« 「デジタルデータは消えない」(幻冬舎ルネッサンス新書) | トップページ | 被災地法律相談の心構え(有事であることの意識をもって) »

2011年4月13日 (水)

イオン社の事業提携・ガバナンス提案とパルコ社の「断固拒否」

(4月13日午後:追記あり)

毎度申し上げているところでありますが、私はM&A実務に詳しい弁護士ではございませんので、以下はあくまでも上場会社の社外役員という立場からみた素人的な感想でございます。

イオン社がパルコ社に対して事業提携提案とガバナンス提案を行い、パルコ社経営陣はこれを断固拒否している状況が続いております。パルコ社側は、従業員組合が現経営陣を支持する(つまり、イオンの事業提案に断固反対する)旨の意思を表明していたところ、本日、組合外の一般社員からも、事業提携案に反対する旨の表明書が提出されたそうであります。つまり、パルコがイオン化(事業提携→子会社化)してしまうことについて、パルコ社は全社あげて反対の意思表明を行った、ということのようであります。

サントリー・キリン統合劇のときにも申し上げましたが、私は①救済による場合、②国際競争力を向上させるような大義名分がある場合、もしくは③血も涙もないカリスマ創業社長が存在する場合以外で、従業員の反対が強いケースにおいて事業統合は成功しない、という信念を持っております。(たしかに、ときどき「有事に強い」プレイングマネージャーがおられて、うまく事業統合を進める方がいらっしゃいますが、そのような方は「平時」になりますと、社内で煙たがられてどこかへ飛ばされてしまうのではないでしょうか。)私自身が役員をしている企業の統合破談の経験からも、そのように確信しています。なので、今回のパルコ社のケースにおきましても、このままイオン社が強行した場合、うまくいく確率はかなり乏しいのではないかと。

素朴な疑問でありますが、ここまで社員の反対の意思が表明されていながら、イオン社および森トラスト社はパルコ社の企業価値を上げることが果たしてできるのでしょうか?これまで、こういった事態で経営権の奪取を強行して、うまくいったケースというものはあるのでしょうか(あればぜひ、調べてみたいので、どなたか教えていただきたいです。私は同様の状況で経営権奪取を強行した春日電機さんの例くらいしか思い浮かびません)。スティールPによるアデランス経営陣交代劇は、結局のところ失敗に終わってしまいましたし、MBO後のすかいらーく経営陣交代もいまだ軌道に乗っていません(なお、katsuさんより、「すかいらーくは、グループ全体としては業績が上がっていますよ」とご指摘いただきました)。状況は違いますが(TOB事案)、王子製紙による北越買収も、日本電産による東洋電機製造買収も、労働組合による買収反対表明により、断念されております。

たしかドンキホーテ社がオリジン東秀さんを敵対的買収で取得しようとした際、ホワイトナイトとして登場したのがイオン社であり、その際にはオリジン社の従業員組合がイオンの傘下となることに賛成の意思を表明したがゆえにイオンのオリジン子会社化が成功したものと記憶しております。あの事件からしても、イオンさんは「強硬な支配権取得は従業員の賛同がなければ奏功しない」ということを認識されていらっしゃるのではないかと思いますが。

パルコ社側の買収防衛策発動、転換社債の転換権行使など、強硬手段はあるにしても、法律上の問題点がありますので、イオン社と森トラスト社による株主権行使のほうが圧倒的に有利であることは承知しております。しかし、そもそも、45%の株式について共同議決権行使を行うイオン社と森トラスト社との利害関係は、今後も一致し続けることの確証はあるのでしょうか。また、自ら買収防衛策を導入しておられるイオン社として、同じく防衛策を導入しているパルコ社の事業提携等に関する検討の時間を不要として、森トラスト社と株主提案権に乗っかって検討を急がせる根拠はどこにあるのでしょうか?他社にルールを遵守するよう要求していながら、自社はルールを守らないでよい、とする正当な理由はどこにあるのでしょうか?とくに、このあたりは「そもそもルール違反ではないし、パルコの一般株主の利益を害するものでもない」とするイオン社の社外取締役の方々の判断理由を拝聴してみたいものです。私はどちらに肩入れするつもりもないのですが(むしろガバナンス提案の内容は興味深い)、社外役員という立場から、このあたりの理由がよくわからず、とても逡巡するところであります。

(4月13日午後 追記)

「パルコ、アジア最大の商業施設運営会社との提携を発表」(日経新聞ニュースより)

剰余金配当増額のお知らせとともに、適時開示情報が出ております。

パルコ社の一般株主の方々にも、いろいろご意見あるかもしれませんが、企業価値向上のために経営者同士が(株主にもわかるように)長期シナリオを掲げて戦う姿、個人的には好きです。

|

« 「デジタルデータは消えない」(幻冬舎ルネッサンス新書) | トップページ | 被災地法律相談の心構え(有事であることの意識をもって) »

コメント

確かに従業員の賛成、理解?がなければ企業価値なんて上がらない。

投稿: ひろし | 2011年4月13日 (水) 06時12分

>MBO後のすかいらーく経営陣交代も軌道に乗っていません
同社HPの公告にある決算動向を見る限り、グループの営業利益は回復していますよ?
http://www.skylark.co.jp/company/group_public.html

私には社長(または取締役会)が決めた方針に部下が反対し、それが正当化されることの方がまったく単純に不思議です。

海外では確か、インドのタタグループが英国のコーラスという名門製鉄会社を買収した際、労組に説明会を開催して、経営方針を説明(インドに工場を移転しないとかむやみに首切りしないとか)し、承諾を取り付けたと言う事例があります。
同じくタタグループが高級車のジャガー/ランドローバーを買収する時も労組向け説明会を開催しています。

買収サイドもこのよう場を提案し、労組側も意見を聞いてみる、という機会があってもいいのかもしれません。

やみくもに「いやだ」と言っていては、意見がかみ合いませんので、仮に我々が社外取締役だったら、提案して見るとかはないのでしょうかね?
言い分を聞かず、反対に賛成していては株主説明責任を果たしているとも思えません。

投稿: katsu | 2011年4月13日 (水) 13時00分

katsuさん、ご指摘およびご意見ありがとうございます。素人的な疑問ですいません。。。(本文を若干修正いたしました)

王子製紙のケースなども、たしか北越従業員への説明をされていましたが、あれはTOB事案でした。今回のように、大株主として完全に支配権をもっている状況で経営権取得を企図する場合には、ともかく経営権を確保⇒アライアンス(いきなりの子会社化ではなく、しばらくは事業提携)⇒パルコ従業員へのイオンの説明を尽くす、という流れを考えておられるのでしょうか?
ただ、業界の性格からみて、優良な人的資源が、どんどん流出してしまう可能性もあるように思えますが。

投稿: toshi | 2011年4月13日 (水) 13時19分

多くの日本の企業の会社員(組合員、管理職とも)にとって(それが殆ど実現しない幻影だと知りつつ)自分が重役になったり社長になったりするかも?という夢がモチベーションとなり忠誠心の源泉になっていたりするのですが、そのことに触れた解説を目にしないのは何故なのでしょうか。
だから、倒産しそうにでもならない限り、多くの会社員たちは自分の勤める会社の合併や買収を決して喜びません。妨害できるのなら妨害すると思っているはずです。

(そう考えない有能で独立心のある人間は転職或いは独立していくわけですが、そういうひとはごく少数です)

まあ、パルコのような企業の場合はそもそも定着率が低い(転職率が高い)ような気がしますから、北越製紙のようなケースとは違うのかもしれませんが…

時にパルコって、主要駅前等の優良な不動産をたくさん所有してるのでしょうか?

投稿: 機野 | 2011年4月14日 (木) 00時07分

まぁ、シンガポールCMAとの事業提携は、イオンへのあてつけでしょうね。本気で企業価値向上のため、と株主に説明できるかどうかは疑問でしょう。

投稿: unknown1 | 2011年4月14日 (木) 01時30分

>私は①救済による場合、②国際競争力を向上させるような大義名分がある場合、もしくは③血も涙もないカリスマ創業社長が存在する場合以外で、従業員の反対が強いケースにおいて事業統合は成功しない、という信念を持っております。

私は、このご主張に全く賛成ですが、一方では、違和感が残ります。といいますのは、このご主張は、コーポレートガバナンス論の主権論で言えば、明らかに従業員主権を実態的に支持されています。会社主権とは、突き詰めれば「会社のあり方を最終的に決める力」のことですから、上の記述は、明らかに従業員に主権があることを示しています。

しかしながら、その一方で、内部統制は経営者の決める仕組みですが、経営者の背景にあるのは株主です。内部統制がアメリカからの輸入品であることを考えれば、当然かとも思います。したがって、私は、内部統制の専門の方は根底において株主主権の立場に立っておられると思ってきました。それだけに、従業員主権の信念がご披露されたことに驚いた次第です。

あるいは私の思い違いかもしれませんが、普通に考えれば、株主主権と従業員主権が並立することはあり得ないと思いますので、どのようにお考えなのか、ご教示をお願いしたいと思います。

投稿: 酔狂 | 2011年4月14日 (木) 07時22分

私はイオンの味方でも何でもありません。

イオンが委任状争奪戦のうえ経営権掌握の勝利をおさめたCFSコーポレーションというドラッグストアがあります(旧ハックキミサワ)。ただし、この場合従業員までもがイオンに反対したわけではありません。
イオンが実質的に買収したのち、営業利益額、一株当たり利益は回復しています。
http://www.cfs-corp.jp/corp/pdf/ir/businessresults/businessresults_pdf_14.pdf
(内情は存じ上げませんが)イオンがノウハウの乏しかったドラッグストアにおいてもそれなりに経営してきたと言える事例かもしれません。したがって、企業価値向上(というと語弊がありますが、ターンアラウンドの)実績はあります。

本件が新聞報道等で言われている通り、仮に、主要株主森トラストの支配権の希薄化を目的として政策投資銀行に転換社債を発行しているとなれば、ちょっとパルコ側が完全にひ弱な被害者のように記載されるのは無理があるのではないでしょうか?(そもそも政投銀がなぜこのような案件に関与したのか全く余計なおせっかいです)。
33%保有する筆頭株主を差し置いて、第三者割当を強行する経営者ですよ?

従業員が反対するとうまくいかない、という論理をさておき、リスクを冒して投資した者が報われる前提がなければ(報われるか否かは当事者の努力次第ですが)株式市場なんて機能しません。PBR1倍割れなんてあっても不思議でもなんでもありませんよ。リスクとっても報われないのでしたら。

従業員の反対というのは唐突感があって、自主的に従業員が反対しているのか、経営者から目配せがあったからやっているのか、普通は株主と経営者の争いに従業員が割り込むというのは筋違いのように思います。本当に優秀な人材なら、このような場で反対意見を表明するとは思えません。じっと成り行きを見守るのではないでしょうか?

本件はTOBでもないのですが、公平感を持って言えば、森トラスト/イオン連合にも自分たちの提案をもっとPRしてもいいかもしれません。

イオンだって馬鹿じゃないし、M&A経験も豊富なので、支配会社の経営は慣れていると思います(実際被買収企業の方で知っている人は特段困っていません)。イオン側も失敗すると自分たちの評判にもかかわることなので、パルコ側が主張するような大げさなことに発展するとも思えません。

経営者が新しくなれば、一般的には人事評価目線も変わるので、今まで埋もれていた人材の発掘も行われることはよくあることです。この方がより社内の競争が活性化されるのではないでしょうか? 最近のM&Aの目的には「優秀な人材」の発掘ということを言う経営者すらいます。

資本の論理で決めてもらって、結果責任はイオン森トラストおよびそれを支持するその他株主に負ってもらえばいいだけじゃないでしょうか?

投稿: katsu | 2011年4月14日 (木) 14時27分

katsuさんは、典型的な株主主権論者であるとお見受けしました。株主主権論も、従業員主権論も、ともに株主や従業員のみを重視する価値一元的な立場から、ステークホルダーの中で、株主や従業員を相対的に優先するという価値多元的な立場までバリエーションがありますが、katsuさんは、価値一元的な株主主権論に近いお立場と理解しました。「従業員が反対するとうまくいかない、という論理をさておき、リスクを冒して投資した者が報われる前提がなければ(報われるか否かは当事者の努力次第ですが)株式市場なんて機能しません」というご主張や、「資本の論理で決めてもらって、結果責任はイオン森トラストおよびそれを支持するその他株主に負ってもらえばいいだけじゃないでしょうか?」という結論は、整合性が取れており、katsuさんならではの感を強くします。

しかし、従業員主権の立場をとる私から見ると、結論は全く正反対になります。敵対的買収のような会社の運命を決する議題に従業員が乗り出さないというのは、主権者としては異例としか思えません。また、エンロンやリーマンショックのケースを見ると、私は「資本の論理」に絶対的な信頼感をおくことは出来ません。

株主主権か、従業員主権かは、分かりやすく謂えば、会社員は、何のために働くのか、ということではないでしょうか。株主のために働くのか、それとも我々自身のために働くのか。あるいは、人と金という経営要素のどちらを優先するのか、という議論にもなると思います。さらに謂えば、日本経済が戦後急速に復興してきた要因は何処にあると考えるのか。いわゆる「日本的経営」の成果だと考えれば、従業員主権との親和性が強くなってきます。これは、これからの日本経済の行方を考える際にも重要なポイントです。

こうしたことから、この主権論は、コーポレートガバナンスでも根幹のテーマになっています。しかし、私が懸念するのは、失礼な言い方になるかもしれませんが、このプログに集われている少なからざる方が、株主主権論を暗黙の前提とされているように拝見できることです。この主権論は、人間の人生観に匹敵するものです。それだけに、主権論を欠いた内部統制論は、砂上の楼閣に等しいのではないかと心配しています。

投稿: 酔狂 | 2011年4月15日 (金) 06時23分

何を主権とするのか、という議論で、かつて玉虫色の結論を見たものがありました。買収防衛策のガイドラインです。結局、いいように解釈され、何も前進しないどころか、物事が後退した感があります(リーマンショックで少し立ち消えになっただけ)。

この経験も踏まえ日本独自とか言わずに、シンプルに決めるべきだ、といいたいだけです。
コンプライアンスは目的なのか手段なのか?私は手段だと思います。

株式市場を取り巻く制度も未熟で、ざっくり言えば、やりたい放題する企業もあって悩ましい面もあります。強者も弱者も自分勝手に解釈してしまっています(先生はこういったところを問題視されているのだと思いますが、その抜け道をご指南されるのはニーズがあって商売とはいえ、弁護士でもあります。彼らの高等?な議論のおかげで、少しずつ是正されるのでしょう。とはいえ厄介ですね)。

労働者兼投資家として言えることは、アホな主権議論で色々言っているうちにもうキャッチアップ出来なくなる海外との差が出来てしまうのではないかということを非常に危惧します。

内需型であろうと外需型であろうと成長機会は海外にしか見いだせなくなっているのに、島国根性の思想で太刀打出来る体力は付きません(海外企業との財務比較をすれば一目瞭然)。

結局、全体のパイが大きくならないと労働者に恩恵は回ってこないし、高齢化社会を支えることは不可能です。株式市場も活性化しないと厚生年金、国民年金は皆破滅する可能性もあります(これが理解されていない)。

結論になってなくって申し訳ありませんが、M&Aについては結構実態とは違う前提で話が進んでいたり、日本企業のM&Aリテラシーが低い面があって誤解が多いように思います。買収企業が被買収企業を食い物にするかのような側面は多くの労働者にとっては妄想のように思います。経営者は追い出される可能性もありますが、経営者も自社株をたんまり持っていれば一種のゴールデンパラシュートにもなります。
(企業は赤字でも従業員にいくらか給与を支払う義務がありますが、株主は赤字になると資産が減ってしまう)

今までとやり方が違うことに抵抗があるのかもしれませんが、外部環境はいままでとずいぶん変わっていますので、そろそろ「覚悟」があってもいいなと思います。日本独自というのは日本の影響力が大きくて初めて主張できるような気がします。誰が株主であっても経営者であっても、労働者のやることの本質に大きな差はないはずです。

投稿: katsu | 2011年4月15日 (金) 12時23分

主権論は、「学問としては追究の意味があるが、現実の世界では、あまり考える意味を持たない」という点で、典型的な論点だと思います。
誰が主権であったとしても、それ単一で存在しえない以上、他者への配慮がなければ、自己の目的達成ができないからです。

もし、仮に従業者主権を本気で考えるのならば、従業者で株式を保有するべきであり、資本の提供は受けるが株主の言うことは聞きません、というのは本質的に誤っていると思います。
一方、株主主権を本気で考えたとしても、自分自身が手足になれない以上は、従業者のモチベーション等を配慮しないわけにはいかないでしょう。

ただ、上場企業であるということは、会社としては原則として株主を選択する自由を放棄しているのですから、その株主の要求に配慮することは当然至極、仮に無視を決め込めば、今は良くとも将来の資本調達には障害となることでしょう。
そのリスクを孕んでいる選択であることを、従業者や経営者はよくよく考えて判断しなければならないと思います。
一方、株主側の立場としては、究極的には買収によって(解散によって)資産価値だけをとれればよい、という考え方もあります。
ハゲタカファンドならばそれでもOKですが、今回のような事業会社であれば、自身の従業者からも猜疑的に見られてしまうリスクを考えるべきでしょう。
ただし、森トラストのような非上場オーナー会社だと、ファンドにかぎりなく近い判断も可能でしょうから、微妙ですが。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年4月17日 (日) 21時00分

場末のコンプライアンスさんは、主権論は、学問としては追究の意味があるが、現実の世界では、あまり考える意味を持たない、といわれますが、私の認識は全く異なります。たとえて謂えば、主権論は人生観と同じで、社会貢献の人生観か、自己利益追及の人生観かで、日ごろの生活は全く変わらないとしても、いざというときの決断時には大きく影響してきます。敵対的買収を受け入れるか否かといった会社の運命を決するようなときには、主権論は不可欠の論点になります。

もっとも、主権論といっても、原理主義的な価値一元的な立場は、ご指摘の通り、私もおかしいと思います。いくつかのステークホールダーの中で、優先順位がある程度決められる、といったところが妥当ではないかと思います。私は、従業員が主権を持つことが必要だとは考えますが、株主にもそれなりの配慮をすることは当然必要です。しかし、敵対的買収を受け入れるか否かを決めるときに、誰が決定権を持つかといえば、それは主権者だというのが私の論理です。その際、株主と従業員が同等に並立するということは基本的にありえないことです。

そもそもの私の疑問は、内部統制の専門の方は根底において株主主権の立場に立っておられると思ってきましたが、従業員主権の信念がご披露されたことに驚いたことに端を発しています。そこで、どのようにお考えになっているのか、教えていただきたかった次第です。よろしくお願いします。

投稿: 酔狂 | 2011年4月18日 (月) 03時50分

酔狂さま
すごい時間にチェックをされていますね。。。びっくりしました。

私は相当に「ひねくれ者」ですので、このような議論がでていると、ついついアンチテーゼ的に提示したくなる性質なので、ご容赦ください。
結局は株主主権も、従業員主権も、はたまた私のいう主権無意味論(?)も価値観なので正解はないのだと思います。

個人の立場をもう少し鮮明にすると、さすがに従業者が最終決定権を有しているというのは、法律面でも、経済面でも、抵抗があります。ですので、酔狂さまのいう意味では、私も株主主権を軸にしていると言えましょう。
従業者が口を出せないのは如何なものかと思いますが、最終決定権を有するのはもっと如何なものかと思う次第です。
法律論というよりも、経済的側面からの疑念ですが、会社に関する最終的なリスクを背負っていない従業者が決める点への疑念です。
当該会社における従業者のリスクは、給与を得ていることで十分にペイしているはずですが、株主は自益権と共益権の双方を保有することで初めてペイするはずですので。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年4月18日 (月) 16時42分

皆様、ご意見ありがとうございます。
本件は造詣の深い方々のコメントが多いので、切り口が多彩ですね。本日の日経ニュースなどでも、堤清二氏のインタビューなども出ていて、一筋縄ではいかないM&A論議になっているように感じます。私のエントリー中の持説は理屈ではなく、信念です。それはどうでもよいのですが、イオンの社外取締役、パルコの社外取締役の立場であれば、どのようにふるまうべきか、これはとても気になるところです。

投稿: toshi | 2011年4月19日 (火) 01時50分

場末のコンプライアンスさん、認識が異なることが1点、ありますので、説明をさせていただきます。

>当該会社における従業者のリスクは、給与を得ていることで十分にペイしているはずですが、株主は自益権と共益権の双方を保有することで初めてペイするはずですので。

本当にそうでしょうか。私が学校を卒業して入社するとき、生涯の職場と心で決めていました。これは生涯報酬をかけたリスクです。そうは思われませんか。したがって、私は、自分の会社がきちんと成長できるように真剣に努力をしてきました。

また、こういう風にいわれる方もおられます。日本の会社の賃金体系は、若いときには低めに抑えて、後半でその分を上乗せするということです。最近、修正が加えられているようには思いますが、まだまだその要素は残っています。経済学では、こうした賃金体系を「暗黙の契約」といいます。これは、従業員が賃金を積み立てていることと同じですので、リスクを担っています。

こうしたことも考慮されたうえでのご判断をよろしくお願いします。

投稿: 酔狂 | 2011年4月19日 (火) 03時53分

酔狂さま

たぶん、世代間ギャップではないでしょうか。

私の世代では、もはやそのような認識なく勤めている従業者が過半を占めているように思います。
そして、法も社会の影響を受けずに存立することはありえず、いわゆる終身雇用の時代を生きてきた世代の方が思う「従業者」の権利を得るように努力するぐらいなら、他の会社に移る選択をされる個人が多くなっていることの鏡、ということではないかと。

酔狂さまの年代の方は、それで正しかったのだと思います。私が社会人になった年は、拓銀破たんの、まさにその年です。
酔狂さまと同じように、銀行を振り出しに社会人すごろくのダイスを振りました。
ですが、その時点ですでに「生涯報酬をかけたリスク」を引き受けていないのです。

その違いが色濃く、主権論に対する態度に反映しているように思いました。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年4月19日 (火) 21時32分

そうですか。場末のコンプライアンスさんは、私の次男と同年代ですね。

息子の友達やあるいは会社の部下で、30代後半の方とよく飲みますが、真剣に会社の経営を考えて仕事に取り組んでいる人が多く、それほど違和感を感じることはありません。

私の時代も、私のような考え方が過半を占めていたとは思いません。せいぜい2~3割程度です。しかし、その層が会社を引っ張って行きました。この構図は、若い人と話をしていても、それほど変わっていないと感じます。私には、世代差よりも、個人差に見えます。

投稿: 酔狂 | 2011年4月20日 (水) 04時21分

おはようございます。
本件、収束に向かいつつあるようですね(日経新聞記事によりますと)。パルコの社外取締役の方々の決断がひとつの要因だったようですが、そのあたりの詳細な報道がありましたら、また続編を書きたいと思っています。

投稿: toshi | 2011年4月20日 (水) 09時40分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: イオン社の事業提携・ガバナンス提案とパルコ社の「断固拒否」:

« 「デジタルデータは消えない」(幻冬舎ルネッサンス新書) | トップページ | 被災地法律相談の心構え(有事であることの意識をもって) »