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2009年7月15日 (水)

ロッテリアの戦略は「食への冒涜」ではないか?

タイトルはずいぶんと批判的なイメージにとられるかもしれませんが、あくまでもコンプライアンス上の問題として客観的に考えてみたいと思います。ロッテリアが16日から31日まで「絶妙バーガー」なる新製品を販売するにあたり、買った人がおいしくないと判断した場合には代金(ただし単品価格のみ)を返却するとのこと。(日経ニュースはこちら)ブログ上でもずいぶんと話題になっているようです。

そもそも半分以下のハンバーガーを食べた時点において「おいしくない」と申し出た場合に代金を返す・・という商品売買契約の法的性質(契約内容)についてもかなり興味がありますが(たとえば2個買って1個食べた時点で1個返して代金全額の返却を請求した場合はどうなるのか?)、これは他の法務系ブロガーの方にお任せするとして、この「おいしくなければ代金返却」なる宣伝戦略はロッテリアにとってマズイことにはならないのでしょうか?コンプライアンスは「法令遵守」だけではない・・・というのは、すでに耳にタコができるほど聞いたフレーズですし、企業の社会的信用を低下させることを防止することこそがコンプライアンス経営の主流だと思います。現実にいろいろな場面を見てきた経験からしますと、法律に照らしてあれもダメ、これもダメと企業の創意工夫を元から毀損してしまうようなものがコンプライアンス経営とは言えない時代になってきたように感じております。

ただ、だからこそ、社内で「これでいこう」と創意工夫の下で作られた企業戦略が社会においてどう受け止められるか?という感覚(理屈ではなく)はとても重要ではないでしょうか。私としては、この「食べたのが半分以下ならば返金する・・・」という条件がとても気になってしまいます。私も外食産業の役員をしておりますので、食べ物に対する思い入れはとても強いほうだと認識しておりますが、最初から「食べ物を残す」ことを前提に商品を販売する、というのはとても違和感を覚えます。企業が自信をもって商品を開発し、お客様に提供するのであれば、到底「おいしくなかったら残してください」とは言えないですし、一生懸命ハンバーガーを開発し、また現場で売ってくれている社員の方々に対しても、役員として(そんなことは申し訳なくて)言えるものではないと思います。さらに、お客様が残されたハンバーガーは再利用できないわけで、最初から(報道によれば1%から5%程度は)廃棄されることを前提として販売する・・・というのは、あまりにも食への冒涜ではないでしょうか?私には、いっそのこと、全部食べた後でも「おいしくない」と感じたら返金するほうが、よっぽど企業理念としての「食へのこだわり」を感じます。また、美味しいものを提供したいと思って新商品を販売するのであれば、その商品は売り切って、代金を払った人のクレームを真摯な態度で拝聴するからこそ、その苦情を次の商品開発に生かせるのではないでしょうか。(よくよく考えると、返金してもらった代金で、さらに絶妙バーガーをその場で購入して「美味しいね!」と食べつくす方々のクレームというものは信用できるのでしょうか?・・・・・・(^^;  )

いえ、私はとくに上記のように憤っているわけではなく、あくまでも、そのように考える人たちも多いのではないかと推測いたしますと、この戦略は商品自体の広報戦略としては上出来だとしても、ロッテリアという伝統的な食品会社のイメージを毀損する戦略になるのではないかと考えますが、いかがなものでしょうか。長年、日本で培われてきたロッテリアの商品なのですから、絶妙バーガーが美味しくないわけがありません。(主観的な判断で足りるのか、また他社製品と比較して感じるものなのかはわかりませんが・・・)大阪地裁堺支部への行き帰りに、南海堺東駅下の店舗に立ち寄るロッテリアファンのひとりとして、今回の戦略がロッテリアの社会的評価を低下させることがないように祈念しております。テレビショッピングで「膝当てサポーター、もし効果がなければ2週間以内なら返品可能!」というものとは、食品の場合にはわけがちがいますし、また消費期限問題のように、「売りたかったけど消費期限が切れてしまって廃棄せざるをえない」場合とは状況があまりにも異なると思いますが、どんなものでしょうか。

7月 15, 2009 コンプライアンス経営はむずかしい |

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コメント

同感であります。
論理的にもおかしな商売です。なぜなら、返金確率を踏まえた価格設定をしているはずなので、おいしいと感じて返金を求めなかった人は、おいしいと感じつつも返金を求める合理的な人のためにコストを負担するバカ正直者ということになるからです。

投稿: JFK | 2009年7月15日 (水) 23時29分

こうしてアチコチで取り上げられることによる広告効果は数億円以上にも
なるような気がいたします(笑)。

マクドナルドの一人勝ちの業界に於いて、これぐらいの奇手を取って
目立たないと埋没してしまいますからね。
そういう意味ではこの広告戦略は大成功です。

食べ物は大切にすべきなのは言うまでもありませんが、しかし日本の場合
どうもその裏側に時代遅れの「農本主義」=お百姓さんが一番!=が
見え隠れしているようで、鼻白んでしまいます。

投稿: 機野 | 2009年7月16日 (木) 00時27分

先生の《怒り》に同意します。
テレビが好きそうなPR戦術で、まともに考えるのもバカらしいですが、当初案にはなかったのに上司に修正させられたような《半分まで》とか《意見の提出》は姑息で、市場調査なら市場調査らしく協力者にクーポンでも謝礼に配ればいいように思います。
コンビニの廃棄処分にもとても腹が立ちます。規則的な理屈が立つのは理解しますが、もっと大きな価値観の欠落を見る思いです。木を見て森を見ないのもコンプライアンスの行き過ぎた側面かもしれません。常識(と言っても今は変質していますから)、江戸から明治の頭を飛ばして平成初めまでの常識に従えば、もったいないことをするのは悪です。工夫して利用するのが日本人だったように思うのですが。

投稿: TETU | 2009年7月16日 (木) 02時05分

私も同感です。怒りとまではいきませんが。

面白がっていろいろ試してみる輩は出てくるでしょうね。
例えば、4人ひと組で4個注文して(もちろんほかの商品も)、大きく?ひと口ずつ食べて、4個とも返品してみるグループとか。

収益的に見ても、短期的な客寄せ効果による利益増よりも、長期的な(我々のような印象を持たれることでの)客離れによる収益力ダウンのほうが大きい愚策のように思えます。

投稿: 鷹司堂後 | 2009年7月22日 (水) 21時33分

ココログでも特集記事になりましたね。やはり私と同じような考え方の人もいらっしゃるようで・・・(^^;
まあ、しかし商品戦略としては当ったかもしれませんね。

メール等で反論もいただきましたが・・・しかし現在でも、私は企業の方針としては到底賛成することはできないです。

投稿: toshi | 2009年7月27日 (月) 02時23分

当初返品率は5%程度と見込まれていましたが、実際には現在までのところ0.2%程度だそうです。
まあ、「おいしくなければ返金します」は、それほどの自信をもって絶妙バーガーを世に送り出した、と好意的に捉えられているようです。でも返品率を地域ごとに発表したらおもしろいかもしれませんね。

投稿: 大峰 | 2009年7月27日 (月) 02時37分

返金率が低かったという事実が、おいしかったからであるという結論には結び付かないところが皮肉ですね。
返金を求めることができるからといって実際に行動に移す人は少ないのかもしれません。私ならかっこ悪いと思ってしまうので絶対無理です。

いずれにせよ、会社としては周知効果は大きく返金率も低くて儲かった。周知効果を超えてプラスの宣伝効果があったか否かは要検証。
消費者はより割高な製品を買ったことになった。

投稿: JFK | 2009年7月27日 (月) 22時50分

そもそもあんまり真面目に考えることではなかったかと(笑)。
返品できるほど度胸のあるひとなど滅多におりません。

それより、期間限定、時間限定でコーヒーを無料で提供するという
マクドナルドの戦略のほうがあざといですし、問題だと思います。

ただほど高いものはない。きちんとした対価を払ったうえで
商品の授受は行われるべきだと思います。

投稿: 機野 | 2009年7月28日 (火) 00時20分

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