ダイバーシティ-株主総会想定問答と「もうひとつの意味」
今朝(2011年4月28日)の朝日新聞の広告を読みながら、妻が驚く
「えぇ~!? もう信じられな~い! 祐ちゃんたら、まったくもう・・・・・。」(ちなみに、うちの妻は純粋な東京人でして、いまだに関西弁は一切話しません)
「私を抱いた祐ちゃんへ(ラブホテル写真付き)」(女性セブン)、とのこと。
内部通報の窓口や、内部告発代理人の仕事をしておりますと、こういったことはよくありますので、とくに珍しいものでもなく、私からしますと、「あらら、斎藤選手もやってしまったのね。若いし、独身なんだから。」程度のことなのですが、やはり女性ファンからすれば非常に厳しい評価が下されることになるのかもしれません。また、女性へのパッシングもあるかもしれません。(ちなみに私は本記事を読んでおりません)
私もセクハラやパワハラに関する女性の通報などを受け付けるたびに、どうしても「こんなの通報して彼女に何の得になるのか」「ひょっとして裏で取引があるんとちゃうか」とか「もともと交際していたけど、専務のほうが別の社員に手をだした はらいせ かな?」「派閥争いに彼女は利用されているのかな」などと動機を推測してしまいます。しかし、そうでもなさそう。
「自分の人生に区切りをつける」「同じ空気を吸いたくない」「強く生きていくための踏み絵みたいなもの」・・・・・・、よくわからないのですが、ともかく男性の頭では理解しにくい動機や理由が、社内における処罰を強く求める意識の根源にあるようです。どう考えても、私の頭では理解できないのですが、先の例のごとく、マスコミに面白おかしく(誇張表現も含めて)いろいろと書かれるよりは、社内でなんとか対処してすますほうが、企業としても信用を落とさないわけでして、リスク管理ということで一生懸命社内調査を行います。
美容整形医師の代理人業務などをしていても、同様のことを感じます。施術ミスに関する損害賠償事件の示談交渉などにおいて、男性の被害者には通用しないフレーズでも、女性の被害者には通用するのが
「あなたのような被害が二度とこのクリニックで起こらないように、あなたご自身の力を貸してください!あなたの手で、このクリニックを正しい方向に変えてください!」
なんで被害者である私が、お人よしにそんなことしなきゃならないの?と言われそうにも思うのでありますが(私なら逆に腹が立ちます)、けっこう女性被害者には紛争に冷静に対応していただくきっかけになる言葉となるのであります。正直、男性である私には女性の気持ちが理解できません。
最近、会社におけるダイバーシティ(人種の多様化)、とりわけ女性役員登用問題が議論されるようになりました。株主総会で株主から「おたくの会社はなんで女性の取締役がいないのか」と問われた場合の理想的な回答なども、想定問答集に記載されておりますね。たとえば日経ニュースで、西川善文氏が述べておられるところが、もっとも模範的なところではないかと。
役員や社員の多様性は、経営にとって最も重要な消費者ニーズの把握と深い理解、新たなビジネスチャンスの創出につながるものであります。この意識を全社に浸透させることが、ダイバーシティ経営を強力に進める上で重要と認識しております。いまはまだ役員にふさわしい女性が育ちつつある段階でして、今後の重要な検討課題と考えております。
たぶん、これで回答としては十分ではないかと。
しかし、ダイバーシティの本当の意味は、お互いにわかりあえない人間が集まって、わかり合えるための努力をする、もしくはわかりあえない者どうしでも、すくなくとも会社経営のレベルにおいては合意形成を行う、ということにあるのではないかと。「あ、うん」の呼吸程度であれば、女性役員でも十分に理解してもらえます。しかし、業界事情に精通しておられる女性の社外取締役の方でも、いざコンプライアンスに関する対処など、企業経営の根源にかかわる部分は「あ、うん」では済ますことができない。とくに取締役の利益相反にかかわる問題などについては、けっこう面白い見解が飛び出したりするケースもあります。「男と女は、おたがいにどんなにわかりあおうとしてもわかりあえないミゾがある」ということを認識したうえで、経営にあたることの認識、ということこそ、ダイバーシティの真意ではないでしょうか(もちろん、これを是とするか非とするかは別として)。
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