公正取引委員会、セブンイレブン値引き制限に排除措置命令か?
日経ニュースによりますと、公正取引委員会はコンビニ最大手のセブンイレブン・ジャパンに対して、加盟店への値引き販売制限が優越的地位の濫用にあたるとして、排除措置命令を出す方針を固めた、とのことであります。(いわゆる資料提出による弁明の機会が設けられるようですね)昨年10月に公正取引委員会がセブンイレブン本部に調査に入ったことは報じられておりましたが、いよいよコンビニも各加盟店ごとの値引き競争の時代に突入するのでしょうか?
そもそもオープン・アカウント方式なるコンビニ会計処理契約に関する法的性質(原則として準委任契約ではあるけれども、コンビニ会計の特殊性から、たとえ事務処理が無償であったとしても受託者の事務処理報告義務が認められる)が争われた平成20年7月4日最高裁判決によって、本部の加盟店に対する会計処理報告義務が認められたことが大きな転機になったのではないでしょうか。つまり消費期限が切れた商品については、売り切ることができなかった加盟店に負担がかかり(商品が売れたものとして、本部へ支払うべき手数料は増える計算方式)、かといって廃棄による加盟店側の負担を減らそうと、消費期限の近い商品を安売りしようとすると「値引きはだめだ」と本部から命令されるわけですから、これはかなりセブンイレブン側にまずいことだ、ということが報告内容から判明した(広く世間に知れ渡った)、ということなんでしょうね。
私もあまり詳しい分野ではありませんが、ひょっとするとコンビニの在り方に関わる大きな話題になるかもしれませんね。
| 固定リンク
コメント
以前からモニターしてた問題なもので、エントリーしておきました。
今後の動きがどうなるかについても興味がございます。
ご指摘の通り、最高裁判決での問題はこのビジネスモデル自体にとって大きな関連があるところがあると思いますので、今回の問題とも関連するところはあるのだろうなと思っておりました。
投稿: ろじゃあ | 2009年6月 1日 (月) 11時12分
はじめまして。
法務がご専門なので、違う角度からの話になってしまうと思いますが、おそらく安売り競争の方向には行かないと思います。
今回の判決を受けて、本部とFC間のルールが見直されて、何らかの落としどころが得られるのではないでしょうか。
むしろ私の観点としては、”もったいない”感覚(単に廃棄ロスによるコスト的な問題としてではなくて)をいい方向に持っていって欲しいと思っています。
一部のコンビニでは、廃棄食品を傘下の処理工場に運んで分別し、肥料にしたり、あるいは、期限直前の弁当を食堂に寄付して、それを100円定職として貧困層に提供したりしていますが、そういった試みを直の消費者に不利益を与えない範囲で積極化する機会にして欲しいと思っています。
そもそも3分の1ルールという慣習――期限の3分の1が経過するまでに出荷して小売の店頭に並べる、次の3分の1までに消費者に買ってもらう、それができなければメーカーの在庫、小売の店頭在庫は廃棄する、ということを止めなければ。そうすることで、自給率も少しは改善できるでしょうし、そういうトレンドも生じるのではないかと思います。
投稿: 鷹司堂後 | 2009年6月 3日 (水) 05時51分
鷹司さん、ご意見どうもありがとうございました。
このブログは一応「法務」でありますが、経営や会計・財務の観点からも様々なご意見をいただきます。今回の鷹司さんのご意見も、双方のメリットや、社会的な評価という点からも、賛同いたします。ただ、まだまだ加盟店側のほうが力が圧倒的に弱いように思いますので、対等な協議というところまではいかないかもしれませんね。今後の妥結点に注目しております。
投稿: toshi | 2009年6月 4日 (木) 00時50分
■フランチャイズにも内部通報制度を
DMORIです。
企業が不正を防止するための内部統制の一環として、内部通報制度の仕組みが要求されています。
現状では、おもに従業員のためのものですが、今回のセブンイレブン事件では、加盟店を保護するための内部通報制度の整備を義務づけることが必要ではないかと思います。
フランチャイズ本部の営業部門などが、加盟店に不当な圧力を加えて、本部の利益を確保しようとしていないか、加盟店が匿名で本部のコンプライアンス部門へ通報したり、外部の公正取引委員会や監督省庁の通報窓口を公示したり、といった通報制度です。
もしコンプライアンス部門が本部に同調してしまっていても、外部機関への通報も積極的に推奨すれば、社会正義からかけ離れた加盟店いじめは、かなりやりにくくなるだろうと思います。
加盟店は本部から契約更新を拒否されることを恐れて、泣き寝入りしていることが多いのでしょう。セブンイレブンが一流の上々企業として、コンプライアンスを標榜できるなら、自ら進んで加盟店のための内部通報制度を作ったらどうでしょうか。
また、廃棄した商品の損害を全額加盟店がわに持たせているなどの制度は、加盟店とのWIN-WINを考えている経営姿勢とは思えません。そして、単に「新鮮食品」のイメージを保つために、まだ充分に食べられるものを廃棄しているのは、飢餓に苦しむ世界の国を思うと、本当に憤りを感じる次第です。
投稿: DMORI | 2009年6月 4日 (木) 12時51分
DMORIさん、ご意見ありがとうございます。
ご趣旨は十分理解できるのですが、内部通報制度の外部窓口をやっている者からみて、一般の上場企業の役員と職員の関係と、本部と加盟店の関係が同一の視点で論じることができるのかどうか、ちょっと違和感を覚えます。職場の不正を糾す気持ちのようなものが、加盟店側にも備わっておられるのかどうか、また本部としても、加盟店側が外部に告発することについて、どれほどの「恐怖感」を抱くか、という点でちょっと企業内におけるコンプライアンス推進のための制度目的とは離れたところで用いられる可能性があるのではないかと思います。
ただ、本部と加盟店側との情報格差が縮まることについては、一歩前進といったところではないかと思いますね。
投稿: toshi | 2009年6月10日 (水) 01時49分
公取の排除命令が6/22に出て、あ、またコメントしてくるかな?のDMORIです。
公正取引委員会がセブンイレブンジャパン本部に対して6/22、排除命令を出しました。値引き販売をさせないように、本部が優越的地位を利用していると認定したわけです。当然の判定です。
これに対して、セブンイレブンの本部では、社長が記者会見で、「契約はあくまで対等の関係だと認識している」などと発言しています。契約上はそのように文言に書かれてあることは確かですが、現実の力関係が大きく異なることは、誰が聞いても明らか。そういう実態を無視して、対等の契約関係だとコメントすることは、コンプライアンスの低さを示すことになってしまうわけで、この程度のレベルなのかなあと思ってしまいます。
また、企業はコンプライアンスだけでなく、いまやCSR、社会に対する責任も企業価値として大きく問われる時代になってきています。セブンイレブンは、そういう観点にも立ってもらいたいと思います。
世界全体では、飢餓に瀕している人間が2割も存在しているそうです。まだまだ充分に食べられる弁当を廃棄することに対して、セブンイレブンに限らず、私たち日本国民はもっともっと真剣に取り組み、改善する姿勢を持たなくてはと思います。
投稿: DMORI | 2009年6月22日 (月) 22時23分
■定価販売は正当=「多数の加盟店値引き反対」-セブンイレブン-商売の原点?
こんにちは。私は、今回の公正取引委員会の命令は、良いことだとは思っていません。商売感覚のないお役人が、あまり調べもしないで安易に出したものだと思います。なぜなら、商売とは適正に仕入れて、適正な価格で完売することであり、それに向かって最大限の努力をすることが商売の原点だからです。もし、制限をつけるなどの措置をしないで、この命令を安易に受け入れれば、この商売の原点が崩れると思います。ここに書くと長くなってしまいます。詳細は是非私のブログをご覧になってください。
投稿: yutakarlson | 2009年6月23日 (火) 11時37分
しかしこの話題については、多くのブログでとりあげられていますね。私は以前のエントリーで述べた通り、昨年の最高裁判決が大きな転機になって、今回の公取委の排除措置命令に至ったとみております。ただ、どちらの言い分がどうだ・・・という点はいまだよく理解できていないものですが、多くの加盟店の意見はどうなんでしょうね?
投稿: toshi | 2009年6月24日 (水) 02時57分