いま、社外取締役に求められる独立性とは?(関西企業に社外取締役は必要か?)
いまから3年半ほど前、旬刊商事法務1796号(2007年4月5日号)に「監査役制度改造論」という論文が発表され、そこでは「監査役兼務取締役制度の創設」が立法論、政策論として提唱されました。当ブログでも「監査役を兼務する取締役」という、あまりにも唐突な提案に衝撃を受けたことをエントリーにいたしましたが、この論文はその後、多方面で議論の対象となりました。
そして今、「監査役兼務取締役制度」にかなり近い構想が、法制審議会のなかで「監査・監督委員会制度」といった名のもとに事務当局から提案され、監査役が監査役業務を行いながら取締役会で議決権を行使する「独立社外取締役」の地位を兼務することが真剣な議論の俎上に上っております(詳しくは法制審議会会社法部会第5回議事録をご覧ください)。上記論文で提示された監査役と取締役との職制の整理、現行法(監査役会設置会社と委員会設置会社からの選択)との連続性、理論としての問題点など、3年半前に指摘されていた問題点が、いま改めて社外取締役導入の是非にあたって論議されております。社外取締役制度導入論争の「ひとつの着地点」を模索するにあたって、上記論文が果たしてきた役割が大きかったことを改めて感じるところであります(もちろん、今後も活発が議論が予想されますので、その方向性は未知数でありますが)。
このような時期に誠にタイムリーではありますが、上記論文の著者でもあり、経産省企業統治研究会委員でもいらっしゃる大杉謙一氏(中央大学法科大学院教授)や各界の有識者・企業家の方々をお迎えし、大阪弁護士会2階ホールにおきまして、「いま、社外取締役に求められる独立性とは~関西企業に社外取締役は必要か~」という公開シンポジウムを開催することになりました(上の案内チラシをクリックしていただくとポップアップにて詳細はご覧になれます)。関西経済同友会さん、大阪証券取引所さんの後援事業となっておりますので、今週もしくは来週にはそれぞれ会員企業の皆様のところへも、メールにてお知らせが参る予定になっておりますし、またそろそろ各HPでもご覧いただけるものと思います。また共催団体である大阪弁護士会、日本公認会計士協会近畿会の会員の皆さまにも、CPE(継続研修制度)の適格認定をいただきましたので、研修制度の一環として広くご参加いただけることとなりました。
後半のシンポ(討論の部)は、パネリストとして大杉先生のほかに、ニッセンホールディングス社長の片山氏、大阪証券取引所副社長の藤倉氏、社外取締役ネットワークの田村代表を迎え、東京とは「一味違った」関西企業の視点からの「社外取締役制度導入論」「社外取締役に求められる独立性」「ホントに社外取締役って必要なのか?」「入れたいとこだけ入れたらええがな~♪」というホットな話題を(法制審の議論を横目で見ながらも)コテコテの関西のノリで語り合おう・・・という企画であります。ニッセンHD社(本社:京都市)は、すでに社外取締役が半数という役員会をすでに3年以上経験されておられます(日経ビジネス誌3月8日号の「社外取締役制度特集号」に登場されていらっしゃいます)。またご承知のとおり、大証さんは「独立役員届出制度」の運用で、いろいろとご苦労されておられます。大杉先生もひょっとするとコテコテの関西人(姫路市ご出身)の片鱗をみせていただけるかもしれません(笑)。ただ当日は投資家や経済団体の方のご意見なども踏まえ、賛否両論いろいろな角度から問題点を語りたいと思っております。東京でのシンポのようにスマートに議論をしても、おそらく関西の皆様にはウケないと思います。せめて司会者だけでも、関西企業の目線でわかりやすく討議を進めるように努力しなければなりません。ちなみにシンポの司会(モデレーター)は私です。大手の法律事務所所属ではございませんので、シャベリにシバリはございませんよ(笑)ホンネで自由に質問させていただきます♪。「悪役」はひとりで背負う覚悟ですのでご期待ください。(でも、弁護士会の会長、副会長と所属委員会の委員長の指示だけはしたがいますので・・・(^^;; )
関西人は、東京の人たちを「ええカッコしい」と表現いたします。「ほんで、なんぼマケてもらえますのん?」「それで、ナンボもうかりますのん?」と言って憚らない関西商人は、きわめて形にこだわらず、ホンネ(実利)で勝負いたします(すこし大げさな表現ですが)。社外取締役制度の導入にあたっても、東京では「立法事実が見当たらない」と表現されるかもしれませんが、「それいれて、ナンボもうかりますのん?」の世界かと思います。それにもまして、「このまえJ-SOX入れたばっかりやないの。ほんで、今度はIFRSやろ?もう堪忍してえなぁ~~(苦笑)」あたりがホンネかと。。。このたびの企画について、関西の経済界の方々にご相談するたびに(私は)ボコボコにされ、「よ~し、今日はこのくらいにしといたろ!」(吉本新喜劇の池乃めだかさん風に)。それでも気を取り直して、なんとか企画を実現できるところまで参った次第です。(ご協力いただきました皆様に感謝!)
日時は 12月8日(水)午後2時から5時までです。各種お申し込みの方法がございますが、同友会、大証参加企業以外の方で、「あの有名なおおすぎ先生の講演が聴きたい」、「いま議論されている社外取締役制度を知りたい」、もしくは「コワイもの見たさ」で(笑)、聴講をご希望の方は、NPO法人全国社外取締役ネットワークのHPからお申し込みいただけますと幸いです。(参加は無料ですが、事前のお申し込みが必要となりますので宜しくお願いいたします)一応700名まで収容できる大ホールなので大丈夫かとは思いますが、もし参加希望者が多い場合にはごめんなさいです。<m(__)m>
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コメント
本日の朝日新聞朝刊のコメントを拝見しました。
山口先生は独立社外取締役不要論でしょうか。
私は、独立社外取締役を入れても儲からないけれど、不要な出費や事故は防げます~というお返事(関西弁では何と言うのでしょうか。)をするのかなと思います。
投稿: Kazu | 2010年11月 5日 (金) 10時40分
こんにちは。
きょうは朝から決算役員会のため、まったくブログをチェックしておりませんでした。
いえいえ、私は社外取締役制度については「ゆるい」積極派でございます。
最近、東京版だけに私のコメントが掲載される、ということが多く、本人自身が見ていないという状況が続いております(^^;
エントリーで少しコメントを補足したほうがいいかもしれませんね(汗)
投稿: toshi | 2010年11月 5日 (金) 12時23分