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2008年12月18日 (木)

社外取締役には何が期待されているのか?(経済産業省・企業統治研究会議事録要旨より)

12月17日、経済産業省HPに「企業統治研究会」の第一回会合議事録要旨がアップされておりましたので、議論の骨子が閲覧できます。主な議題は「社外役員(取締役、監査役)の独立性の問題、我が国企業への社外取締役の導入促進の問題など、我が国企業のコーポレート・ガバナンスの向上に向けたルールの在り方」だそうであります。会社法や金融商品取引法、取引所自主ルールなど、今後のガバナンスに関わるルールの変更が予想されるなかでの議論として、この研究会の審議(来年6月ころに報告書としてとりまとめが行われる予定)の方向については非常に関心のあるところです。

議事概要を通読したところでは(有識者の方々がおあつまりになっているわけですから)、それぞれ納得のいく意見が多く出されているとは思うのでありますが、どなたかが発言されていらっしゃるように「社外取締役や社外監査役に何が期待されているのかを整理する必要がある」と私も思います。このブログでも何度か申し上げてきましたが、「社外取締役」に期待されるものについては

(Aの整理)①経営者へのご意見番として、大所高所より豊富な経験に基づく経営面での意見を期待する、②専門技術的見地より、経営判断についての説明責任を株主に対して果たすことに期待する、③総体としての株主の意見もしくは少数株主の利益を代弁することに期待する、といったところの整理と、

(Bの整理)①経営判断のデュープロセス(適正手続)を保障するために、経営判断過程に積極的に参加することに期待する、②経営判断過程には参加せず、独立的中立的な立場から、モニタリングし、その意見表明をすることに期待する、といった整理

といったふたつの整理方法が可能ではないかと思われます。このAとBの整理における意見のとりまとめを行わなければ、社外役員と企業パフォーマンスの関係とか、取締役会の機能の再考(執行機関的である現状を肯定すべきか、あくまでも監督機関的なものであることを強調すべきか)を検討しても、議論がかみ合わないのではないでしょうか。また、たとえば法律や政省令によってルールを形成すべきか、取引所ルールによって形成すべきか、あるいはガイドラインでベストプラクティスを示して、そこから逸脱するものを企業が採用する場合には説明責任を果たさせる、といった「投資家の目」を意識した(緩やかな)ルール形成を検討すべきか、といった点も上記整理の組み合わせに依存するのではないでしょうか。いずれにせよ、10月に出されました日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本国政府への米国政府要望書のなかでも、この社外役員制度の改革は強く要望されているところですし(要望書Ⅱ-Aご参照)、間違いなく社外取締役制度のルール化は進むものとは思うのでありますが、日本には監査役制度や、執行機関的な取締役会制度も現に存在するわけですから、社外取締役ネットワークに所属するひとりとしては、「日本の社外取締役制度はどこへ向かおうとしているのか?」いつも疑問に思うところであります。

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コメント

今回の「経済産業省」の「企業統治研究会」については少し目線を上げて注目しておく必要がありそです。従来の経済産業省の研究会は、省内に設置されたもので縦割り行政の中での議論であっったために法律改正にまで行き着くことができず、せいぜいがガイドラインあるいは「提言」というレベルにとどまっていました。
今回の研究会は、その縦割り行政を打破する端緒となるかもしれないというように感じております。というのも、その研究会の構成が経済産業省、法務省および金融庁の3省庁共同で運営されるという形になっているからです。つまり、来年6月に公表される報告書に基づいて法務省所管の会社法、金融庁所管の金商法および取引所規則等の改正につながっていくパワーを持っています。
これから半年間の研究会の議論の展開がどうなっていくのか注目しておきたいところです。

投稿: こうじまち | 2008年12月18日 (木) 10時21分

こうじまちさんから、そのようにご指摘を受けますと、今後の議論の進展について益々関心が出てきますね。
社外取締役の設置と企業パフォーマンスとの関係については常に議論されるところですが、「すくなくとも急激なパフォーマンスの下落は防止できる」とか「個々の企業のパフォーマンスではなく、市場を通じての日本企業全体へのパフォーマンスが上がる」といった意見も出されるようになったところをみますと、「本気度」がかなりアップしているように感じます。(もちろん、意思決定のスピードが落ちるのでは?といった有力な反論にも傾聴すべき点はあるとは思うのですが)
今後とも、また有益な情報、ご意見お待ちしております。

投稿: toshi | 2008年12月18日 (木) 10時51分

企業法務の「実務家」の立場からすると、社外取締役制度については、違法行為にお墨付きを与えるだけになる懸念を強く持っております。

シャルレのケースでも、社外取締役3人が、純資産額さえ下回るMBOに同意しており、これが覆ったのは、内部告発という「僥倖」によるものでした。
カネボウ事件でも、社外取締役は、3人いました。

社外取締役がいたから、不正を防げるというものではないです。
すると、むしろ、「社外取締役がいたから、不正ではない」という、レトリックに使われ、ただでも情報に乏しい少数株主にとり、立証責任がますます重くなる恐れの方がより大きいと考えます。

投稿: 山口三尊 | 2008年12月23日 (火) 00時18分

三尊さん、こんばんは。
最近の調査では社外取締役の選任について反対票を投じる機関投資家が増えているそうですが、単に「社外取締役がいるかどうか」ということから「誰が社外取締役になるか」ということ(独立性の要件ともいえそうですが)に関心が移りつつあるのではないでしょうか。たしかにご指摘のような問題点もあろうかとは思いますが、本文で述べたような整理のもとで、いったい何が期待されているのかを明確にすることにより、もうすこし社外取締役制度の長所を出せるのではないかと(期待をこめて)思うところです。

話は変わりますが、日経新聞の弁護士が選ぶ今年の10大裁判(企業法務)で、レックス事件が二位になっていましたね。やはりあの裁判の社会的影響度は大きかったようです。

投稿: toshi | 2008年12月25日 (木) 02時25分

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