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2009年3月27日 (金)

社外役員の「独立性」は時間軸(賞味期限)も考えるべきではないか?

内部統制報告書の第2号が出ましたね。監査意見はトーマツさんが出されているようです。(詳しくはEDINETでどうぞ)

さて最近、社外取締役、社外監査役の「独立性」要件についての議論がさかんに行われていますが、議事録などを拝見していても、「当該会社と、どの程度離れているか」といったことに議論が集中しており、「何年できるのか?」といったことについてはほとんど議論されていないように思います。会計士のローテーション制度などは、会計士の独立性との関係で「何年できるか?」ということが大いに議論されたにもかかわらず、社外役員の独立性に関する議論では、そういった社外役員の賞味期限について問題にされないのはなにか理由があるのでしょうか?

全国社外取締役ネットワークの関西勉強会に出席されていらっしゃる某社外取締役の方が、いつも「社外取締役というのは、何年もやってたらあかんね。会社のことがわかってくるけど、わかってくるにしたがって情がうつるね」とおっしゃるのを聞くたびに、「あぁ、そうなんやぁ。そんなもんなんやぁ」と(私は)頷いております。では、どれくらいの期間が社外取締役としての「賞味期限」なのかは、ちょっと私もまだわかりませんが。

そもそも期間が決まっているからこそ、遠慮なく自身の見識にしたがって意見を述べることができるのではないでしょうか。また、期間が決まっているからこそ、社外役員の人材の流動化、豊富化が促進されるのではないでしょうか。さらに、社外役員の流動化が促進されることではじめて、「社外役員が何をしたか」ということが、株主をはじめとするステークホルダーにおいて、その社外役員に関する開示内容に注目するようになるのではないでしょうか。

日本プロクシーガバナンス社編著による「議決権講師~みんなの議決権~」という冊子がありますが、これを読むと、日本プロクシー社の場合、社外監査役については二期8年を超えて就任する監査役については、その選任議案に一様に「反対」の助言をされるようです。8年でもかなり長いとは思いますが、社外取締役であればもっと短期間での交代ということも十分に独立性との関係から考慮に値すると思います。「独立性」要件を検討するにあたっては、こういった時間軸も含めて考慮されるような議論も、どこかで少しはなされたらいいのになぁと思う次第です。

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コメント

えー、お願いします。
かなり影響力のあるブログだと存じますので(笑)、
さも「社外取締役の義務化」が既定路線であるかのように
語られるのは極力避けていただきたいものです。

この土曜日もさる新聞に、
「アメリカでは報酬委員会がアドバイザーから「他の企業では
 取締役がもっと報酬を貰ってまっせ」と情報を得て、報酬額を
 上げることしか頭にないような社外取締役も少なくない」(文意)
と書かれていたかたがいましたが、
そういう例ばかりではないとは思いますが、
本家アメリカであっても弊害があるのに、カルチャーが異なるこの国に
果たして似つかわしい制度なのか(利点はあるとしても)、大いに
疑問を感じます。

各々の企業で、その企業をよくしようとするモチベーションや
ロイヤリティがいかに働いているのか、その実態をよく把握して議論して
いかないと「絵に描いた不味い餅」にしかならないと思います。

投稿: 機野 | 2009年3月29日 (日) 02時29分

株価を巡る裁判―会社に対する損害賠償請求の経済的合理性
http://www.jsri.or.jp/web/publish/review/pdf/4903/01.pdf

投稿: 小ネタの提供 | 2009年3月29日 (日) 06時48分

お久しぶりです。
「義務化」にせよ「独立性強化」にせよ
上場会社の規模を考慮要素から外すことはできません。
上場会社という一言で議論できる問題ではないと考えます。
たとえば
選択可能であるにもかかわらず、大企業の多くですら委員会設置会社
は選択されていないのです。それが何故なのか、そういったところに
焦点を当てた議論が必要です。
独立性強化に関して、賞味期限云々の話がありましたが、
ある程度会社のことを知り、会社の立場で「経営」する視点を欠く
人間には「取締役」の資格はありません。外野から文句だけ言って
、いざ判断を迫られると経営判断から逃げて「反対」するなどという
ことでは困ります。人間、判断の前提(情報)が乏しいと反対して
おきたくなるものです。
また、そもそも任期制の意義を考えるべきです。続投に問題があれば
再任されないはずであって、再任時に当該会社の株主、経営者が
議論すれば足りることです。それをこえて、制度で断ち切る
必要性と相当性があるのか、それを議論するべきでしょう。

投稿: JFK | 2009年3月29日 (日) 14時54分

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