« 試験データ改ざん事件にみる「情報伝達経路」の曖昧さ | トップページ | 紛糾する富士通社の情報開示に関する素朴な疑問 »

2010年4月14日 (水)

消費者事故等に係る情報開示制度と内部統制構築義務

4月14日の日経朝刊に おおすぎ先生の公開会社法制に関するご意見が掲載されるようですので、ぜひ拝見しておきたいと思っております。たぶん本日の上村先生のご意見とは異なる立場からのものなんでしょうね。(以前の金融・商事判例の論稿に近いものかと。)最近はネット上でも「経済教室」が読めてしまうようになりましたね。でもやっぱり日経は新聞を広げて読むほうが「脳の活性化」のためには良いように思うのですが、いかがなものでしょう。ドン・キホーテさんの「WEBチラシ」は大好きなのですが、日経紙面とヴェリタスは、どうもWEBチラシで読む気にはなれません。。。笑

先日「商事法務のコンプライアンス-その光と影-」なるエントリーを書きまして、とくにフォローするつもりではございませんが、NBL最新号(926号)の論稿「消費者庁の設置と消費者事故等の情報開示制度への対応」を拝読いたしました。なんやかんや言っても、やっぱりこの雑誌はオモシロイなぁ。。。消費者安全法に関する行政作用法としての性格と、13条公表、15条公表の意味が、わかりやすく解説されており、実に秀逸な論稿です。実は、私が執筆しております新刊書でも、この消費者庁における一元的な情報集約と情報開示が企業にどのような法的リスクを及ぼすか?ということに言及しておりますが、そのなかで情報開示と内部統制構築義務の関係について触れております。

4月1日から消費者庁HP「事故情報データバンク」が開設されましたが、ここに自社製品に関する消費者事故情報が掲載された後で、拡大製品事故が発生した場合、おそらく被害拡大に関する損害につき、製造企業の取締役さんはかなり重たいリーガルリスクを背負うのでははないかといった意見であります。普通はここに情報が掲載される以前に、メーカーさんのほうで事故情報は把握しているでしょうから、そもそも全くチェックをしていない、という事態も想定しにくいかとは思いますが。ただ事実確認から、原因分析、再発防止策検討、回収の要否まで、早急に対応できる体制を整えなければ、今回のトヨタさんのように品質管理から経営管理まで問題視される事態となってしまうのではないか、といった問題提起であります。せめて開示情報の管理くらいはリスク管理の一環として「消費者庁時代の常識」になりつつあるのではないかと。

新刊書の原稿を書き終えまして、「ここまで書いてしまって、まったく的外れなアホなことと思われたらどうしよう・・・」という一抹の不安を抱いておりましたが、日本で最も大きな法律事務所(これもとくにフォローするつもりではございません・・・・(^^;;  )の先生が「担当取締役の善管注意義務違反ないし内部統制体制構築義務違反とされる可能性は否定できないであろう」と同様のご意見を私見としてお持ちのようですから、とりあえずアホなことを考えていたわけではないようで、ホッとしております。

一昨日のエントリーとも関連しますが、厚労省が田辺三菱製薬さんに「異例の」業務停止処分・・・とありました。(ここで日経ニュースのリンクを貼れないのがちょっとツライ・・・)でも消費者庁ができて、情報集約の一元化がはかられる時代に、(しかも民主党政権下において)誰も好きこのんで最終責任を負う官庁はいないと思いますし、消費者に迷惑をかける企業はたとえ大企業でも厳格な処分が発令されるのはあたりまえになっていくのではないかと思います。とりわけ消費者の生命・身体の安全に関わる商品、サービス提供についてはご留意ください。

PS 発信者情報開示等請求事件について、立て続けに2件の最高裁判決が出ておりまして、こっちもエントリーをしたいのでありますが、ちょっと時間的な余裕がないので、どなたか他の方のエントリーを探してみます。

|

« 試験データ改ざん事件にみる「情報伝達経路」の曖昧さ | トップページ | 紛糾する富士通社の情報開示に関する素朴な疑問 »

コメント

ちょっとそれますが、リンクって「貼るな」と書かれたら貼ってはいけないのでしょうか?
あくまでも「お願いしますよ。貼らないでね」という協力要請であって、そんなことをいう権限があるはずがないと思っております。

そもそも「禁止」って、司法機関かそれに準ずるものしか使ってはならない言葉だと思うんですよね。親が子どもに云う「寝る前の、おやつ禁止よ!」だとか、「うちの事務所は社内恋愛禁止ですから」だとか、まあ一種のたとえやシャレのレベルで使っている分はよろしいのでしょうけどね。私、長年の日経新聞の有料購読者ですが、その日経から何かを「禁止」される覚えはありません。「リンク禁止を禁止」しますわ(大笑)。

いうまでもなく、著作権問題や盗作問題とは異なる次元の話として、であります。

投稿: 機野 | 2010年5月 8日 (土) 18時35分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 消費者事故等に係る情報開示制度と内部統制構築義務:

« 試験データ改ざん事件にみる「情報伝達経路」の曖昧さ | トップページ | 紛糾する富士通社の情報開示に関する素朴な疑問 »