役員報酬開示問題と総会リハーサル
6月25日と29日が今年の株主総会集中日だそうでありまして、私が社外監査役を務めている会社も25日(第二集中日)開催であります。すでに有報や招集通知で1億円以上の報酬を受け取っていらっしゃる役員さんについて開示された上場会社もあるそうですが、3月決算会社様は、いままさに株主総会リハーサルの真っ最中ではないでしょうか。そういえば今年は海外機関投資家による提案権行使・・・という話題はほとんど出ませんね。
役員報酬開示問題につきましては、上場会社といいましても、外国人株主比率の高そうな大企業さんであれば、それなりにまっとうな対応をされるところも多いと思いますが、中小の上場会社さんにとりましては、やはり新聞等で紹介されているような方向には向いていないところもあるようですね。ブログネタとしては面白いのでありますが、九州怪計士さんより関連エントリー「役員報酬を開示する本当の意味はどこにあるのか?」にいただきましたコメントによりますと、役員報酬個別開示のルール化の影響で、取締役から顧問に「変身」される予定の役員さんもいらっしゃるとか。今年はダメでも、来年からは報酬開示の対象とはならない、ということで・・・・こんなのアリ?(^^;; )怪計士さんはまじめに憤っておられるので、「法の砦」として、あんまり笑い話でご紹介するのも不謹慎ですが。。。汗
あと、今年も数社の総会リハーサルにおじゃましましたが、どこも「役員報酬の個別開示はしないのか?」といった想定質問を検討されているようであります。ちなみに多くの想定問答集では、「どっちみち有報でわかるんだから、総会でも真摯に回答しましょう」ということが書かれております。しかし有報は「開示」の世界ですが、総会における質問回答は「説明責任」の世界ですよね。わかりやすく株主へ説明する必要があるわけでして、有報で開示するのと同じ、というわけではないように思います。リハーサルのなかで、「1億円もらっている役員はいるか?」といった質問への答えは簡単でありますが、「報酬決定方針を知りたい」とか「業績連動部分の比率を知りたい」とか「執行役員分と取締役分との比率は」など、(本来、現実的には総会で質問が出る可能性がかぎりなく少ないにもかかわらず)総会リハーサルで想定問答をしなければいけない・・・というあたりが、社内的にも若干きまずい雰囲気を醸し出しているような気がいたします。
「うちには決定方針はありません。都度、取締役会における経営判断にて決定しております。」というところも多いかもしれません。ただ業績が良い会社様であればいいのですが、そうでない会社様では株主さんからツッコミが入ることもあるでしょうね。「○○会社、役員報酬を開示」といったニュースが増えれば増えるほど、総会がやりにくくなる会社様も増えるような気がいたします。
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コメント
はじめまして。
実はこのたび「弁護士」をテーマに文章を書く関係で
このキーワードで検索しているうちに、
こちらを覗かせて頂くことができました。
勉強させて頂きました。
ありがとうございました。
このブログも弁護士がテーマでしたが、
面白かったですよ。
↓↓↓↓↓↓
http://ameblo.jp/kiku-tan/
投稿: 千葉直樹 | 2010年6月17日 (木) 10時10分
http://blog.livedoor.jp/advantagehigai/archives/65448684.html
みずほに対して、役員報酬の開示を提案しました。
主観的には、もちろん、廉価MBОへの融資禁止が主眼なんですが。
投稿: 山口三尊 | 2010年6月20日 (日) 18時24分
取り上げていただきまして、ありがとうございます。
一応はれっきとした「上場企業」の懸念事案ですから、
正式な公表前に固有名詞を出すわけにはいきませんが、
こういう事案もあるということをいち早く問題提起する
ことは、公益にかなっていると思います。
そうなんですよ、赤字の会社に限って、
こういう「ワル」知恵が働くんです。。。
企業側からこの手の相談くると思います。
正直、笑って答えることになると思います
(実は、私がそうでした(笑))。
そのときは、「おお、きたきた!」と、
このコラムを思い出してください(笑)
投稿: 九州の怪計士 | 2010年6月21日 (月) 15時06分
三尊さん、みずほの総会おつかれさまでした。
MBO融資禁止に関して否決された、と報道されておりますが、こういった提案があったことが広く報道されることは、それなりに意義があると思います。
投稿: toshi | 2010年6月22日 (火) 16時59分