JR西日本ATS作動不公表など(昨日の続き)
それにしても今回のJR西日本さんの対応は早かったので驚きました。昨日ご紹介いたしました「事故現場におけるATS作動事態を公表しなかった件」につき、同社の代表者(社長)の方が謝罪された、との報道がなされております(読売新聞ニュースはこちら)。また、今後の対応についての「公表の要否については、遺族や被害者の感情などを勘案して、場所にとらわれず判断する」とのことであります。昨日のエントリーで書かせていただいていたところと「ドンピシャ」だったから申し上げるわけではございませんが、私もそうすべきではないか、と思います。本来の「コンプライアンス」の意味に最も近い対応ではないでしょうか。私もこれがベストプラクティスとまでは自信がありませんが、「いまできる範囲の精いっぱいの対応方法」ではないかと。
話は変わりますが、26日にご紹介した中央経済社「ビジネス法務」12月号の論文をお書きになったソフトバンク社法務部長さん(須崎さん)よりコメントを頂戴いたしました。(どうもありがとうございます)私の「舌足らず」の文章を補足いただいていたり、コンプライアンスに関するご意見なども付記いただいておりますので、そちらを御一読いただけましたら幸いです。コンプライアンスへの全社的取組み、コンプライアンスの法体系化など、いずれも私自身も深く考えるところでありまして、理屈だけでなく、その実践方法を含めて今後もブログや書籍などで提案していきたいテーマであります。
まだまだ他にもJVCケンウッドさんの課徴金審判事件、住友電工さんのリーニエンシーに絡む株主代表訴訟、女性役員比率に関するEU委員会の方針、監査役協会さんのアンケート結果分析などなど、ブログで書きたいことが山積みの状況でございますが、ちょっと時間がございませんので、また週末にでも、ということで。。。
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コメント
航空安全の分野で最高裁判決が出ていますね(最一判H22・10・26)。
結論として航空管制官の過失犯が認められていますが、被告人側は、(刑事)責任追及による萎縮効果、隠ぺい誘発のおそれを挙げ、責任追及だけが安全向上に資するわけではないといった趣旨の主張をしたようですね。
問題の局面は異なるものの、JR西の思想と若干通ずるものがあると思います。
反対意見を書いた判事がわざわざ被告人らのこの主張を紹介しています。
櫻井龍子最高裁判事の反対意見より抜粋
『所論は,本件のようなミスについて刑事責任を問うことになると,将来の刑事責任の追及をおそれてミスやその原因を隠ぺいするという萎縮効果が生じ,システム全体の安全性の向上に支障を来す旨主張するが,これは今後検討すべき重要な問題提起であると考える。』
私自身は、ATS作動という事態が大きいのか小さいのか、あの事故現場だから公表すべきという意見が果たして正しいのかよく解りませんが、トラブルやオーバーランなどをなんでもかんでも公表しろといった極端な動きになれば、上記見解が言う副作用が出てくると考えます。
投稿: JFK | 2010年10月29日 (金) 23時09分
jfkさん、こんばんは。
むむ!これは興味深い判決ですね。
これは議論する必要がありそうです。
セミナーでもいろんな方のご意見をお聞きしたい
ですね。
いつもながら、ご指摘ありがとうございます<(_ _)>
投稿: toshi | 2010年10月29日 (金) 23時28分