名門企業から続々と訂正内部統制報告書が提出されています。
昨年12月21日のエントリーで、「内部統制は有効である」としていた企業が、不適切な会計処理の発覚(その後過年度決算訂正)を機に「内部統制は有効とは言えない」と訂正する、いわゆる実質的な訂正内部統制報告書の提出企業が現れたことを記載いたしました。
その時点では2社でしたが、今年に入って2社増え、さらに本日(3月12日付け)近鉄社とJVC・ケンウッドHD社が「内部統制は有効とはいえない」とする訂正内部統制報告書を提出されております。(ちなみに、実質的な訂正内部統制報告書を提出されたのは、イデア・インターナショナル社、イエローハット社、モジュレ社、東理HD社、そしてご紹介した2社の合計6社)
近鉄さんは、第三者委員会報告書が目を見張るほどのものでありますが、訂正内部統制報告書は割とあっさりとしているようであります。ただ整備面よりも運用面を問題とされているところは、2年目以降の内部統制評価に向けての各社の課題を物語っているように思われます。
内部統制報告書を含め、これまでの報告書のなかで最も(私的に)理想に近いのが、今回ケンウッドHD社より提出された訂正内部統制報告書ですね。自社における内部統制システム向上に向けた取組みが、不祥事発見の原因になっていること(いわゆる自浄能力があること)を明確にしつつも、今後の課題として親会社・子会社に分けてグループとしての管理体制をわかりやすく説明している点など、取組の真剣さが伝わってきて、とても参考になるのではないでしょうか。(また、後でゆっくり読んでみたいと思います。執務中なので、このへんで。)
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コメント
下手に訂正報告書を出すぐらいなら、はじめから有効で無い旨の内部統制報告書を出した方がダメージは少ないですね。
内部統制報告書が有効でなくても上場廃止基準ではないし、嘘を書いてしまうぐらいなら有効でないと表明して、内部統制の改善を今後の努力目標に掲げ、逃げを打ったほうが利口だと思います。
そちらの方が嘘を書く会社の内部統制よりは、有効に内部統制が働いていると判断できます。
投稿: ターナー | 2010年3月12日 (金) 21時19分
ターナーさん、こんばんは。
こういった訂正内部統制報告書をみておりますと、結局のところ不正が発覚して過年度決算訂正に及んでしまった企業は、改善報告書を出したり、課徴金納付命令への心証を良くするために、内部統制の経営者評価も訂正してしまおう、と考えているように思えます。
私なんかは、堂々と不正はあったし、過年度の訂正もしたけど、うちの会社のルールでやったんだから、いまでも有効だと思っている、と言ってしまってもよい会社があるのでは、と思っています。
最初から堂々と「有効でない」と書くべきか、後で堂々と「内部統制には限界があるんだから、有効であることに変わりはない」と書くべきか。このままでは、結果責任を問われるようなもので、運用としては最悪の状況に進みつつあるように思うのですが・・・
投稿: toshi | 2010年3月15日 (月) 01時49分