« 競争法コンプライアンス体制と違法行為の発見的手法 | トップページ | 金商法上の課徴金と「会社の損害」(ビックカメラ株主代表訴訟へ) »

2010年2月 3日 (水)

ビジネス弁護士から指定弁護士(検察官役弁護士)へ

もうすでにご承知の方も多いかとは思いますが、明石歩道橋事件における検察審査会の起訴相当なる判断を受けて、日本で初めて現役の弁護士が検察官役(指定弁護士)として、公訴提起に携わることになります。(私はJR西日本の事件のほうで先に指定されるのかと思っておりましたが、明石歩道橋事件のほうが先だったのですね。)昨年12月7日のエントリー「指定弁護士-いったい誰が選任されるのだろうか」にて、我々同業者のなかでも、日本で最初の検察官役弁護士に誰がなるのか、たいへん関心を抱いていると書きましたが、今朝の新聞を見てちょっと驚きました。中川先生が兵庫県弁護士会より推薦を受けておられるようであります。もちろん、裁判所から正式に指定されるまでは決定とは言えませんが、おそらくこのまま正式に指定弁護士の第1号として難題に立ち向かわれることになるものと思います。(日経ニュースはこちらです

ちょうど2年ほど前、中川先生をお誘いして、第一法規さんのセミナーを開催させていただきましたし、たいへん多くの法務部門の方々にお集まりいただきましたので、ご記憶されておられる方もいらっしゃるかと思います。またその後はIPO(新規株式公開)に関連するお仕事をご一緒させていただいたこともあります。そもそも中川先生は最高裁判事を務められた方の名門事務所(神戸市内)に在籍しておられ、近畿財務局に出向して金融検査官のお仕事をされておられましたので、私はビジネス弁護士としての顔しか存じ上げません。弁護士として優秀なのはIPO関連の仕事をご一緒して証明済みでありますが、なんといいましても、私が共同セミナーにお誘いしたのは、彼の誠実な人柄からであります。また、コンプライアンスを説く人に不可欠な「現実と理想との間のバランス感覚」も兼ね備え、おそらく企業人の方々にはウケるだろう・・・と考えたからであります。(実際、IPO支援先の社長さんからはたいへん信頼をされておりました)「東京の大きな法律事務所に入所されていたら、もっと能力を発揮する機会に恵まれて、もっと大きな仕事をされていただろうになぁ・・・」などと、(ご本人からすれば「要らぬお節介」ですが)感じたこともありました。

若手ビジネス弁護士として期待しておりました中川先生が、こういった検察官役弁護士として大役を果たされることに敬意を表したいと思います。犯罪被害者支援NPOの理事をされておられたり、弁護士会の関連委員会の副委員長をされていたり、という立場も考慮されてのことだとは思いますが、兵庫県弁護士会の推薦も、彼の人柄やバランス感覚が最も考慮されてのことではないかと推測いたします。これこそマニュアルのない世界ですし、司法改革の一貫として制度化された「起訴議決制度」を担うため、様々なプレッシャーがかかるものとは思いますが、どうかその優秀な法律家としての能力と誠実な人柄、そしてなんといっても「前向きの使命感」により、この難題に立ち向かっていただきたいと願っております。長丁場になるかとは思いますが、どうか頑張ってください。

|

« 競争法コンプライアンス体制と違法行為の発見的手法 | トップページ | 金商法上の課徴金と「会社の損害」(ビックカメラ株主代表訴訟へ) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ビジネス弁護士から指定弁護士(検察官役弁護士)へ:

« 競争法コンプライアンス体制と違法行為の発見的手法 | トップページ | 金商法上の課徴金と「会社の損害」(ビックカメラ株主代表訴訟へ) »