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2009年5月 1日 (金)

日本郵船社のFSCPに重要な欠陥は認められるか?

もうすでにJ-SOXマニアの方々の間では議論になっているようでありますが、つい先日、ある大手監査法人の方よりお聞きした旬の話題であります。(すいません○○先生、ブログネタにしてしまいました!・・・・・m(__)m )日本の代表格の企業である日本郵船さんが、法人税額を計算する際にミスが生じて09年3月期の連結業績予想を大幅に訂正した、というお話。400億を超える金額の訂正は異例とのこと。(よく探してみると、毎日ニュースで報じていたのですね。まったく気づきませんでした。)

日本郵船社(3月決算)が財務報告に係る内部統制の有効性を評価する日は平成21年3月末日時点でありますが、訂正前の業績予想は3月26日、そして訂正発表は4月23日です。つまり、3月31日の時点では誤った業績予想のままであります。上の毎日ニュースにおける日本郵船社のコメントは「単純なミスです。いやいや、お恥ずかしいかぎり・・・」とのことでありますが、本当にお恥ずかしい・・・で済むのでしょうか(^^;; 日本郵船社では、決算の作業と税額の予測作業を別の部署がやっていたことが単純な計算ミスをチェックできなかった原因だったようでありますが、これって、FSCP(決算・財務プロセス)に重大な不備があったといえるのではないのでしょうかね??また、評価日時点では訂正されていなかったのですから、重大な不備がそのまま期末時点で残っているものとして、「重要な欠陥」に該当する、ということになるのでは??

さて、日本郵船社の内部統制報告書は、この業績予想訂正を踏まえてどのようなものになるのでしょうか?また監査法人さんはどのような意見を出すのでしょうか?なお、このあたりは先日金融庁からリリースされた「再追加Q&A」などが(ひょっとすると)考えるヒントになるのかもしれません・・・・

(注)話題が話題だけに、私見を書くのを控えさせていただきました。また、あまりに核心を突いたようなコメントにつきましては、管理人の勝手な判断で一部修正を加えさせていただくことがございますので(笑)、あらかじめご了承くださいませ。m(__)m 

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コメント

実務担当者としては、人ごとだけど、人ごとじゃないですね。今、大きな修正が入ったら同じ運命をたどると思うと恐いです。確かに単純ミスですが、この業務プロセスにおいてのキーコントロールが効いてなかったのかな、と思いますね。これまで問題が出てなかったから新たにチェック機能を設けない。これは、うちの会社も同じこと。上司なんかは、「今まで何十年も何も起きてないんだから、今更、無駄に業務を増やす必要はない。」などとホザいてます。どこの会社も、多くは今まで何も起こってないはずが、突然見えていなかったことや思いもよらないことが起こるから、問題になっているわけで、そんな勘違いの化石的な人々が問題を止めることを怠って、今回のようなことが起こるのでしょうね。ああ、人ごとじゃない…今年だけでも無事に終わりたいです。

投稿: takepon | 2009年5月 1日 (金) 17時37分

業績予想での税額計算が誤っていたのであって、
実際の決算での税額計算が誤っていたわけではないですよね。

基準・実施基準の「財務報告」の範囲に入るとは思いませんが。

内部統制の評価結果には影響しないんじゃないでしょうか。

投稿: 7☆ | 2009年5月 2日 (土) 00時57分

間違いが生じるような金額ではないとも言えるので、何も言えませんが、単に「連結当期純利益予測の過程で、法人税等調整額の予測方法等に不備があったことが判明」とのみ、4月23日の発表では述べておられます。
http://www.nyk.com/release/dbps_data/_material_/NYKCOM_JAPANESE/09-04-23_J1.pdf
決算短信では、個別損益計算書の法人税関係について大半の様であり、3月26日の段階で、子会社の税か何かで、繰延税金資産として計上が見込めない部分が生じていたのが、よく解りません。

株価を見ると3月26日の発表後31日まで下げ続け、その後上昇。4月中頃から再度下がり始めたとの感じであり、誤りがあった業績予想が、株式市場に混乱は与えなかったとのことでしょうか。

投稿: ある経営コンサルタント | 2009年5月 2日 (土) 12時06分

初めまして。
企業法務コンサルタントの三方と申します。

いつもながらJ-SOXなどに関する記事、勉強させていただいております。
行方先生のブログも本ブログで知り、感謝です。

文章が秀逸で楽しく読め、勉強になる貴重なブログですので、
これからも楽しく拝読させていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 三方愛 | 2009年5月 2日 (土) 21時09分

業績予想を出す(計算する)プロセスを内部統制的意味合いで定めている
会社さんがあるのでしょうか?

そりゃあ投資家・株主に対して示される重要情報ですから、出した側の
責任がないとは言えませんが、それを違反だとか欠陥だとかいうことに
されるのであれば、
会社の経理なんておっかなくてやってられませんよ(苦笑)。

あくまでもここでいう財務諸表とは決算についてのこととして
狭義で考えられなければなりません。

予算や予想は予想であって、その通りにはいかないものです。
いったい「予想し損ない」と「事務的ミス」とを
どう区別できるのでしょうか?

投稿: 機野 | 2009年5月 3日 (日) 01時00分

内部統制報告制度は「財務報告の信頼性」(将来リスク)を開示するものですから、狭義の財務報告に限定する、というのはちょっと理屈としてはおかしいでしょう。当然に予想も重要な開示情報ですから、そのミスも欠陥に該当しますね。

また、ここでは「400億を超える」ということが重要でありますから、単純な計算ミスとして済ませることは当然できないでしょうね。

投稿: unknown | 2009年5月 3日 (日) 01時51分

決算に至るプロセスには問題がなかったという一事をもって、
業績予想の基礎データの計算ミスにつき「お恥ずかしい」のひとことで
済まそうという姿勢には疑問を禁じ得ません。
(絶対的軽微な事案ではないと思うので)

業績予想は、投資家に対し投資判断に資する情報を提供するものである
とともに、会社内部においては各種計画の前提をなす情報です。
したがって、業績予想を導出するプロセスに構造的な問題があり、
これにより大幅な数値の差異が含まれていたとすれば、
組織目標の達成を阻害する要因となっていたことは明らかだと思います。

問題だと思うのは、構造的な瑕疵が予測の判断基礎に直結していた
という点、そして、その数値の差異が大きいからです。
業績予想は予測実施時点において収集・作成(加工)した客観的情報に
基づき、将来の不確定要素それぞれの確定度に関する主観的判断を容れて
導出されるものです。
予測の誤りには以下の2つがありえますが、正確には前者を予測の誤り
とは呼べません。
・判断基礎すなわち予測を行った時点の客観的資料の誤り
・不確定要素の不確定性ゆえに生じる予測と結果の差異
これに大幅な数値設定ミスが含まれていたならば、
単純な予測の誤りとして扱うわけにはいかないと思います。
対投資家の側面での問題にとどまらず、会社内部においても組織目標の
達成を阻害する重大な要因であるはずで、これを重大な欠陥と呼ばずして
なんと呼ぶのでしょうか。
(完全な素人意見でもうしわけないです)

投稿: JFK | 2009年5月 3日 (日) 15時46分

当然訂正されるべきミスであり、経営者に責任がないはずはありません。

ただ、あくまでも「財務報告に係る内部統制報告制度」という法律の
なかで考えた場合、これは該当しないと申し上げているだけです。

いくらでも拡大解釈の余地がある、鵺(ぬえ)みたいな制度ゆえ、
運用や解釈には厳密なものを求めざるを得ません。

投稿: 機野 | 2009年5月 3日 (日) 21時39分

7☆さん、機野さんのご意見を全面的に支持します。
「財務報告」の範疇に入らないものは、そもそも財務報告に係る内部統制の有効性評価の対象になりません。

投稿: 漉餡大福 | 2009年5月 5日 (火) 10時23分

「財務報告」云々の紋切型の議論は問題外として、
いわゆる“重要な欠陥”に“直ちには”当たらないことは大前提の議論だと思うのですが…

大幅に誤った基礎データに基づく数値報告が、そのまま業績予想として承認され開示されたのですよ。
これを、何の根拠もなく決算・財務報告プロセスと無関係だと結論できるのでしょうか?

重要な欠陥は措くとしても、内部統制に問題がないという結論が専門家の多数派だとしたらがっかりですね。ある意味“専門家らしい”議論です。

投稿: JFK | 2009年5月 6日 (水) 00時13分

専門家ではありませんが、JFKさんのご意見のとおりかと思います。
業績予想についても、「財務報告プロセス」の信頼性に影響を与える「全社的統制」(統制環境)の有効性と関わりがあることは明確でしょう。福島銀行のように会社法上の計算書類に重大なミスがあった場合でも、やはり「財務報告」ではないので内部統制報告制度とは関係なし、ということになるのでしょうか?
私も「重要な欠陥」に該当するかどうかは別として、「財務報告」とは無関係という議論にはならないと思います。

投稿: unknown2 | 2009年5月 6日 (水) 02時27分

業績予想は経営者にとって実績として集計される財務諸表に劣らず非常に重要な数字でしょう。特に今回は税金処理に技術的な特殊な問題があったようですので、経営者はその算出根拠など、説明を受けているはずです。担当者一人の作業ではなく、幾層もいる上司もしっかり理解した上で社外開示の決裁をもとめたはずです。その仕組みや必要な人材等の確保が内部統制上は求められているはずです。しかし結果としてミスが生じたのですから、個人の単純ミスだけではなく、そのミスを見逃した財務チームの力量が問われる問題であると考えるべきでしょう。そうするとチームとしての機能に重要な欠陥があると、世間常識的には評価されるでしょう。ただ法的にはその記載を必要としないという、「専門家」の業界常識が優先するのかもしれませんが。内部統制報告に対する監査制度が、誰のために、あるいは何を目的として作られたのか、あるいは育てるべきなのか、専門家の見解を伺いたいものです。

投稿: unknown3 | 2009年5月 6日 (水) 08時30分

エントリーを立てておきながら、コメントをできずに申し訳ございませんでした。m(__)m  文中記載のとおり、このたびのエントリーは、自身の疑問というよりも、他者様のご疑問を紹介させていただいたような次第です。また実名ブログとしては、なかなか自身の意見を書くのも難しい内容です。
私も専門家ではございませんが、内部統制報告制度に関心を持つ者のひとりとしましては、
こういった問題について、経営者と監査人が意見形成の合意(合意といっては語弊があるかもしれませんので、意見の極端な食い違いを回避するため、といったほうがいいかもしれません)をはかるために追加Q&AがFSAから出されたのではないか、
と考えています。JFKさんはじめ、コメントをいただいた方からご批判を受けるかもしれませんが、こういったミスがどうやって修復されていったのか・・・、その経過がきちんと説明できるかどうか、というあたりが論点になろうかと思います。ただし、そのあたりは外からは伺い知ることはできないところでして、あくまでもテクニカルな処理かもしれませんが。(ただ、内部統制報告制度とこのたびの業績予想の修正との関係自体が問題とされているのであれば、私自身もどなたかがコメントされているように、統制環境という面では有効性判断との関係は否定できないと思います)
「重要な欠陥」が認められ、内部統制は有効ではないとする報告内容の場合には、いろいろと説明すべき事項が多いと思いますが、こういったケースで、内部統制は有効である、と報告するのであれば、A4一枚の報告で足りるのかどうか、そのあたりは私も疑問のあるところです。

なお、毎度申し上げることですが、コメントをいただく場合には、なんでもけっこうですのでハンドル名を併せて記入いただきますようお願いいたします。

投稿: toshi | 2009年5月 6日 (水) 11時37分

「そもそも論」を書いてもしようがないのですが(笑)、
いったいそもそも日本に内部統制報告制度なる制度を本音レベルで作って
欲しい、作るべきだという投資家、事業法人が1%もいたでしょうか。

「専門家」さんなんてどうでもいいんです。そういうかたがたは
制度が必要だといっては作り、足らないといっては増やし、
そうやってご自分たちが食いっぱぐれのないようにとお考えになるもの
ですから。昔からそうだし今もそしてこれからもきっとそうでしょう。

正直付き合い切れませんが、付き合わないとしようがないわけで(笑)。

とにかく現場の人間が犠牲にならないような、そういう考え方を
取り戻していきたいものであります。

どんなに法律、規制を強化しようと、交通事故が絶対になくならない
ように、戦争さえ根絶されないように、この世から犯罪も不正も誤謬も
決してなくならないのです。
無くせると思わないことから始めないといけないのかなと思いますな
(むろん減らす努力は必要です。費用対効果を考えながらですが)。

投稿: 機野 | 2009年5月 6日 (水) 19時51分

>こういった問題について、経営者と監査人が意見形成の合意(合意と
>いっては語弊があるかもしれませんので、意見の極端な食い違いを
>回避するため、といったほうがいいかもしれません)をはかるために
>追加Q&AがFSAから出されたのではないか、

なるほど、読んでみますとたしかにそのような気がいたします。
業績予想との関連は不明ですが、少なくとも財務諸表に直接およびうる
基礎データの誤りに関しては、その頻発性、個々の誤りの質などから
ケースバイケースで協議するしかないようですね。
結局、場合によっては重要な欠陥にあたる可能性があるということですか。

投稿: JFK | 2009年5月 6日 (水) 22時49分

最初にコメントしておいて何もせず放置(ロム)しておりました。皆さんのご意見は、どれも、ごもっともと思われますが、担当者は最終段階に入っており、報告書への記載に移らないといけない状況です。どこの会社も、1【財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項】に「財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の記載を完全には防止又は発見することができない可能性がある。」…などの一文で逃げざるを得ない状況なのかと思われます。正に「内部統制制度の限界」に至るのでしょうね。自社の感覚で400億という数字はこれを承認している仕組みが出来ていないという問題。という感覚であったので、キーコントロールの不備。全社的な内部統制の統制環境、決算財務プロセスの不備という感覚であり、「いち担当者の単純ミス」では済まされないと思った次第です。自社での感覚的な意見を述べているので、皆さんとはズレているのかもしれないですが、自社で400億の承認機能に問題があれば、この金額で子会社の予測が違えば、評価範囲にも影響します。内部統制制度においては、「最初から違う!」となるので、今後の対応が一番興味がありますね。

投稿: takepon | 2009年5月 7日 (木) 09時51分

ご無沙汰しております。中堅企業の担当者のtonchanです。

 皆さんの格調高いお話とは少し違うのですが、担当者としての私見としてはこうなります。

1.全社的な統制でいうところの十分な会計の知見の有る要員と管理者を用意しているのか?(これ自体が当社規模では困難です。)要員がいなければチェックなどできません。
2.全社的な統制に問題が無い場合に、プロセスとしての統制の問題になります。

 担当としては、全社的な統制に不備が有るという結論は正直厳しいですね。今期は何とかなったとしても、要員の問題となってしまうと最悪は要員のアサインが必要となっていまいます。これは内部監査の範囲を超えています。会社のガバナンスに関わる重要な問題のように思います。
 全社的な統制は合格するのが前提だよ、というテキストもたくさん読みましたが、改めて考えると恐ろしい前提だとつくづく思います。

雑駁な意見で申し訳ありませんが、改めて全社的な統制の恐ろしさを痛感しているtonchanでした。

投稿: tonchan | 2009年5月 7日 (木) 12時29分

長らくご無沙汰をしておりましたが、内部統制評価実務もほぼ一段落し、今までの業務経験を通じてコメントさせていただきます。

まず、業務プロセスにおける内部統制に関してですが、今回の件は業績予想の算出における誤謬ですので、直接的には内部統制の不備等々の議論とはならないかと考えますが、企業の事業活動として重要な業績予想の算出における税額計算の誤りを防ぐもしくは発見できなかったことに関しては、財務報告における決算数値の税額計算の算出も誤るリスクが高いと認識することになります。

なぜなら決算数値と予測数値で算出の精度は違うにせよ、算出担当者やチェック担当者は同一であるはずですし、精度が違うといっても数百億円規模の見積額の差異に影響するような項目を予測数値に取り込まないということは考えられないからです。

その結果、監査の視点からもより注意深い監査手続きが行われることが想定され、会社側もより厳密な評価手続きをする必要性が高まると考えられます。

また、他のより見積もり的な要素の高い項目や税額計算における損金不算入に係る項目、例えば減損や評価損、各種倒引当金の業務プロセスにも同様のリスクが存在しうる可能性がないかを検討し、場合によっては評価対象の業務プロセスの範囲を増やす必要性があるかもしれません。

次に、全社的な内部統制に関してですが、当初のチェックリストによる全社的な内部統制評価の結果が有効と判断していた場合でも、当該業務プロセスでの事象の原因の本質をとらえたうえで、最終的には全社的な内部統制の不備と認識せざるを得ない可能性があります。

全社的な内部統制の最終評価結果は、結局のところ、当初のチェックリストの評価結果ではなく、チェックリストの評価結果を踏まえて行った業務プロセスの評価結果から、導かれることになると考えます。
トップダンでアプローチし、ボトムアップで振り返るといった具合です。

とはいうものの、結局のところ会社側のみならず、監査人側も今までの財務報告の信頼性までもを揺るがしかねない「重要な欠陥」という最終報告を望んではいないので、ここまでの影響力の大きい会社ですと、さまざまな理屈付けを行った結果、「重要な欠陥」ではないとなることになろうと思います。

このたびの内部統制評価報告制度に関しては賛否両論あるところではありますが、私としては、いかに「活かす」かがポイントなのではないかと考えております。

世の中一筋縄ではいかないことばかり、理不尽なことや理屈に通らないことも多くある中で、すでに皆さん個人、法人含めて生きてきたのですし、それに対する反骨精神や、そんな環境でも貫いていきたい志をもっての行動の結果が、さまざまな進歩や発見に結びついてきているのですから。

あえて個人的に興味があるとすれば、
 ・この制度を作るために国がどれだけのコストをかけてきたのか
 ・この制度を作るためにかけたコストに見合うリターンがあったのかの
  検証を行ってくれるのか
の2点です。

全社的な統制でも、ルールは作るでけでなく、作った人がその浸透度合いや効果などをモニタリングしているかが求められているわけですから。

投稿: hisaemon | 2009年5月 8日 (金) 01時49分

tonchanさん、hisaemonさん、実務的なご意見参考になります。私は特に全社的な内部統制を中心に業務を行ってきました。(入社1年目で内部統制担当者になったため、自社の業務プロセスまで細かな点を知らないということで…経理経験も全く無い元クリエーターだったのですが)
正直言って、振り返れば何故こんな重要なことを私がと毎日のように思って2年。終点が見えてきた気持ちです。でも本当は、この制度が今後根付いて、更に費用対効果が見えるようになって初めて終点ですけどね。正直言って根付くかどうかは「疑問」です。
担当者がいたことで、内部統制は担当者の仕事というイメージが出来てしまったからです。さて、2年後に内部統制制度は浸透しているのでしょうか?企業不祥事は起こらなくなっているのでしょうか?みなさんは、どちらだと思いますか?

投稿: takepon | 2009年5月 8日 (金) 14時27分

初めてですが、いつも感心しながら(時々、独り言を言いながら)読ませいただいています。法事で田舎に帰省していたもので、内部統制の整備と評価の実務をやっていながら、恥ずかしながら、この話題については知りませんでした。TOSHIさん、ありがとうございます。                                        そもそも内部統制は、財務報告の信頼性に関する評価ですから、業績予想は「決算・財務報告に係る業務プロセス」の評価及び監査対象にはならならないと思います。しかしながら、全社的統制や開示統制の対象にはなりますので、内部統制が有効に機能しているとは言えないと思います。一般的な企業では、開示委員会のような委員会組織があり、そこで開示に関するモニタリングを実施している(上場会社は証券取引所に宣誓書まで提出している)と思われるので、そのチェックが機能していなければ、内部統制における重要な欠陥にはならないまでも、不備事項にはなりますし、内部統制報告書に記載するかどうかは企業の判断だと思います。また、内部統制監査報告書における記載や監査役の監査報告書においても、どのように記載されるのか・・・株主総会では質問が出るのか・・・(人ごとではないので心配しています)

投稿: KY | 2009年5月 8日 (金) 19時31分

会社発表を読むと、税額計算ではなくて、税効果(おそらく、繰延税金資産の回収可能性の見積もりか何か)の誤りのようです。
何人かの方が指摘しておられますが、やはり、予測作業のミス自体は、「財務報告に係る内部統制」には含まれないと思います。財務諸表やそれに影響する開示事項には当たらないようなので。従って、毎日JPの会社コメントを信じる限り、金商法上の内部統制の欠陥にはならないんじゃないでしょうか。
もっとも、会社が対外発表した情報に大きな間違いがあったわけですから、「財務報告に係らない内部統制」に重大な問題があったんだろうと思いますし、内部統制と離れても、会社の行為として極めて不適切だったことは間違いないと思います。

投稿: ロックンロール会計士 | 2009年5月 9日 (土) 01時10分

内部統制報告制度を導入した結果、こうした「技術的/専門的な不備」が頻出→
報告で「合格」もらった後に不祥事が発覚→
内部統制「報告」制度ではなく、内部統制自体が役に立たないとレッテルを貼られる→、、、

こんな流れになりはしないかと危惧されてなりませんね。

投稿: Amanojack | 2009年5月 9日 (土) 01時50分

業績予想自体はJ-SOXの範囲ではないと思いますが、
今回の税金計算ミスが会計監査人によって発見されたのなら
J-SOX上の不備に入るのではないでしょうか。

通常、税金計算の担当者は業績予測でも決算でも同じ人たちがやっているはずです。
その人たちが決算での税金計算を間違えたままで決算プロセスを終了し、
その間違いが会計監査で発覚したとするなら税金計算の決算プロセスでは不備があると
監査人は判断するでしょう。
しかし、税金計算の決算プロセスで税金計算ミスが発覚したのであれば
内部統制は有効に機能していると判断できるのではないでしょうか。
ただ、今回の税期計算ミスの会社発表が4月23日なので
会計監査人によって指摘された可能性が高いと思いますが・・・

仮にこれが監査人による指摘で内部統制の不備になるとすると
重要な欠陥になるはずですから、有報がどうなるか楽しみですね。

投稿: k-sox | 2009年5月10日 (日) 15時07分

k-soxさん、パンドラの箱を開けちゃいましたね(^^;
(ひょっとして私と面識のある方でしょうか?)
コメントに一部修正を加えるべきかどうか迷いましたが、管理人の責任でそのまま掲載させていただきました。

これ以上は、コメントできませんのでご勘弁ください。


投稿: toshi | 2009年5月10日 (日) 18時45分

小職も、K-SOXさんの考えるように、財務諸表監査で発見された税務計算の誤りだと思います。であれば、業績予想であっても、その作成プロセスに問題があるということで、内部統制上の不備事項になるのでしょう。特に、この会社さんはやたら訂正報告書の提出が多いし、一体どんなチェック体制になっているのか、他人ごとながら心配しています。ただ、今期の実効税率が25%と前期の40%に比べて異常な低さであり、誤りが起り易いぐらい、かなり計算過程が複雑なんでしょうね。      話は違いますが、US-SOXにおいては、「財務諸表監査においては、会計士によって誤りが発見された場合には、内部統制においてもその業務手続に問題があるため重大な不備事項になる」とされていました。そのため、決算発表を遅らせて監査前に社内チェックをきっちりやるといった対応をした企業もありましたが、証券取引所から要請される決算早期化や適時開示の本質からはずれることもあり、議論がうやむや(?)になりました。J-SOXにおいては、財務諸表監査において発見された誤りについては、決算業務が未了であり監査も同時に実施していることを理由に、明らかに業務手続に欠陥があるような場合を除き、「重要性がないことを条件に、内部統制上の不備事項とはしない」というのが一般的な監査法人の対応のようです。監査人も「不備事項」としないために色々と苦労しているようですね。

投稿: KY | 2009年5月11日 (月) 13時37分

毎日jpに掲載されている会社コメント、「決算の作業と税額の予測作業を別組織がやっており、チェックできなかった。」が間違いで、実際には「税金計算の担当者は業績予測でも決算でも同じ人たちがやっている」のであれば、おっしゃる通り「J-SOX上の不備に入る」可能性があると思います。
(内容が重複するコメントで心苦しいのですが、)会社コメントが正しければ、やはり、金商法上の内部統制の欠陥にはならないように思います。

投稿: ロックンロール会計士 | 2009年5月13日 (水) 19時58分

日本郵船の内部統制報告書、「有効である」との結論でしたね。付記事項、特記事項も「該当事項なし」。
結局、内部統制の不備ではあるが重要な欠陥には該当しなかったのか、はじめから不備ではなかったのか、そもそも評価対象外だったのかはわからずじまいですが..

投稿: 漉餡大福 | 2009年6月23日 (火) 21時52分

漉餡大福さん、おひさしぶりです。また、そちらのブログにおける分析も読ませていただきました。
日本郵船の件は、先日エントリーで盛り上がったときに、hisaemonさんのご登場でほぼ決着はついたなか・・・といった印象を持ちました。まぁ、評価対象外ということかもしれませんし、自浄作用が機能した、ということだったのかもしれません。(そのあたりの説明とか、聞きたいところなのですが・・・)

投稿: toshi | 2009年6月24日 (水) 02時52分

「予想は予想であって財務諸表上の不備ではない」
Q&A等に照らしつつ、これが当然の結論であったのだと思います。

投稿: 機野 | 2009年6月24日 (水) 06時10分

なんか釈然としませんが、さすがに監査人も「有効でない」との意見表明はできませんから、予想通りでしたね。もともと監査法人も、是正措置の実施を前提にした内部統制整備でやってましたから、よっぽどでない限り、「限定付」「不適正」又は「意見不表明」はないんでしょう。   しかし、財務諸表監査で修正事項が発見された場合は、たとえ財務諸表を正しく修正しても内部統制上は「不備」になるのに、多くに監査法人では、会社から提出された財務諸表は最終版ではなくドラフトであるとして、修正指導している実態から、「不備」なんてありえないんでしょう。ある会計士からは、上場会社の5%は「重要な欠陥」又は「意見不表明」の予定と聞いていましたが、まだ5社ですから、少し拍子抜けですね。(笑)

投稿: KY | 2009年6月24日 (水) 13時21分

hisaemonさんのコメントに概ね同意しますが、「業績予想における事務ミス」という一事を以って全社的な内部統制の不備云々というのは、実施基準に記載された全社的な内部統制の不備の例や全社的な内部統制の評価項目の例に照らしても違和感を覚えます。
業務プロセスに係る内部統制については、業績予想と決算・財務報告プロセスは別ものであり、共通する部分があったとしても、後者には独自の統制が存在する等の議論が行われたのではないかと想像しています。

あと、hisaemonさんご指摘の
>・この制度を作るために国がどれだけのコストをかけてきたのか
>・この制度を作るためにかけたコストに見合うリターンがあったのかの
> 検証を行ってくれるのか
については、「制度を作るためのコスト」だけでなく、それを「会社が運用していくコスト」とそれに見合うリターン(会社、および投資家にとっての)も検証される必要があると思います。

投稿: 漉餡大福 | 2009年6月24日 (水) 18時27分

蒸し返すようで恐縮ですが
業績予想の開示ミス※をもって“直ちには”不備や重要な欠陥にはあたらない、というのが一応の結論ではなかったでしょうか。
(※私は単なる「事務ミス」ではないとの理解です。内部で承認され開示まで至っているので。)
開示ミスは現象であって、それ自体が結論をもたらすものではないと思います。
当該ミスの規模、内容、原因如何によっては、何らかの統制上の問題の兆表とみるべき場合があり、それが監査方法・結果にも影響しうるということだと思います。
本件ではどうかというのは事実が判らない以上なんともいえません。

投稿: JFK | 2009年6月28日 (日) 01時25分

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