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2008年12月 2日 (火)

情報開示と日本のコーポレート・ガバナンスの行方

経済産業省の「企業統治研究会」が12月2日、第1回会合を開催したとのことで、金融庁や法務省も参画されているようであります。(日経ニュース)このニュースは11月28日の朝日新聞朝刊でも報じられていたところであります。主に上場企業における社外取締役の設置義務化および社外役員(社外監査役、社外取締役)の要件厳格化に関する検討がなされるように報じられています。いっぽう、12月1日には「有識者の会」も開催されたようで、そこでは金商法と会社法の「隙間」、つまり監査人(監査法人等)の選任権、報酬決定権に関する議論が活発に交わされた、とのこと。どちらの会合においても、経済団体の方々の意見がどのように反映されるのか、今後注目されるところだと思います。

今後のコーポレート・ガバナンスの行方につきましては、最新号の「旬刊商事法務」(1849号 「金融商品取引法と会社法の交錯~上場会社法制~)や、(これはちょっと入手しづらいでしょうが)日本取締役協会「ボートルーム・レビュー」の11月号に収録された「企業価値研究会報告書の意味するもの」(神田教授の7月28日付け特別講演)などを読みますと、おぼろげながら見えてくるようであります。日本の資本市場の浮沈問題とガバナンス論とが、これまでにないほど接近していることが感じられます。

経済・金融・経営評論家でいらっしゃる金児昭氏が経営書のなかでよく述べておられるように、 「法律専門家に経営判断を任せることはできない。法律専門家はあくまでも困ったときの指南役であって、リスクを負うような経営判断の経験のない人たちに任せることはできない」というご指摘は重要だと思っております。いまガバナンスが論じられているのは、コンプライアンス経営(不祥事防止)の大切さ・・・ということも含まれている部分もあるかとは思いますが、原則は「情報開示」、いわば国際ルールとの整合性であり、競争力の向上を念頭に置いてのことだと理解をしております。たとえば(日本独特の)子会社上場の場合における「親会社との利益相反問題」をどのように説明するかとか、(これまた日本独特の)監査役による会計監査を含めた独立性の確保をどう説明するかとか、(開示された情報が信頼されるに足りるだけの)プリンシプル・ベースによる規制や手続規制による規制手法が理解できるような能力を持つ人材の育成(ある一定レベルの理解能力がなければ、プリンシプルベースによる規制も、またデュープロセスによる規制も市場の健全性向上のためには役に立たないのではないか?)・・・・・といったところが主眼ではないでしょうか。これらのことは「法律」で一律に割り切れるような問題ではないように感じますし、(考え方はいろいろとあるにせよ)これらの問題点を共有していかなければ、経済団体の方々との意見の一致をみることはなかなか難しいのではないか・・・と考えております。(本日はココログのメンテナンスのため、急いで走り書きをしました。舌足らずのエントリーで恐縮です)

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