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2009年6月26日 (金)

内部統制報告書の検討(その5-補完統制を評価した事例)

(追記;すごいアクセス数・・・。ブログの名前を「ググっては投げ」に変えたほうがいいかもしれません・・・わかる人だけにウケていただければ結構です。本当は、各社の事業報告や、監査役監査報告において、この評価結果をどのように受け止めているか、という点にもっとも興味があるのですが、とりあえず特色のある報告書を拾い出すだけで精一杯になってしまいました。後日の検討材料といたします。)

総会ピーク日ですが、私は昨日でほぼ関連の業務は終了しましたので、本日(6月26日)はひさしぶりに事務所で仕事をしております。まだ午後2時半過ぎですが、すでに本日は「内部統制は有効ではない」とする報告書が10件以上出ておりますね。まだまだ増えそうですね。ちなみに、(内部統制は有効ではない、とする報告書についての)本日提出分は以下のとおりです。←午後6時20分現在21社(意見不表明を合わせると23社)ですね。

カラカミ観光さん(JDQ)、ビーアールHDさん(東証)、バルクHDさん(名証)、横浜丸魚さん(JDQ)、コタさん(大証)、ソリトンシステムズさん(JDQ)、岩崎通信機さん(東証)、サハ・ダイヤモンドさん(JDQ)、アールビバンさん(JDQ)、葵プロモーションさん(東証)、フォスター電機さん(東証)、日本ケミコンさん(東証)、滝沢ハムさん(JDQ)、ヤマシナさん(大証)、ミツウロコさん(東証)、KFE JAPANさん(名証)、アークさん(JDQ)、市光工業さん(東証)、東京美装興業さん(東証)などなど。そしてなんと!  あのダボス会議で持続的成長を遂げる世界の100社に選出されたダイキン工業さん(東証、大証)が「重要な欠陥があり、内部統制は有効とは認められない」と! ・・・・(感動モノ・・・いろいろな意味で今後話題になるでしょうね・・・)←例の過年度決算修正の関係でしょうね。またセントラル硝子さん(東証・大証)もかなり詳細な開示をもって「有効ではないと評価した」と報告されています。

また、ゼンテック・テクノロジー・ジャパンさん(大証ヘラ)、ユニオンHDさん(東証2部)について、監査法人による意見不表明文書受領に関するリリースが出されております。

なお、財務報告に係る内部統制は評価結果としては有効とされているものの、おもしろいのが三谷セキサンさんとニッカトーさん(東証)であります。とくにニッカトーさんの報告書によると、内部統制については一部評価できなかった部分があるが、補完統制が効いているために、全体としてみれば重要な欠陥には該当しない、とのことであります。これはよく昨年あたりのセミナーで、「こうすれば重要な欠陥が残らないのでは?」とご提案されていたパターンのひとつでして、「重要な欠陥」は評価の問題なので監査人と十分協議すれば補完統制が認められる場合もあるのではないか、と考えられていたところであります。自社に補完統制が認められるかどうかを真剣に検討すること自体が、(お金をかけることなく)財務報告体制の効率化や不正発見のために有効であると思われます。本件がどのような経緯で、こういった記述となったのかはわかりませんが、検討すべき報告書のひとつとして挙げておきたいと思います。(ほかにもルネサスイーストンさん、スカパーJSATHDさんの内部統制報告書も特色がありますよ)

その他、三菱UFJフィナンシャルさん(東証ほか)は、特記事項(米国SOX準拠+情報開示委員会による評価)に特色があるようです。

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コメント

いつも楽しく拝読しております。LDH(旧ライブドア)の配当の件を取上げてください。LDHはひょっとしたら非公開会社かもしれませんが、堀江氏のみ配当を出さないという報道が出てます。どういうことでしょうか?

投稿: colorado | 2009年6月26日 (金) 22時43分

coloradoさん、いつも閲覧いただきありがとうございます。

読売新聞ニュースで「LDHは第二位株主である堀江氏には配当しない模様」とありますね。しかし、配当請求権は株主権の根幹に関わる権利ですから、剰余金処分に関する決議が行われた以上は、堀江氏に支払わないと株主平等原則に反することになります。

ただ、LDHは堀江氏に対して損害賠償請求訴訟を提起していますよね。具体的な配当請求権が付与された段階で、裁判で争っている損害賠償請求権を被保全権利として、この堀江氏の会社に対する金銭支払請求権を仮差押えすることになると思いますね。(これは配当金額の3分の1か4分の1程度の現金を供託することができる以上は、当然に現経営陣としての職務として必要な対処方法だと思いますが)したがって、LDHとしては「堀江氏には配当金は払わない・・・」と述べているのではないかと思いますが。

投稿: toshi | 2009年6月27日 (土) 02時52分

Toshi先生がコメントされています「補完的コントロール」について、補足させていただきます。(一般の企業さんと違う処理であればご容赦願います)                              内部統制の整備評価において、1つのコントロールでたとえ不備事項が発見されたとしても、他のコントロールがそのリスクを軽減するために有効に機能しているのであれば、重要な欠陥には該当せず、全体的なコントロールはきいていると判断されます。従って、内部統制の評価結果は「有効である」と記載すべきであり、わざわざ追記するほどのことはないと思うのですが・・・(たぶん、補完的コントロールでカバーされた不備事項については、多くに会社では「重要な欠陥」に該当しないとして記載していないと思います)                                                          話は変わりますが、全ての内部統制報告書を閲覧した訳ではありませんが、「重要な欠陥」のパターンをまとめてみました。(コメントは小職の勝手な感想です)                         ①重要な決算業務手続の不整備 ←これって基本的なことですよね。  ②経理担当者のマンパワー不足、知識不足 ←米国でも、この手の不備事項が多く見受けられました。特に、経理担当者に対する教育とかができていない企業が多いようですね。                   ③期末の会計監査で発見され財務諸表を修正(決算・財務報告プロセスの不備) ←金額的重要性が低ければ指導事項にしますが、きっと財務諸表に与える影響が大きかったんでしょうね。              ④ガバナンス、リスク管理の不備 ←会社法の「内部統制システム」でも求められている事項ですよね。                   ⑤過年度決算の訂正、財務報告に関する不正の発覚 ←先に発見して修正(業務手続の是正措置を含む)しとけば良かったのですが、期末日以降であれば、どうしようもないですね。                 ⑥評価の一部又は全部の未実施 ←資源(人、金)がないのか、それとも内部統制整備に関する意識が低いのか、どっちなんでしょうかね。                                    しかし、【付記事項】の是正措置については、魂が入ってないというか、もう一つ力強さに欠けますね。   

投稿: KY | 2009年6月29日 (月) 13時47分

KYさん、コメントありがとうございます。
拾い出すのに精いっぱいで、内容までまだまだ精査できておりませんので、こういったご意見をいただきますと助かります。

ただ、ここのところ、コメントをたくさん頂戴するのですが、各企業への個別のご批判が多く、誹謗中傷にあたると思われるものが散見されます。(個別にコメントを非公開とさせていただいております)どうかご理解のほどよろしくお願いいたします。

投稿: toshi | 2009年6月29日 (月) 13時57分

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