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2010年8月23日 (月)

監査役制度を支える「もうひとつの基盤」について

昨日のエントリーは未だ多くの方にお読みいただいているようでして(23日午前1時半現在、BLOGOS ランキング2位)、たいへんありがたいのでありますが、JFKさんやとーりすがりさんの冷静かつ的確なコメントもございますので、そちらも併せてお読みいただければ、と。また、TBをいただいております企業法務マンサバイバルさんのブログでも図表の入った有益なご意見を書いておられます(とくにゼンショーさんやココスさんをどうのこうの、というつもりはございませんので、あしからず)。

さて、先週は日本監査役協会主催による新任監査役さんの研修合宿(通称「長浜合宿」)に、8月17日、19日と参加してまいりました。2年連続で研修講師としてお招きいただき、2日とも懇親会にも参加させていただきました。せっかくの機会ですから、今年はこちらから名刺を持ち歩きまして、多くの監査役の方々とお話させていただき、私もたいへん勉強になりました。

当ブログでは、法制審議会会社法部会で議論されております監査役制度の「整備問題」とは別に「運用問題」についても議論すべきである、とよく申し上げておりますが、監査役の方々とお話しているうちに、監査役制度を支えるもうひとつの課題(もうひとつの基盤?)についても検討すべきではないのかなぁと考えておりました。よく申し上げる「運用問題」といいますのは、いくら監査役の権限を強化してみたところで、その権限を行使しなければ監査役監査の実効性は確保されませんよ、というお話であります。本当に監査役の皆さんが、監査役に付与された権限を行使しているのかどうか検証してみましょう、といったことにつながるわけであります。

しかし、それ以前の問題として、監査役のみなさん、私は(少なくとも)4年の任期を全うされる予定で監査役に就任されたのだと思っておりましたが、どうもそうでない方がけっこういらっしゃることを初めて知りました。(ちなみに会社法上、定款に別段の定めがなければ監査役の任期は4年となっております。)たとえば企業が特定されないよう、抽象的な表現で具体例を申し上げますと、

①親会社から2年の約束で、子会社監査役に就任した(2年間、親会社から給与が出る)

②取引先金融機関の人事政策にすでに当社監査役ポストは組み込まれている(したがって、2年程度で次の人に譲る)

③取締役と違って監査役は任期が長いので、人事政策上、他の取締役に就任した人の退任時期に合わせて辞任する

④取締役に戻る(就任する)ための待機場所である

なるほど・・・・・。つまり、4年の任期を全うすることなく、途中で「一身上の都合」により辞任することが人事慣行となっている、ということのようであります。また、中には4年の任期を全うするものの、他の同期入社との関係上、監査役は部長クラスから直接就任する(つまり4年後の退任時期を見越して、取締役予定者よりも早めに就任する)ので、とてもじゃないけど社長を監視する、といった感覚にはなれない、という方もいらっしゃいました。

企業に勤めておられる方からしますと「そんなの当たり前」と言われそうですが、私にとってはちょっと意外でありました。エラそうに「監査役の有事対応」などと解説しておりましたが、感覚に微妙なズレがあったのではないかと反省しきり。たしかに(正直なところ)好き好んで監査役に就任された方は少ないのかもしれませんが、ほとんどの方が社長さんから「監査役として、しっかり腰を据えて力を発揮していただきたい」と期待をされ、4年どころか8年程度は監査役として頑張ろう・・・という気概をもって監査役の職務をスタートされるものだと思っておりましたが、「とりあえず今度は監査役ね」といった感覚で就任される方もなかにはいらっしゃるのですね。長浜合宿にお越しになるくらいの監査役さんですから、おそらくかなり真摯な気持ちで監査役監査を全うしよう、という気持ちの方が多いことは間違いないのでありますが、そのようななかでも、「監査役就任の会社事情」のようなものが監査に微妙な影を落とすように思えてなりません。最低4年はしっかり務めよう、と思う方と、最初からどうせ2年で、と思う方とでは、監査役就任の基盤が異なるものにみえるわけでして、監査役制度の整備や運用を云々申しあげる前に、会社や企業グループにおける人事政策は、監査役制度の実効性を確保することに大きな影響を及ぼす課題であるように感じられました。(たしか日本監査役協会のアンケート結果でも、1~2年目の監査役さんと3年以上の経験者の方とでは、不祥事発見の確率に差が出てましたよね・・・)

8月 23, 2010 監査役の理想と現実 |

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コメント

(以下、大半の日本の上場企業に於いての話です)

ま、サラリーマンですからね。社長にせよ、監査役にせよ。

監査役を選ぶのは会社側であり、つまりもっと具体的にいうと社長か社長の意図を汲んだ役員か、ですから。

いくら法律で「株主総会で選任する」と決めておいても、そういう機能を株主総会が果たせるわけもないわけですからね、何をかいわんやですよ…

(で、この状況が「問題だ!」と仰せになる方がいたら、それは「大きなお世話」ですからね(笑))

投稿: 機野 | 2010年8月24日 (火) 00時56分

企業法務マンサバイバルの管理人です。
弊ブログについて言及頂き、ありがとうございます。一言御礼申し上げたく書き込みさせていただきました。

投稿: tac | 2010年8月24日 (火) 07時07分

機野さんのようなご意見の方が多いにもかかわらず、(そういったご意見の方は)おそらくコメントは控える方が多いだろうと推測いたします。あえてコメントしてもらって、いつもながら(気を使っていただき)感謝いたします(笑)

tacさん、はじめまして。ときどきブログは拝見させていただいております。私はIT関連はあまり詳しくないもので、雰囲気だけでも勉強させていただいております。また時々ご興味のある話題であればお立ち寄りください。

投稿: toshi | 2010年8月25日 (水) 02時20分

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