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2009年12月 3日 (木)

学校法人のヘルプライン(外部窓口)とアカデミック・ハラスメント

12月1日より関西のある学校法人のヘルプライン(内部通報)外部窓口を担当することになり、先日理事長や学長、事務長さん等のところへご挨拶に伺いました。教職員用のヘルプラインですから、生徒からの通報を受け付けるものではありませんが、事務長さんのお話によると外部窓口に期待しておられるのはいわゆる「アカハラ(アカデミック・ハラスメント)への対応」だそうであります。最近文科省からもアカハラ対策については(自助努力により)十分な対応をされたし、と要望されているそうであります。

一般の教職員の問題については、ほとんどが学校内の相談窓口で対応可能だそうです。しかし教授と准教授の関係、大学院生との関係などは、事件が発生してからでないとハラスメントの実態はわからないとか。本当に密室の中で発生するものであり、相手の人生に関わるような人事権を一方が握っているために、被害者からの通報が上がれば即、通報者が特定され、制裁・報復が待ち構えている状況にあるのかもしれません。実際に精神的な疾患にまで至ってしまうケースも多いように聞いております。

そういえば昨年はこのブログでも採り上げましたが、横浜市大医学部事件というのが発生しましたね。学位取得に伴う教授への謝礼金の交付慣例が問題になりましたが、教授に近い方々が、その内部告発をした学生に対する措置要求を大学側に行う、といった事件に発展したように記憶しております。あまりこれまで経験はございませんが、こういった相手の人事権を掌握している人から受けるハラスメントというのも、けっこう怖い気がします。そういった立場になってみないと本当のところはわからないかもしれませんね。

ちなみにパワハラの判例の傾向として(といっても裁判のうえでパワハラが定義付けされたのはごくごく最近のことですが)、人格権侵害に該当する不法行為となるかどうかは、行為者と被害者との関係を眺めてみて、行為者が被害者の職場における地位に影響をどれだけ与えられるかによって、露骨な行為だけを採り上げるか、それとも些細な言動までを採り上げるか、相関的に判断する、といったところが主流になりつつあると思われます。そうしますと、被害者側の将来的な人事権を全権的に握っている教授側としては、とくに露骨なものでなくても、かなり緩やかにアカハラの言動を認定されるようになるのかもしれません。(もちろん立証のために要する証拠は不可欠ではありますが)単に法律問題だけでなく、その後の対応まで含めて検討しなければならない問題でありますので、かなりの難問が窓口に届くのかもしれません(事務長さんは、すぐにでも届きますよ・・・と自信たっぷりにおっしゃってましたが)。対応を間違えますと、学校側の不法行為責任も問われかねませんし、かなり深刻な問題を抱える仕事かもしれませんね。

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