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2010年11月 5日 (金)

社外取締役とTOBインサイダー(ほんの少しだけですが・・)

世間のブログでは圧倒的に「映像流出」事件のほうで盛り上がっておりますが、「情報流出」に関する話題もございます。朝日新聞はじめ、各紙朝刊で西友関係者のTOBインサイダー疑惑が報じられております。当局が慎重に捜査中・・・・ということでありますが、仕事中ですし、ブログといえどもマナー違反はよろしくないと思いますので、ほんの少しだけコメントさせていただきます。

今回のTOBインサイダーについて、新聞で報じられているところを読みますと、けっこう奥が深い内容であります(社外役員問題とは直接関係があるものではなく、いわゆる公開買付者等関係者によるインサイダー取引に関する構成要件該当性の問題)。おそらく金融商品取引法(および経済刑事法)に詳しい方々の間ではいろんな議論がなされているのではないでしょうか?

TOBスキームに関与する方々の「リスクと防止体制」につきましては、最近いろんな法律雑誌で(当局の方々が)解説されておりますが、こういった「思い悩む」事件が続発しているからではないかと、なんとなく察しがついたような気がいたします。ちなみに今回は友好的M&Aの事例でありますが、これが敵対的M&Aだったらどうなんだろうか、状況は変わるのでは?といった気もいたします。先日の味の素課徴金審判事件なども、やはり参考になるような気が・・・(これ以上個別案件に踏み込むことはやめておきます)。

TOBにも西友さんのように完全子会社化のためのものや、そのまま親子上場として対象会社が市場に残るケースもありますし、個別事件の摘発にバスケット条項(包括条項)が活用されるようになってきたこと等、いずれにしましても、もはやインサイダー事件の防止は、個人的な違法行為として済ますのではなく、全社的に取り組むべき内部統制構築の問題になってきたというのが私の意見であります。買い付ける側ではなく、今回のように対象会社側にとっては特にリスクが高いと思われます。また、対象となる「重要事実」のなかでも、TOBや決算情報のように、「発表したらどっちのほうへ株価が動くのかはっきりしている」事実については、細心の注意が必要かと。(公募増資とかって、最近はよくわからないですが・・・)

なお、本エントリーへのコメントにつきましては、あまりにスルドイご意見につきましては非開示とさせていただきますので、ご了解ください(^^;; それにしても「社外取締役」さんのインサイダーって、前のエントリーとの関係からすると、タイミング悪いなぁ・・・↓

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コメント

■DMORIです。
圧倒的に盛り上がっている「映像流出」事件ですが、ビジネス法務の部屋として、内部統制の観点からの意見を投稿させていただきます。
内閣の情報管理はどうなっているのかと非難する声が強いですが、日本全体の内部統制という観点では、むしろよく機能していることが示されたのではないかと。
内部統制とは、企業内部の統制管理のことだけを言っているのではありませんね。株主その他のステークホルダーを含めた、社会全体に対して、企業が公正な事業活動を行っているかどうかをモニタリングできる仕組みが、内部統制です。
その意味で今回の尖閣ビデオ流出は、本来国民に正しく情報を公表すべきところを、政権は隠すことにしました。つまりビデオ投稿者は、行政のトップ自ら不正に情報を隠しているとして、主権者である国民にビデオを公表し、このビデオの公開が是か非かの判断を委ねたのでしょう。
行政内部における狭義の情報統制から見れば、政権の足元を揺るがしかねない悪質な違法行為には当たりますが、民主国家を守るための内部統制からすれば、正しい行動かも知れません。
たとえ政権の最高権力者が情報を隠ぺいしようとしても、その情報を知る内部の公務員が、主権者の国民に知らせることがあるということは、政権を担当する者に対する、有効な牽制機能になるでしょう。
※自分のブログでは、一般の人向けに分かりやすく書いておきました。

投稿: DMORI | 2010年11月 6日 (土) 13時23分

dmoriさん、こんばんは。
ご意見ありがとうございます。

果たして国家の内部統制というものが、概念付けられるのかどうかは不明ですが、国家の違法行為や隠ぺいなどを暴く、ということであれば前向きに考えるべきかもしれません。

ただ、私の頭では内部統制というのは、組織の持続的な成長のために、組織活動の有効性や効率性を向上させるためのプロセスを指すものというイメージがあります。たとえば国家の情報管理がずさんだった、ということは内部統制が有効ではなかった、と捉えることもできるのではないでしょうか?
また、今回の情報開示の是非については、尖閣諸島問題に関する中国のこれまでの歴史や、他の諸国との領土問題への中国の対処など、きわめて外交上の政治的配慮を必要とするものと思いますので、これを一般市民に開示することは、果たして日本の国益にかなうものかどうかはまだ意見形成ができていないのではないかと思います。
少なくとも、「日本は信用がおけないから、これから重要な情報は教えないようにしよう」といった海外インテリジェンスの考えが固まってくるのではないでしょうか。そうなると、とても内部統制が有効とは言えないように思えますが(もちろん、これは単なる私見です)

投稿: toshi | 2010年11月 6日 (土) 23時02分

政治論議などしたくありませんが。

法秩序を破ることを是とされては絶対になりません。
たとえ上層部や政治家が先に法秩序を破ったとしても、
部下の公務員が破ってもいいなどということは絶対にありません。

「憂国の士」などという言葉が発せられるところに、昭和初期の
きな臭さ、おぞましさを感じて私は震撼しております。

投稿: 機野 | 2010年11月 8日 (月) 01時54分

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