有事の株主総会参考書類WEB開示に関する素朴な疑問
経済産業省が「当面の株主総会に関するガイドライン」を公表しておられます。そういえば日経新聞の4月15日付にて経産省の課長さんによるインタビュー記事が掲載されていましたね。3月決算会社の株主総会のご準備にはたいへん参考になるところかと思われます。
震災の影響により、紙の消費も控えたほうが良い、といったことで株主総会参考書類の株主への交付について、定款にWEB開示に関する規定を置く会社についてはWEB開示制度(会社法規則94条1項)が推奨されるそうであります。3月決算の上場会社の場合、約9割ほどの会社が定款でWEB開示を可能とする規定を置いているそうですが、実際に活用しておられる会社はごくわずか、というのが現実であります。(ちなみにWEB修正とWEB開示は異なります-念のため)
以下、上記ガイドランからの引用
2 考え方
現行法を前提としても、定款にウェブ開示の定めがある会社においては、ウェブ開示ができる事項についてはウェブサイト上での提供を行い、また、その他の会社においても必要以上の冊子を印刷しないことなどにより、印刷物の量を減らすことが可能と考えられる
3 ガイドライン
ウェブ開示について定款に定めのある会社は、株主の理解と協力を求めつつ、株主向け印刷物を削減することを検討することが考えられる
ネット環境等について、私は素人なもので、これは素朴な疑問なのですが、WEB開示というのは震災のような有事には耐久性が強いものなのでしょうか。WEB開示も、電子公告と同様、一定期間、継続してインターネット上で開示されていなければならないわけですが(会社法規則94条1項)、たとえば震災でサーバーが停止したり、被災者がネットにアクセスできない、という事態は考えられないのでしょうか。
ちなみに、江頭先生の「株式会社法」では、
電子公告と異なり、(WEB開示制度の場合は)開示の中断等の効果については定めはなく、法的瑕疵については実質的に判断される(第1版315頁)
とありますので、やはり継続開示に関する問題点、というものはありそうです。また、こういった法的瑕疵について株主が争った場合に、継続的に開示されていたことを、会社側がどうやって証明するのでしょうか。この証明方法は、計画停電によって左右されるようなことはないのでしょうか?(とりあえず株主の皆様には、証券取引所の招集通知PDFをみておいてください、といった注意喚起で足りるのかな?)このあたり、思いつきのために、私もよくわからないのですが、リーガルリスクについて若干の不安を抱きました。
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