第2回内部統制ラウンドテーブルのお知らせ
金融庁のホームページに、企業会計審議会内部統制部会10月28日開催部会資料が掲載されております。そこで制度改正に関する議論の方向性が見て取れると思われますが、「簡素化・明確化」といったあたりが中心テーマ、ということになりそうです。今年6月に閣議決定された「新成長戦略」に答える形で改正案を出すことになりますので、四半期報告制度と同様に、簡素化・明確化はその流れに沿った形のように思えます。
しかし「簡素化・明確化」ということは注意が必要です。そもそもこの制度が導入された趣旨については誰も反論されていないのでありますから、かならずどこかに簡素化・明確化の「しわ寄せ」が来るはずです。それは会計監査人であったり、監査役であったり、内部監査人だったりするはずであります。「費用対効果の見直し」といっても、そこで見直されたのは、目に見える効果(無駄な承認手続が多すぎる 等)に関するものであって、「発生したかもしれない不正を防いだ」という「目に見えない効果」については誰も検証していないからであります。
これは内部統制報告制度の元になっているCOSOの流れをみても明らかです。1992年にモデル化されたCOSOフレームワークにつきましては、2006年に「簡易版COSO内部統制ガイダンス」が公表されて、中小上場会社向けのガイダンスが示され、2009年には「COSO内部統制システム・モニタリングガイダンス」が公開されており、内部統制システムの有効性確保のためには、効果的なモニタリングの必要性が認識されつつあることと通じるものであります。財務報告の信頼性を確保すべき要請については、これまでと同じものが企業に要求されるわけですので、J-SOXの負担が軽減される分、それではその負担(法的責任も当然に含む)は誰が負うのだろうか・・・という問いが生まれてくることになります。
さて、そんな改訂作業の真っ只中、今年も内部統制ラウンドテーブルが11月24日に東京で開催されます。(ご案内は、内部統制研究学会HPにて)ちなみに、私は今年は登壇いたしません(笑)。ただ、この3年から4年ほど、多くの企業の内部統制担当者の方々、内部統制監査人の方々と「内部統制狂想曲」の真ん中におりましたので、改正の方向性を含めて、意見はたくさん持っております(なお、私の意見につきましては、到底ブログでは書けませんので、書籍のなかで申し上げる予定であります)。この制度が導入時の初心を忘れることなく、さらに有効に活用されることを願いつつ、今年のテーブルの開催を楽しみにしております。
ぜひご関心のある方は、テーブルの傍聴にお越しくださいませ。
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