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2011年2月 9日 (水)

例外的取扱いが招く企業不祥事の教訓的事例

話題の林原社が会社法上の「大会社」に該当するにも関わらず、会社法で設置義務のある会計監査人を置いていなかった、と報じられております(私はてっきり公認会計士さんが粉飾を見逃している事例だとばかり思っておりましたが、会計監査人がそもそも設置されていなかった、ということのようであります)。会社法上の大会社でありながら、公認会計士(監査法人)さんの法定監査を受けていない非上場会社というのは、あまりめずらしくもないように思いますが(もちろん法令違反ですからいけませんよ~笑)、ただメインバンクであります中国銀行さんが、林原社の計算関係書類に関する会計監査報告書を確認せず、また会計監査人が「誰か」ということの確認も(登記をもって)調査していなかった、というのは少し驚きであります(会計監査人の氏名は登記事項)。

中国銀行さんはきちんとした金融機関であり、事務リスクへの対処も厳格にチェックされていると思われますので、「会計監査人が登記事項とはだれも知らなかった」ことはないと思いますし、会計監査報告書の徴求についても、会社側からの口頭説明だけで「つい信用してしまった」という事態もちょっと想定できるものではございません。私は、むしろ中国銀行さんはきっちりとしたマニュアルをお持ちのはずで、ただ林原社が中国銀行の筆頭株主(10パーセント)であり、銀行さんと特殊な関係にあったがために、マニュアルの例外的取扱いが全社的に黙認されていた結果ではないか・・・と思いますが、いかがなものでしょうか(もちろん、私の推測でありますが)。昨年末になって、中国銀行さんがあわてて林原社の資産に担保を設定した・・・という報道にも、両社の特殊な関係が窺われているものと思われます。

産経新聞ニュースでも触れておられるように、「もし会計監査人の有無について、もっと早く銀行側が確認していれば、粉飾決算も早期に発見されていた可能性が高い」というのは(もちろん本当に発見できたかどうかは不明でありますが)、中国銀行さんにとっては重い不祥事として捉えるべき内容でありますが、こういった「内部統制の例外的取扱い」が不祥事を招くことは世間でも結構多いような気がいたします。大株主であり、また地元の名門企業と言われていた取引先であるがゆえに、社内で誰も疑問に思うところなく、例外的な取扱いが長年の慣行であったというのが真相ではないでしょうか。社長案件や専務案件、昔からの先代さんのお付き合いのあるお客さんなど、一般の新規案件であれば当然確認されるような信用情報についても、持ち込みが特殊なケースではノーマークで融資がなされるところだと思われます。このニュース、ドキっとされた銀行さんもあるんじゃないでしょうか?一笑に付すことができるような不祥事だとはちょっと思えないですね。

2月 9, 2011 コンプライアンス経営はむずかしい |

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コメント

私は、未だ信じることができません。資本金5億円以上又は負債200億円以上の株式会社の会計監査人設置は、商法特例法時代からの、会社関係の事務をしている人にとって、余りにも有名な条件ですから。確かに、会計監査人が登記事項となったのは、会社法からですが、いずれにせよ、これらのことを銀行員が知らなかったとすれば、社員教育が全くできていなかったことになり、ガバナンス最低の銀行であり、預金は即刻解約した方が良さそうに思える。

ところで、本当にそうなのだろうか?

即ち、林原は林原グループと称しており、多くの会社で構成されている。例えば、株式会社林原は資本金1億円で、年商282億6,800万円(H21年10月期)と企業のWebにある。それぞれの会社が資本金5億円未満で負債も200億円未満となるようにコントロールをしていたとすると、今回のニュースが林原による違法行為ではなく、業績悪化の実態を隠し、信用悪化を避け、会社が存続すべく・・・・とのことになると思う。

現時点で、知り得ている情報が少なく、実態はどうなのだろうと思っています。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年2月 9日 (水) 17時34分

銀行の担当者が設置義務を知っていたか、そんなのは問題じゃありません。知っているに決まっているからです。
下記速報サイトによると、名だたる金融機関が大口債権者リストに名を連ねています。
http://n-seikei.jp/2011/02/post-1990.html
上位5社はつぎのとおり。
中国銀行   427億9600万円
住友信託銀行 280億9650万円
三菱東京UFJ銀行 110億6215万円
三井住友銀行 105億2970万円
みずほ銀行 69億円
以下有名地銀がずらり・・・

これを見ると、単純な「例外的取扱い」ではなく、メリットがあれば融資するという金融機関の「原則的処理」だったのではないかと感じます。

また、このリストが正しいとすれば、中国銀行だけを問題にするのはおかしいということになります。

投稿: JFK | 2011年2月 9日 (水) 23時45分

経営コンサルタントさん、JFKさん、ご意見ありがとうございます(JFKさん、おひさしぶりです)
なかなか厳しいご意見ですね。でも私も(関係者の方を存じ上げておりますので、あまり言えませんが)同感ですね。
本日の記事(産経ニュース)を読んでおりましても、やはり中国銀行さんの言葉をにわかには信じがたいような(笑)
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110212/fnc11021218010003-n1.htm
当局の今後の出方が気になりますね。

投稿: toshi | 2011年2月13日 (日) 01時43分

単に、どの銀行も監査報告書に何の付加価値も感じていないということでしょう。
監査報告が有っても粉飾を見抜けなかったケースは日常茶飯事ですし、それで監査法人が責任とって金を払ったケースは聞きませんからね。銀行にとっては、税務署の受付印の方が公認会計士の判子より遥かに値打ちがあるということでしょう。

投稿: まさか | 2011年2月23日 (水) 00時59分

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