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2008年12月25日 (木)

「金融商品取引法読本」ついに出ましたね♪

本日も興味深い適時開示情報が満載ですね。とくに京樽社の不適切会計処理に関する調査報告につきましては、またまた親会社の監査役さんの頑張りが不正摘発に寄与したようですし、最近こういった不正の端緒を監査役の方が握っている事案が増えてきたように思います。(よく読むと活躍された監査役さんは常勤ではない方のようですね)本件では、不正検査という面でも興味深く、私自身も勉強させていただきます。また、(話は変わりますが)日経新聞ニュースによりますと、江崎グリコ社の筆頭株主だった米国スティールパートナーズが自社株買いに応じて、全株を売却したそうであります。(日経新聞記事はこちら)実は、ある方から数日前の江崎グリコ社の適時開示情報をもとに「江崎グリコがトストネット3で144億円の買い付けやってますね。ずいぶんとでかい金額だなぁと思って、計算してみると、SPとその関連会社合わせた持株価格とほぼ一緒。SP、抜けましたね」とのメールを頂戴しておりましたので、この情報は事前に認識しておりました。なお、このメールを頂戴した方の次なる関心は「某著名(ある意味で)監査法人の筆頭会計士さん方が懲戒処分になってしまったようですが、あそこの被監査企業はだいじょうぶなんでしょうかね」ということで、こっちも私は興味津津であります。(いつも情報ありがとうございます。なお、この話題はgrandeさんのブログに詳しい解説があるような・・・・・)

Dokuhon001 さて、「証券取引法読本」はいまでも愛読書のひとつでありますが、ついに待望の「金融商品取引法読本」(河本一郎・大武泰南著 有斐閣 4,200円税別 12月25日初版)が出版されましたね。ご覧のとおり、表紙カバーはいつも同じような雰囲気ですが、平成20年度金商法改正までフォローされており、ずいぶんと分厚くなっております。(お値段は3,800円→4,200円)先の江崎グリコ社のTosTNeT-3の解説なども別表で示されている等、証券取引実務と法理論と証券取引法の歴史的背景などが、私のような素人的な立場の人間にもわかるように工夫されておりますので、難解でとっつきにくい金融商品取引法の解説書としては「スグレモノ」の一冊であります。(改訂版を心待ちにしておりました。)

ちなみに本書でも内部統制報告制度に関する著者見解が記されており、たとえば会社法と金商法の内部統制システムについては同質説と異質説とがあるが、著者(おそらく河本先生)は、同質説が妥当ではないか、との見解を示しておられます。(ただ、その理由付けが端的でいいですね・・・)また、「重要な欠陥」と法令違反との関係についても、重要な欠陥のある財務報告にかかる内部統制が作られることが、すなわち法令違反になるわけではない、と解説されておられます。(また、こちらの理由付けもすっきりされていていいです)ちなみにこのあたりは、内部統制報告制度と「経営判断原則」、また内部統制報告制度と「株主に対する信任義務」との関係等から、近時さまざまな法律意見が出ているところであります。

この点に関する私見でありますが、内部統制評価実務の現状をみておりますと、たとえ評価時点(期末日)に重要な欠陥が是正されていたとしても、それまでに「重要な欠陥と評価されるおそれのある不備」があれば、そういった事実経過こそが不正会計の責任を問われる役員の善管注意義務違反の有無に影響するものと思いますので(取締役も監査役も監査人も、すべてリスク・アプローチの視点から注意義務の内容が判断されると考えますので)、あまり重要な欠陥が法令違反かどうかは、粉飾決算事例における最終的な法的責任の有無には影響してこないものと思われます。粉飾決算によって投資家や会社債権者が損害を被った場合、内部統制報告書の虚偽記載そのものよりも、有価証券報告書の虚偽記載に関する責任に議論が集中するでしょうし、その責任を検討する場面において内部統制の評価経緯が「リスク認識の有無」を判断するためのメルクマールになるのではないかと考えております。つまり「重要な欠陥がある」かどうか、ということよりも、内部統制の有効性判断に至る経過事実こそが役員の法的責任と密接に関連するのではないでしょうか。

12月 25, 2008 本のご紹介 |

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