否かは置いておいて、公表しなければならない情報を得て売買を行ってしまった以上はその責任は負わなければならないのではないかと思います。

仮に、小生が所属する会社で違法行為が隠蔽されており、小生がその情報を入手して自社株を空売りし、後日その違法行為が発覚して大儲けした場合、小生が「会社の行為に違法性を認識していなかった」と言張ればインサイダーに問われないのでしょうか?(会社が隠蔽している以上は、会社からは公表されるはずはないですよね)

あくまで、法曹界と関係の無い素人の見解ですが法律的にはどう判断されるのでしょうか?宜しければ御教示下さい。

投稿: 通りすがりの者です。 | 2008年11月12日 (水) 20時40分

おおすぎ先生、通りすがりさん、コメントどうもありがとうございます。インサイダー問題は法律家や学者、企業実務家の境を超えて、多くの方々と勉強していきたいテーマです。ですから、通りすがりさんの疑問についてもとりあげてみたいと思います。(せっかくですから、別エントリーとして検討してみたいですね。具体例として挙げておられる問題は、おそらく他の方々も同じような疑問をお持ちでないかと考えております)

また、おおすぎ先生、たしかに「法律上の義務があるかどうか」という点のご指摘、ありがとうございます。このことと、「公表されること」がインサイダー取引においては解除要件でとされていることとか、スワップを含めて全体の記載を「虚偽記載」としている金融庁の見解などとも整合的に理解するために、もうすこし検討してみたいと思います。また有益な示唆をいただければ幸いです。ただ、最後の井上竜夫(吉本興業)のギャグについては、おそらくほとんどの閲覧者にはわからないと思いますが(^^;・・・・・やっぱり根っからの関西人ですね・・・笑

投稿: toshi | 2008年11月12日 (水) 21時12分

理屈の問題としては、おおすぎ先生の仰るとおりではないかと思います。ただ、執行の問題として、インサイダーに該当する事実が発生しても実際に公表に至らなければ課徴金はもちろん、刑事責任についても追及が難しいという面はあるんでしょうね。
ただ、toshiさんが仰るように「公表」を予定していることが必要としても、ここでいう「公表」の意味は、よく考える必要があるように思います。例えばBNPパリバの事案についていえば、スワップというそのものズバリの事実ではなくても、「資金調達規模が実質的には300億円ではなかった」ということによる事業上・財務上の影響が、業績の悪化(あるいは期待されたほどの向上がない)、倒産という形で実現化されるのであれば、経済的には「公表」がなされたのと同様の状況とも考えることもできるように思います。

投稿: 47th | 2008年11月13日 (木) 00時58分

今回の場合、BNPがアーバンに非開示を強要してるんですよね。
この時点で、なぜ非開示を強要したのかが問題ではないでしょうか?
違法でなく公表されないのが前提ならなぜ強要したのか?
アーバンの顧問弁護士は公表を二回も提言してます。
違法性を認識してたからですよね。
インサイダーの認識があったのは、この行為を見るだけで明白ですよね。
またBNPは実際12億の利益も上げている点。
隠していたスワップ契約の内容が株価が下がればBNPに有利な内容な点
空売りの返済に新株を当てている点。
市場で戻せば株価は上がりますからね。
インサイダーしなければスワップ契約を先読みされ株価は暴落はシロウトでも予測できます。
BNPは高値購入の同社株も持っていた点
としたら含み損がでるんですよ。

投稿: 事実誤認では・・・ | 2008年11月13日 (木) 23時29分

ちょっと話題の焦点からはずれますが。
毎日新聞の報道では、インサイダー取引の可能性が高い、とされており、
おかしいなと思っておりましたが、
11日15時からの会見では、「可能性が高い」という資料で、松尾元検事総長もはっきりと述べていたとのことなのですが、その後、BNPPサイドが「否定できない」に急遽変更した、
という内幕を報じるwebがあります。
http://outlaws.air-nifty.com/news/ 11月12日のところ。

投稿: ingen | 2008年11月15日 (土) 01時46分

みなさま、非常にレベルの高いコメント、ありがとうございます(47thさん、たいへんご無沙汰しております)

インサイダー取引については課徴金規制も刑事罰規制も、基本的には成立要件は同じですし、そのなかで「公表」されることの位置づけというものも形式犯であるがゆえに、困難な問題を内包しているのではないか、というのがわかります。今回の報告書におきましても、(当然インサイダーとしての違法性を論じる立場にないことを承知のうえですが)もうすこし、このあたりを突っ込んでご議論いただければ、と個人的には若干の不満も抱きました。

経済的な意味での「公表」というのは、たいへん傾聴に値するところですね。私はライブドア損害賠償事件で、裁判所があのように柔軟に「公表」の意味を解釈するとは、実は予想していなかったのですよ。もちろん民事と刑事の解釈の差はあるかもしれませんが、こういった経済事犯においては、解除条件たる「公表」の意味をかなり柔軟に解釈する、ということも考えられるのかなぁ・・・と。

投稿: toshi | 2008年11月17日 (月) 02時22分

個別事案にはコメントしない方針ですが、一般論として、
・開示が不十分になる方向を強く促す行為は、開示違反の幇助や教唆となるリスクがあるように思われます。
・万一、市場仲介業者が開示違反の教唆や幇助をした場合に、それは業者規制の観点からは厳しく行政当局が対応しても、おかしくないのではないかとも思われます。
・インサイダー取引に該当する取引行為が動機としてあった場合、その行為の悪質性はかなり重大と考える必要があるのではないか、と思われます。
・開示違反やインサイダー取引違反について、日本でも詐欺的な行為としての側面をもう少し真剣に考えてみる必要があるのではないかと漠然と思います。市場の公正さ、市場の公正への信頼などというきれいごとだけではないという場合が、事案によっては(あくまで一般論です)あるのではないか、と。
・刑罰以外に、民事責任(投資家からの損害賠償請求)の可能性の検討も必要ではないか、とも一般的には言えると思います。日本では、インサイダー取引違反の場面での民事責任の議論はあまり聞きませんし、実例も皆無と思われますが、論点としては現実的に検討されるべき事案もあるのではないかと思われます。
・外資系証券会社がいい悪いという問題はしたくないのですが、価値観は別として、報酬体系が違法行為(仮にあるとすれば)とどういう関係にあるかは、当然検討されるべき、政策的な問題としてあるのではないか、と思われます。
すべて、あくまで一般論ですが、ちょっといろいろとコメントしたくなりました。なお、公表の問題よりは、重要性の問題をもう少し議論してほしかったです。ロジックの方向を少し修正すれば、問題の本質につながるように考えたため。ではまた。

投稿: 辰のお年ご | 2008年11月18日 (火) 04時50分

重要性の問題についてスワップ契約はすでに金融庁によって重要な事項で在る旨、アーバンに対して行政処分が課されており、議論するまでもなく
同様にBNPに対しても行政処分が出ている現在では認識はどうぜんながら証明されているかと存じます。処分を受けた側も認めていますし・・・。

投稿: unknown | 2008年11月19日 (水) 21時47分

unknownさん
横からのコメントされたので、回答します。

 アーバンに対する臨時報告書の虚偽記載に関する課徴金でいう重要な事項の虚偽記載と、インサイダー取引違反の重要事実との関係での「重要」性とは同じといえるのでしょうか。
 パリバに対してもまだ行政処分は出ていませんよね。
 そもそもインサイダー取引違反のベースとなる「インサイダー情報」の166条の規定にはいろいろ問題があると考えていますが、具体的にどの条項に該当すると認定するのか、バスケット条項で、というのであれば、その規定の適用の在り方について問題はないか、など議論をしておいてよいのではないか、と考えております。適用の基準もなく、一般的な規定が置かれているため、実際にバスケット条項を使う際には、検察側もいろいろ考慮しているはずですが、その議論をもっとするべきだと思っています。株価にどういう影響があるか、その点を取引時にどう判断するのか、は実際上難しい問題があると思われます。
 某証券会社の肩をもつわけでも、その批判をする側に立っての議論ではなく、もう少し具体的な議論がなされるといいな、と。それも公表ではなく、バスケット適用の基準を模索する中で、と思っておりました。とはいっても、厳密に詰めて考えたわけではなく、10b-5 の適用であればmaterialityの判断に帰着するわけですが、その具体的な検討の過程をもう少し考えてみる必要があるのかな、などとつらつら考えていた次第です。EU Market Abuse の議論であれば、判断のアプローチも異なりますから、必ずしもアメリカの考えだけを意識する必要はないのですが、日本の規制は昭和63年当時の議論で、かなりガチガチに作った条文でも、バスケットの活用でもう少し現実的な法制になる余地もあるように考えてもいます。以上です。

投稿: 辰のお年ご | 2008年11月20日 (木) 02時27分

若干誤解のないようにさせていただきますと、一応ふぉーりん・あとにーの憂鬱をやらせていただいてた"47th"が書き込んだのは、11/13 0:58付けのものだけです。昨日書き込まれた47thさんは、同一ハンドル名の別人の方になるかと思います。
ハンドル名に権利を主張をするつもりはないのですが、一応、リアルの世界でも関係のある方もこのブログはご覧になっているかと思い、誤解のないようにさせて下さい。
>山口先生
内容と無関係なコメントを増やしてしまい申し訳ありません。

投稿: 47th | 2008年11月20日 (木) 10時35分

とりいぞぎ、47thさんの書き込みおよびメール、およびIPアドレスによりまして、誤解の生じないよう各コメントの関係部位を修正しておきました。投稿者の方々に不快な思いをさせてしまいました。

「なりすまし」投稿につきましては、IPアドレスを事前チェックのうえ、今後も十分注意いたします。

投稿: toshi | 2008年11月20日 (木) 11時29分

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