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2008年12月 2日 (火)

「なぜ弁護士はウラを即座に見抜けるのか?」

Nazebengosi_2 本日、東京の日弁連業務改革委員会に出席した折、重鎮の某先生が「佐伯さんが『ウソを見抜く方法』とかいう本、出しはったらしいで」とお話されていたので、早速日弁連会館地下の書籍売場で購入し、ホテルで一気に読んでしまいました。

なぜ、弁護士はウラを即座に見抜けるのか?(弁護士 佐伯照道著 株式会社経済界アステ新書 840円)

著者は関西の同業者の方ならご承知のとおり、弁護士56名を擁する北浜法律事務所のトップの方であり、元大阪弁護士会会長(日弁連副会長)を歴任された方であります。私がRCC(整理回収機構)相手に、ある住専関連の事件(詐害行為取消請求事件)で勝訴したところ、当住専の破産管財人に就任された佐伯管財人に(否認権をもって)高裁でひっくり返されてしまった苦い経験や、この本にも出てくる和歌山の「ホテルK」の売却方交渉などで仕事上でも二度ほど関係させていただきました。しかし、佐伯先生については、3年ほど前、私が主催者として開いた「旧弁護士会館の地下食堂、お別れパーティー」にひょっこりと参加していただいたことが一番記憶にあるところです。地下食堂の立ち退きの一件は、諸事情により、ちょっと弁護士会側とは気まずいものがありました。そのため正式にはお別れ会が開催されなかったのでありますが、昭和44年以来、弁護士会館の食事を長年引き受けてくださったこともありまして、私ともう一人の有志で私的な「お別れ会」を開催したのでありますが(それでも50名ほどの先生がかけつけてくれました)、そこに元弁護士会の会長である佐伯先生がパーティー開始時刻から(個人として)参加され、地下食堂の職員の方々へ感謝の意を表されたのであります。(これは本当にうれしかった。)

200ページ足らずの新書であり、ほぼ全編、佐伯弁護士が破産管財人、更生管財人として携わった実際の事件処理を中心に据え、そのなかで弁護士がどのように交渉し、どのように法と向き合っていくのか、その手法、考え方は非常に参考になるところであり、一気に最後まで読みたくなる本であります。とりわけ、倒産業務に関心のある方、反社会的勢力との交渉や、労働組合との交渉に興味のある方には必読かと思われます。私は部外者としまして、この方が所属される法律事務所のイメージから、もっとスマートな事件処理をされているのではないか、と思っておりましたが、実は結構「泥臭い」「日本流」の交渉過程を本旨とするものであり、だからこそ、人間洞察のなかで、こういった「深い交渉技術」を体得されたことに感心いたしました。管財人としての、さまざまな交渉過程において何を考え、何を優先されようとしたのか、如実に示されており(だからこそ、業務処理のまずかった弁護士に対して、容赦なく苦言を呈されております)、一般のノウハウ本とは異なるおもしろさがあります。「危な橋弁護士」を自称される著者の、現実に法律をあてはめる手法は、企業法務全般を考えるにあたっても貴重なヒントになることと思います。

12月 2, 2008 本のご紹介 |

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