来年の株主総会は準備がたいへんかも・・・?(その2)
本日(8月18日)は、監査役協会長浜合宿におきまして、新任監査役の方々の全体研修にて講演をさせていただきました。今年で第24回目となる長浜合宿ですが、世話役の方々との昼食会、そして新任監査役の方々との懇親会とも参加させていただき、多くの会社の方々とお話をさせていただく機会に恵まれました。つい先日まで取締役だった方々が、株主総会を境にして監査役という立場に変わることに違和感を覚えていらっしゃる方々が多かったようです。「これくらいのリスクなら大丈夫!と思って導入したシステムだったけど、いまこうやって監査役になってみると、このシステムの話に触れたくないんだよなぁ・・笑」とか「昔、監査役さんというと朝から晩まで経済紙を読んで暇そうにしていたイメージがありましたが、こうやって監査役になってみると、朝から晩まで忙しい。イメージがずいぶんと変わったんじゃないでしょうか」といった感想をお持ちの監査役さんもいらっしゃいました。
さて、そんな監査役さんと「これからの株主総会」についてお話をしておりましたところ、何名かの方から同じような感想を聞かせていただきました。「これからの株主総会で何が一番たいへんかって、そりゃもうOB株主さんからの質問でしょう」とのこと。今年の6月総会でも、ずいぶんとたいへんだったそうであります。ともかく、①内情に詳しいためにあまり公表したくないような社内事情も平気で暴露されてしまう、②現在の役員さん方の「昔の上司」だったりするために、いい加減な回答では済まない、③趣味で株を購入しているものではなく、定年後の資産運用の一環として株式を保有しているので、批判も激励も真剣そのもの、ということであります。ともかく今後は「団塊の世代」の方々の退職が増加する一方ということで、どこの会社さんもこの「OB株主対策」には真摯に対応する必要があり、想定問答集の作成につきましても、OB株主さんからの質問の傾向を十分に検討する必要があるとのことです。
その検討の一環として、「インサイダー規制と株主総会の質疑応答」に留意する必要があります。OB株主さんの質問がやたらとスルドイために、これに真摯に対応しようとするあまり回答責任のある取締役さんが思わず中期経営計画の実現可能性を示す具体的な事業内容とか、業績見込みに影響のありそうな関連事項について、反論の意味を込めて口走ってしまいそうになることがあり、冷や汗が出るケースがあるとか。たしかに一般の株主さんからの(想定の範囲内での)質問であれば、冷静に「インサイダー情報に関わるものですから、発言は控えさせてください」と回答できるはずですが、社内事情に詳しい方、とりわけ財務部門にいらっしゃったOBの方などからのスルドイ指摘に対しましては、逃げ腰の回答だけは避けたい、といった気持になるのかもしれません。ちょっと注意すべき課題なのかもしれませんね。新任監査役さんの長浜合宿は8月20日開始組もありますので、私ももう一回長浜に出向くことになりますが、財務報告内部統制や株主総会の課題など、最近の上場企業をとりまく法律トピックスを入手でき、たいへん有意義な機会となりますので、また楽しみに出向いてまいりたいと思っております。
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