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2008年12月13日 (土)

インサイダー、さわらぬ神に祟りなし(自己株式取得決議取消)

先日のサイゼリア社のデリバティブ評価損153億円のお話は、どうなんでしょうね。最近の外食産業の業績からみて、ちょっと欲が出てしまって、「一般的な為替リスクのヘッジ」を超えたところでの事故(BNPパリバの仕組み債を購入したうえでの金融事故)のようにも思えるのでありますが、経営財務のご専門の方々の意見はどんなものなのでしょうか?

さて先日の春日電機社の深夜開示以来、「午前1時」の開示・・・といいますと、なにやら胸がざわめく今日このごろでありますが、JASDAQの富士テクニカさんが「自己株式取得事項の決議取消のお知らせ」だそうであります。

12日午前中の取締役会にて、自己株式取得事項に関する決議を行い、その旨の開示を行ったところ、取締役会に欠席されていた社外取締役さんが、決議内容を知った後、(今後、業績修正などの重要事実が発生する可能性もあり)インサイダー取引に関する社内リスクが大きいため、自己株式取得はやめたほうがいい、との意見を口頭で伝えてこられたそうで、その後取締役間での電話での議論によって、決議事項の執行中止(決議の取消)を決めたとのこと。ちなみに、電話会議による取締役会の運営につきましては、当該議題について構成員全員が自由に意見交換しうるものである場合には、これは許容される会議方法である・・・とされておりますが(「会社法入門」11版 前田庸 447頁)、監査役は取締役会への出席義務がありますので、こういった電話連絡に監査役も参加している、もしくは自由な意見交換を確認していることが必要になるものと思われます。(とりわけ、かなりイレギュラーな会議方法ですので、監査役さんによる取締役会での意思形成過程のチェックは不可欠ではないかと思われます)

社外取締役がもたらすガバナンス効果のひとつであることは間違いないものの、ずいぶんと用心深い社外取締役の方だなぁ・・・・法律専門職の方では?・・・と思って調べましたところ、なるほど・・・。昨年「うっかりインサイダー」なるフレーズが流行する発端となったこの会社の専務さんが社外取締役なんですね。信託方式による自己株買い付けについては先日、金融庁Q&Aが出ておりますし、また海外子会社の解散等の事実につきましても、政令によって軽微基準に該当するようになったものと思いますが、やはり4000万円を超える課徴金処分でインサイダー疑惑はもうこりごり↓・・・というところではないかと思われます。

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コメント

こんにちは。 うっかりインサイダーにせよ、意図的なインサイダー取引にせよ金融庁としてはその取引による利益を目的としたかしないかの如何に関わらず取り締まるんでしょうか。

今般の富士テクニカの決議取消についても、業績の下方修正が発表される蓋然性が存在する状態での自己株式取得は利益を目的とした取得とは思えないのですが。 取得後に上方修正を発表してしまうとアカラサマではありますが。

投稿: 祐介 | 2008年12月13日 (土) 15時48分

佑介さん、はじめまして。コメントありがとうございます。
たとえ業績下方修正が発表されることが予想されるとしましても、今年のホンダやリコー、そしてこの富士テクニカ社の社外取締役さんが専務をされている会社のように、業績下方修正の発表によって、かえって株価が上昇する(つまり、現在の株価が業績を織り込み済み)場合もありますので、やはり内部者情報については利益とからんでくる場合がありそうですね。そのあたり、下方修正予想であってもリスクは発生するものと思います。

投稿: toshi | 2008年12月13日 (土) 19時04分

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