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2010年9月10日 (金)

監査役スタッフ全国会議で講演させていただきました!(感謝!)

前から監査役スタッフ(会社法上は「監査役補助使用人」←会社法施行規則100条3項1号)の方々とお会いする機会がもてれば・・・と思っておりましたところ、やっと念願かなって第32回監査役スタッフ全国会議(日本監査役協会主催)で講演をさせていただきました。(場所は神戸ポートピアホテルの大ホール)

タイトルは「監査役スタッフのベストプラクティスとは?」というものでして、監査役監査の実効性を向上させるための監査役補助者のあるべき姿について考える・・・というものであります。全国から1泊2日でお越しになった約600名ほどの監査役スタッフさんの前でお話いたしましたが、最初の5分ほどは「はりきりすぎて」レジメと話している内容とがうまくかみ合いませんでした。正直、スベリました(^^;; その後は、なんとか持ち直しまして、とりあえず監査役スタッフの方々にお話したいことの8割くらいは伝えることができたかなぁと思っております。最近はIR書類に示されている「コーポレートガバナンス概要図」のなかに「監査役室」なるロゴが挿入されている大手上場会社さんもあり、監査役スタッフの重要性を認識しておられる企業も増えていることに嬉しくなりました。

懇親会では、当ブログで「不祥事企業」として登場する企業の方ほど、ご挨拶に来られるのが早かった(^^;; 「先生、ブログに掲載された日は社内でたいへんでしたよ!」「あのリリースに登場するMは不肖、私です(笑)」などなど、ここでは書けないような内容のお話もたくさんお聞きして盛り上がりました。

先日の長浜合宿での新任監査役さんに続き、またまた「核心に迫る質問をさせていただきたく」今回も懇親会の最後まで、多くの監査役スタッフの方とお話させていただきました。私が監査役スタッフの方にどうしてもお聞きしたかったことは「監査役スタッフとキャリアパス」の問題であります。法の理想からいえば、監査役スタッフさんは(とくに専任スタッフの場合)、監査役(監査役会)が人選を行い、その人事評価も監査役が行うというものであります。監査役は執行部を監視監督するために、独立した地位にあるわけですから、これを補助する監査役スタッフの方々の職務の独立性を確保するためには監査役さんがスタッフを選び、その人事評価も行うことが不可欠のように思えます。

しかし実際のところ、監査役スタッフに選任される方々は、長い社内の人事昇級制度のなかで、「たまたま監査役スタッフになっちゃった」方がほとんどであります。もし監査役さんが人選して、その評価も監査役さんが行う、ということになりますと、「あれ?俺って、もうエリートコースからはずれてしまったんじゃないの?」「人事から評価されない立場って、もうこれからの私のキャリアプランはどうなっちゃうの?」といった不安を抱くのが当然ではないでしょうか。「法の理想と現実とのギャップ」が一番噴出してしまう場面ではないかと想像いたします。そこで、そもそも会社において「監査役スタッフ」というものがキャリアプランのなかで確立しているのかどうか、確立していないとしたら、いったい監査役スタッフは執行部へ戻ったとしても、それほど社内昇格において不利に働かないのか・・・・・というあたりを、ぜひとも知りたいと思った次第であります。

結論としましては、監査役がスタッフの人選を行うということはほとんどなく、人事評価につきましては、人事部が行う、というところが多かったものの、いちおう形式的にせよ監査役が行う(もしくは監査役が評価手続きに関与する)、というところもございました。また、キャリアパスにつきましては、ある傾向がみられるものの(この傾向につきましては、別途お話させていただきます)、企業規模や専任スタッフの数の多少、配属時の年齢等によって様々でありまして、とくに監査役スタッフなる職歴がキャリアパスとして不利な立場にあるわけではない、ということが理解できました。実際、人事部、経営企画室、総務、財務、経理、法務など、いろいろな部署から監査役スタッフに配属されているわけで、なかには技術部門からお越しの方もおられます。要は経営陣が、監査役自身に不足しているところを補えるよう、監査の充実に配慮して人選しているケースが多いようでして、会社側としてはまじめに経営の向上に向けて尽力していることがうかがわれました。また監査役を補佐することで、社内の全社リスクを概観し、管理能力を向上させる、という会社の意思をけっこう明確にされている企業もあるようです。(でもなんで俺が??といった不満を漏らしておられた方もいらっしゃいましたが・・・)

お昼は監査役協会の会長さんとご一緒させていただき、法制審議会会社法制部会や経産省企業統治研究会の雰囲気についてお聞かせいただきました。当ブログを初期からお読みいただいている愛知県の某自動車関連会社の監査役室の方ともひさしぶりにお会いできました。ひとつだけ悔いが残ったのは、女性の監査役スタッフの方が多数お見えになっていたにもかかわらず、企画責任者の方を除き、ほとんど名刺交換できなかったこと。。。泣  監査役スタッフの皆様、こちらもたいへん勉強になりました。(ありがとうございます。m(__)m)明日は法制審委員の著名な学者の方の講演で締めくくりですね。私もいちおうレジメだけもらって帰りました。どうかあと1日、頑張ってください。

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コメント

こんにちは。先日、監査役スタッフ全国会議に出席いたしました、
監査役スタッフです。(女性です)
先生の講演を聞かせていただき、こちらのブログをはじめて知りました。
とても興味がありましので、帰りましてからすぐに拝見させていただきました。
私は、まだスタッフになってから、日が浅いのですが、これから勉強させていただき、来年の全国会議では更に向上していることを目標にしております。
そして、先生の講演はスベッテいませんでしたよ。。。。

懇親会の際に、私も是非名詞交換をさせていただきたかったのですが、
先生の周りには、常にたくさんの男性スタッフがいらっしゃったので、
遠慮させていただきました。
次回、お会いできました際には、こちらからご挨拶させてください。

これからも、楽しみに読ませていただきます。

投稿: (女性)監査役スタッフ | 2010年9月14日 (火) 11時05分

(女性)監査役スタッフさん、コメントありがとうございます。
せっかく「楽しみに読ませていただきます」とありますのに、本業で忙しく、エントリーをさぼっておりますm(__)m

「そっかぁ、女性スタッフの方々も、ホントは名刺交換したかったんだけど、遠慮されていたのかぁ」と素直に受け取っておきます(笑)
どうか有能な監査役スタッフになられますよう、これからもがんばってくださいね。私はこの職はけっこう女性に向いているのではないか、とひそかに思っております。。。

投稿: toshi | 2010年9月18日 (土) 01時35分

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