« 監査役の社会的使命と法的責任(本のご紹介) | トップページ | JR西日本・脱線現場でのATS作動に関する公表の要否 »

2010年10月26日 (火)

法務部員が元気になる記事!?(SB社法務部長さんの論稿)

中央経済社さんの「ビジネス法務」12月号にはたくさんの興味ある論稿が掲載されておりますが(とも先生の奥様のご尊顔発見!笑)、ひときわ「腹に落ちる論稿」として感嘆いたしましたのはソフトバンク社の法務部長さんの「機能する次世代『法務部長』の役割とは」(70頁以下)であります。いや、実にオモシロイ。筆者は三菱商事、ソフトバンクと30年以上にわたり「法務畑」を歩んでこられたそうですが、論稿の最初から最後まで納得させられてしまう内容であります。当ブログの常連の方々は、法務部ネタ関連のエントリーをアップいたしますと、ご異論、ご批判をいただくことが多いのでありますが、ともかく御一読いただければと。

「予防法務」「戦略法務」「臨床法務」という言葉は、法務部モノの記事ではよく出てくるフレーズであり、どことなくカッコいいイメージがございますが、やはり法務の中だけで受動的な仕事に埋没していると、結局は筆者が指摘されるとおり「法務屋さん」で終わってしまうのでしょうね。このあたりはかなりリアルな指摘ではないかと思います。「契約書作成の罠」あたりの記述は、おそらくどこの法務部でも「法務部リスク」として実感されているところではないでしょうか。経営陣が「しょせん、法務部の仕事とはこの程度でオッケー」のような認識しかされていないこともあって、そこに満足してしまう法務部員もいらっしゃるような気がいたします。

本稿では、法務部の活躍すべき場・・・というものを、非常にリアルなタッチで描かれておりまして、法務の仕事に無限の可能性を感じさせてくれるものであります。私自身も、普段から「社内法務の仕事はこうあるべきではないか」とボヤ~っと感じているところはありましたが、サラリーマンとしての実体験に乏しいために具体的なイメージがつかめずにおりました。しかし、この法務部長さんの論稿を読んだことで、自身の抱いておりました「法務部の理想」に関するイメージに肉付けがされたようで、なんだかとても元気をもらったような気がいたします。おそらく現役の法務部員の方々、そして企業内弁護士として勤務されていらっしゃる方々がお読みになると、私以上に元気になるのではないでしょうか?「求められる法務の変革:契約法務からの脱却」「これからの法務の役割:経営の根幹に関わる問題に関与すべし」は本当に同感でございます。

ただひとつ気になる点があります。「法務部門の理想の姿」があるとしても、それを経営陣が理解するためにはどうすれば良いのでしょうか。そこで、一番印象に残るフレーズをひとことだけ引用。

・・・また、法律を扱うことが専門性のある仕事であることの自負は大事であるが、それは全体からみると一部に過ぎないことの認識を(若手法務部員に)持たせることも重要である・・・・

ホンマ、そのそおりやと思います。決して「問題が発生したら営業部の責任に転嫁する」といったものではございません。この認識があって初めて全社的なリスクが見えてくるのではないかと。また、この認識を持つからこそ経営陣から信頼される法務になるのではないだろうか・・・と。あと、顧問弁護士や、セミナーなどでご招待された弁護士などが、側面からこういった「法務部の在り方」を経営陣に理解してもらう・・・といったことも必要なのかもしれません。余計なお世話かもしれませんが・・・(^^;もし入手可能でしたら、ぜひお読みいただきたい論稿であります。また、読まれた方の感想など、コメントやメールにてお寄せいただけますと幸いです。

10月 26, 2010 未完成にひとしいエントリー記事 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104680/49845907

この記事へのトラックバック一覧です: 法務部員が元気になる記事!?(SB社法務部長さんの論稿):

コメント

拙稿に対してのコメントありがとうございます。知人の弁護士からは『契約書専念派の反発や意欲減退も予想されますが、これにはどう対処するこ
とになりますか』といったコメントも頂いており、これに関しては、それぞれの会社のニーズに合わせた典型契約の精緻なマニュアル化や営業部門の法務教育、など職人技を生かす場も多々あるとの認識です。契約の雛形化はあるリスクのある手法ですが、またそこに内在するリスクへの分析や割り切りが出来るリーダーを育てることが法務の組織が変革する上では必要とも考えています。次の時代に必要な法務は、トータルなリスクコントロールであり、コンプライアンスやCSRという言葉も、もっと社員が実感をもって感じられるものとし、また一方で法律学としてコンプライアンスがより体系だてられることに期待しています。

投稿: 須崎將人 | 2010年10月28日 (木) 15時32分

須崎さん、コメントありがとうございました。

なるほど、あるべき法務部を考えるにあたっては、多方面にわたって配慮しなければならない点があるのですね。

私は「全社的取組み」に向けて、法務に関係のない社員の方々にも理解していただけるよう、いくつかの提案をしております。実際にいくつかの企業様には実践もしていただいているのですが、またそのうちブログでもご紹介したいと思います。(全社的なコンプライアンス経営の総合力は「早期発見能力」にあるのではないかと。)

投稿: toshi | 2010年10月29日 (金) 01時45分

コメントを書く