「本人通知制度」と債権回収業務への影響
いよいよ年度末ですが、ちょっとビジネス法務に関わる話題をひとつだけ。もうご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、大阪の自治体では、4月以降(来年度)より「本人通知制度」が開始されますね。戸籍謄本や住民票の不正取得を防止して、個人情報保護を確実なものとするため、本人以外の者が正当な手続によって戸籍謄本や住民票を取得した場合、その事実を本人に通知する、というものです。(産経ニュースはこちら)大阪狭山市では、6月から開始されるそうです。
弁護士や司法書士など、「職務上取寄請求」が可能な者による取得も対象となるそうです。また、誰が取得したのかはわからず、単に「あなたの戸籍を誰かがとりましたよ。住民票をとりましたよ」といったことを本人に通知する、ということのようですね。(まちがっていたら訂正いたします。)そういえばテレビにもよく出演されていた弁護士さんが、不正取得で懲戒になったこともありましたね。なお、西日本新聞ニュースによると、たとえば大阪狭山市の場合には通知を希望する市民については事前登録が必要とのことで、どちらかというと、この「事前登録」の周知徹底がどこまでできるか・・・ということのほうが行政サービスの公平性の点からみて重要かと思われます。
しかし、ビジネス法務の観点からすると、債権回収とか、取引先への仮差押え、仮処分など、かなり影響が出るのではないか、ということで日弁連も注目しているようです。裁判所の手続を経る場合には、どうしても相手方の住民票や戸籍謄本(相続がからむケースなど)を取寄せることが必要な場合もありますし、もし「本人通知」がなされるとなると、こくいった密行性が不可欠な手続では、先に保全されるべき資産を隠匿されたり、譲渡されるケースも出てくるように思います。おそらく金融法務関連の雑誌等で、今後話題になるのではないでしょうか。
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