サンコー社、創業家社長解任劇の行方はいかに・・・
あの和製ウォーレン・バフェットと称される竹田和平氏も今年株式をたくさん買い増ししておられる(買い支えしておられる?)長野県のデジタル家電部品メーカー「サンコー」(東証二部)さんで、社長解任劇が起きたそうであります(時事通信ニュースはこちら)。社長の独断経営をこのまま許していては、優秀な人材の社外流出を食い止められないばかりか、3期連続赤字を免れない、との(取締役らの)切実な思いから・・・だそうであります。
新しく代表者に就任された方が、今年5月に「経営サポーター」として入社しておられるので、(ニュースでも若干報じられているとおり)もう半年ほど前から他の取締役らによる「退任要求」は通告されていたようです。したがいまして三越岡田社長解任劇のような「ある日突然」のドラマチックな場面が繰り広げられた・・・というわけではないようであります。
ただ素朴な疑問として、昨日の取締役会における社長解任(代表取締役の解職→取締役としては残る)によって、新社長が誕生したわけでありますが、解任された元社長さんは、このまま黙っておられるのでしょうか?この方は創業家一族であり、資産管理会社を含めると、サンコー社の(議決権ベースで)過半数の株式を保有しておられます。(50,12%)親会社の決算に関する資料を拝見すると、元社長と奥様で、資産管理会社の100%の株式を保有しておられますので、普通は「社長(大株主)の意思でなんとでもなる」上場会社、ということになりそうです。来年の定時株主総会で株主提案権を行使すれば、(定款上の取締役数の上限次第では、いろいろと手法が変わってくることにはなりますが)また自分が社長に返り咲くこともできることになります。
紳士的な対応・・・ということも考えられるかもしれませんが、それならば半年間も「辞めろ」「辞めない」を繰り返して最後は解任・・・という結末との整合性がとれないようですし、元社長による反撃、取締役らによる第三者割当増資・・・といった今後の展開なども予想されるのではないでしょうか。ひとつ気になりますのが、社長解任とともに、ナンバー2だった常務さんが新体制において降格されていることであります。このあたりの人間模様が実はポイントだったりするかもしれません。(もちろん、これは私の勝手な推測であり、投資判断に影響を及ぼすほどのお話ではございませんのでご了解ください。あくまでもガバナンスに関する興味からの推測であります)今後、ゴタゴタが続くのか、それとも既になんらかのパワーバランスが出来上がっていて、このまま新体制のもとで3期連続赤字回避のための全社挙げての取り組みが進むのか、今後の株価の変動とともに、ちょっと注目してみたいところであります。
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コメント
おお、この会社の株を持っていますよ。
この会社の場合、社長(元社長)が株式の過半数を所有するオーナー企業なので、第三者割当で反撃も考えうるところですが、かなり割安な株式なので時価発行増資は株主にとって不利益になるでしょう。
第三者割当になれば差止仮処分と同時に元社長がTOBを掛けて上場廃止にするんじゃないでしょうかね?第三者割当差止単体のハードルは高くても、TOBを掛けつつ差し止めを行えば認められやすいかもしれません。
投稿: ターナー | 2010年12月12日 (日) 16時43分
ターナーさん、こんばんは。
さすが投資家の発想ですね。持ち株会社のことですし。
私もターナーさんの推理は合理性があるとも思うのですが、まだ自信が持てません。おそらく数カ月も役員会でゴタゴタしているわけですから、従業員が事の顛末を一切知らないということはないと思います。私はどちらかというと、労働組合や従業員らの指示をとりつけるのに数カ月を要したのではないか?といった推測をしております。また三期連続赤字の可能性が出ているということで、監査法人さんのプレッシャーも大きくなってきたのではないでしょうか。
いろんな準備が整って解任決議をとるに至った、ということで、ひょっとするとCSR的なパワーバランスが成り立ち、このまま終息に向かうのではないか・・・という可能性もあるように思いますが(もちろん、これは私の勝手な推理です)いかがでしょうか。
投稿: toshi | 2010年12月12日 (日) 17時05分
こちらのクーデターは、昨日鎮圧されました。
http://www.sko.co.jp/news/uploaddocs/ir100404.pdf
4月15日の株主(創業家前社長)招集に係る臨時株主総会で、新たに創業家前社長推薦の2名の社外取締役も選任されます。
http://www.sko.co.jp/news/uploaddocs/1204rinjiketteii.pdf
投稿: 東京弁護士 | 2011年4月 5日 (火) 19時10分