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2010年11月25日 (木)

ガバナンス改革派≠社外取締役導入論者(だと思う)

(25日お昼、若干の修正あり)

今日(11月24日)は第二回の内部統制ラウンドテーブルが東京で開催されていたのでありますが、残念ながら諸々の仕事が大阪で溜まっておりましたので伺うことができませんでしたo(;△;)o また状況はどなたかからお聞かせいただければ・・・・・・・と。

11月は役員セミナーにお招きいただいたり、シンポでご一緒させていただくなど、会社のCEOの方とお話する機会に恵まれました。上場会社の社長さんが多かったのですが、日本を代表する著名な非上場会社の社長さんにもお会いできて、ガバナンス関連の参考となるお話も聞かせていただきました。ずっと前から疑問に感じていたことでありますが、あまり自信がなくてブログにも書いたこともありませんでしたが、いろいろなCEOの方とお話していて「やっぱり」と感じたのが「ガバナンス改革論者は、かならずしも社外取締役推進論者ではない」ということであります。CEOの方々はほとんど「会社法」など理解しておられるわけでもなく、ましてやガバナンス論議が盛んであることなどは御存じないわけでありますが、自社の業績向上のために、どのようなガバナンスの仕組みがわが社には必要か…という点は、結構真剣に考えていらっしゃるようであります。

お会いしたCEOの方々は、どなたも自社のガバナンス改革には積極的であり、またCSR経営のためには、まずは企業統治改革を進めること・・・という意欲を強くお持ちでありました。これは当該企業の監査役の方々にお会いしても、また監査役の方々の活動を拝見していてもよくわかりました。たとえば某企業では、社長さんが推薦した社外監査役候補者の方と面談した監査役会が、「この方は、経歴も素晴らしく、また誠実な方だけれども、社長にモノが言えないタイプだと思います。残念ながら監査役会としては候補者としてふさわしい方とはいえません」との回答をCEOに出しておられました。この回答を受領したCEOの方は、とくに驚く様子もなく、じゃあ別の方を探さなくては・・・とのこと。

どのCEOの方も、監査役制度の重要性を非常に強く認識しておられました。また、どこの会社も取締役の人数を少なくして、執行役員制度を導入したことで、取締役会における議論の活発化を推進しておられるそうであります。ホールディングスと事業会社との役割を明確にして、迅速な意思決定機関としてのホールディングスの役割を明確化している企業もありました。CEOご自身がガバナンス改革に熱心であることの証左であると思われます。

ところが、そのようにガバナンス改革に熱心なCEOの方々が、社外取締役を導入することにも熱心かというと、どうもそうではなかったような印象を受けました。もちろん、なかには多数の社外取締役さんに囲まれた役員会の議長をされておられる方もいらっしゃいましたが、それはごくわずかでありまして、「ガバナンス改革に積極的ではあるが、社外取締役導入論には大いに反対」と言う方も結構いらっしゃいました。なるほど・・・つまり社外取締役制度導入に反対の立場の方々というのは、ガバナンス改革不要派と改革積極派だけど社外取締役不要派の両方の方がいらっしゃるわけであります。いっぽう社外取締役制度に賛成の立場の方々は、ガバナンス改革必要派のみで構成されている、ということになるのでしょうね。※社外取締役導入を推進する立場の方からすれば、単にガバナンス改革の必要性を訴えても、「それはわかってます。だけどなにも社外役員を導入することだけがガバナンス改革ではないですよ」と言われてしまうだけでありまして、どうも議論がかみ合わなくなってしまいそうな気がいたします。

※東京のIRコンサルタントさんよりご異論を頂戴しております。外国人の株式保有比率の高い企業は、外国人向けに「社外取締役」を導入しているのであって、かならずしもCEOがガバナンス改革に熱心というわけではない、とのこと。かなり説得的なご異論のような気もいたします。(ありがとうございました)

とくに印象的だったのが、某会社の社長さんのひとこと。

「社長である私でも、正論で指摘されたら従わざるを得ないような監査役会をもつこと。これがうちの会社のガバナンス改革であり、他社に自慢できるものです。これがやっと最近『経営の透明性』という、理想に近いものになってきました。この人達に『やめろ』と言われたら、私は辞める覚悟です。」(なんと立派な・・・・)

私など、ガバナンス改革賛成派=社外取締役推進論者という図式をずっと抱きつつ、どこかで「企業統治に熱心な人の中にも、社外取締役制度導入には反対している人がいるのでは・・・」といった疑問もおぼろげながら感じておりました。そのあたりの疑問がちょっと当っているような気がしております。もちろん、海外の人達に「監査役」の職務がわからない、ということもあるでしょうが、ここまでガバナンス改革に熱心な姿勢があるのであれば、どうやってアピールすべきなのか、これも課題になりそうであります。また社外取締役導入を推進する立場の方は、こういったガバナンス改革賛成派の方々をどうやって説得すべきなのか・・・そのあたりも課題になってくるように思いますが、いかがなものでしょうか。

11月 25, 2010 商事系 |

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コメント

はじめてコメントします。外国人投資家の保有比率の高い企業の中で社外取締役を導入している企業には、外国人投資家の言うところの独立社外取締役を導入さえすれば、形式的にはカバナンスを改革したと認めてくれることから、社外取締役を導入しているという企業が見られます。

「社外取締役制度に賛成の立場の方々は、ガバナンス改革必要派」と書かれておられましたが、長いものには巻かれろ的な発想から社外取締役を導入している企業も多く見られます。つまり社外取締役を導入している企業が、必ずしもガバナンスの改革のために社外取締役を導入しているわけではないように思います。

投稿: 東京のIRコンサルタント | 2010年11月25日 (木) 12時32分

東京のIRコンサルタントさん、はじめまして。

なるほど、そうですね。ちょっと私の意見が短絡すぎたかもしれません、有益な示唆ありがとうございました。
さっそく本文のほうに注意書きをいたしました。

投稿: toshi | 2010年11月25日 (木) 12時38分

企業のIR活動の支援をしている立場からの、違和感を述べただけなのですが、ブログを修正していただき、びっくりしております。
これからも、ブログ楽しませていただきます。

投稿: 東京のIRコンサルタント | 2010年11月25日 (木) 22時29分

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