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2009年9月11日 (金)

金融庁・課徴金処分で初の審判期日(味の素社員インサイダー事件)

先日、ビックカメラの元会長さんの有価証券虚偽記載事件について、金融庁の課徴金事案における初めての審判期日が開催されるのでは?という報道がなされておりましたが、期日変更ということで、こちらの味の素社員によるインサイダー課徴金事件のほうが先になってしまったようです。

そもそも金融庁の課徴金制度における不服申立(事前審判制度)は、あくまでも被審人(ここでは味の素の社員の方)を保護するための制度、という建てつけになっておりますので、一般の行政手続法による行政不服審査制度とはかなり様相が違います。SESCによる暴走を防ぐための牽制機能…と表現するのが妥当ではないでしょうか?いちおう審判官3名は法曹から選出されておりますが、証券取引等監視委員会の課徴金納付命令の勧告について、被審人の言い分を聞いて、しかるべき金融庁としての決定案を考えるにすぎないものですから、SESCの勧告とほぼ同様の決定が出されることになるものと思われます。(ということで、SESC側からもとくに必死になって有力な証拠を出すこともないと思います)

ただ、被審人は金融庁の課徴金納付命令については送達後30日以内に行政訴訟を提起することができますので、代理人弁護士さんもおつきになっておられることですし、できればこっちまで頑張っていただきたいと思います。(取消訴訟なら、金融庁側からもそれなりの証拠が提出される可能性が高いと思いますし。)また、訴訟のなかで、①刑事罰と課徴金という二重処罰体系がこれを禁止する憲法に違反することにならないのか、②不正監視・是正という同じ行政目的を持ちながら、独禁法上の課徴金制度と大きな違いを有する金融庁の課徴金制度が比例原則違反(行政目的を達成するための「必要最小限度の権利制限」といえるのか)あたりを主張して、課徴金制度の法律上の位置づけを司法判断のうえでも明確にしていただければ・・・と期待しております。(とりいそぎ、備忘録のみにて失礼いたします)

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