カッコいい常勤監査役さんの引き際・・・
日本公認会計士協会は、6月1日付けにて、「会計監査人の選任議案及び監査報酬の決定権を監査役等に付与する措置の検討等について」と題する要望書を、法務大臣宛てに提出されたそうであります。(内容は会計士協会HPより閲覧可能です)そこには会計監査人の選任、監査報酬の決定権限を監査役会等が有する仕組みや、社外監査役の独立性強化、監査役スタッフの増員などに関する法改正について、法制審議会で検討されるように、との要望が含まれております。制度改正の側面から、今後の監査役制度や会計監査制度の実効性を高めていく必要性が、そこに明記されております。しかし、個々の企業における監査役制度の実効性を高めるものは、制度改正によるものだけではありません。
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昨年いろいろとお世話になった、ある監査役の方より「ご挨拶」と題するメールを本日頂戴いたしました。私よりもかなり年配の監査役さん(でも、たいへんお元気!)で、長期にわたり常勤を務められ、まさに内部統制監査とともに監査役の道を歩んでこられた方です。監査役在任中、大きな不祥事も経験されました。そして社内のガバナンス改革にも目に見える形で関与されてこられました。以下、そのメールの一部をご紹介いたします。(伏字は管理人の責任によるものです)
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たしかにTDNETを確認したところ、退任予定監査役、とあります。△△さん、カッコいい!カッコよすぎる。。。(涙)
これまで△△さんが監査役としてやってこられた改革をお聞きしていただけですが、今回のご退任の理由をお聞きし、ナットクいたしました。常にこれだけの覚悟をもって自社のガバナンス改革にあたってこられたんですね。
たしかに監査役の任期(とりわけ常勤監査役)が一致している場合に、2年の期差任期を監査役に導入するためには、補欠(定款により退任監査役の退任満了時までとすることが可能)としてではなく新任として監査役を選任するしか方法はなく、また監査役の増員をしないかぎり、現任監査役が辞任しなければこれを実現することは困難であります。監査役の牽制機能を常に充実させるためには、監査役会としてのレベルを一定に保つ必要があることもまさにおっしゃるとおりかと思います。
また、最近どうも監査役選任にあたって、「この監査役さんは、ちょっと会社とのこれまでの関係からみて監査する立場としては『利益相反』に該当するのではないか?」と思われる人選がみられるように思われますが、監査役の改選期が皆同じとなりますと、反対しづらいところもあるのでしょうね。いくら監査役が独任制といいましても、やはり監査役会としての意見というものが単独の監査役の意見よりも事実上影響力が大きいことは自明だと思われます。
△△さんの引き際をみて「監査役はこうでなければ・・・」とまでは申しません。ただ、昨年いろんなお話をさせていただいておりましたので、「あぁ、△△さんらしい引き際だなあ」といった感慨を持ちました。ガバナンスは制度によって作られるだけでなく、こうやって「人によって作られる」ものなんですね。△△さん、どうもお疲れさまでした。そしてこれからも、ご指導のほど、よろしくお願いいたします。m(__)m
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コメント
カッコよすぎるほど、いい話です。(涙) そのような義侠心(?)のある監査役さんもいるんですね・・・カンドーしました。 ちなみに、当社の監査役については1年毎に任期をずらしています(社内、社外とも1年づつ任期が違う)ので、懸念されるような事態が発生しない仕組みにしていますので、安心していますけど。
投稿: KY | 2009年6月 3日 (水) 11時57分
こんにちは。
法務にはあまり詳しくありませんが、このような監査役さんもいらっしゃるのですね。うちの監査役さんとは・・・(ということで、このブログをぜひうちの監査役さんにも見てほしいところです)しかし社長さんは慰留されるよう説得されなかったのでしょうかね?
投稿: gucci | 2009年6月 3日 (水) 13時58分