インサイダー取引規制の現状とその最新論点(大証セミナー)
「管理部門はつらいよシリーズ」をアップしておりましたので、すっかり出遅れてしまった感のある村上ファンド、インサイダー刑事事件最高裁判決でありますが、村上氏らによる上告が棄却されたそうであります。日経新聞の6月8日朝刊には有識者の方々のコメントがたくさん掲載されておりました。①立法の不備を解釈で補った日本商事事件判決、②インサイダー規制を「効率的な価格形成や取引倫理というよりも、一般投資家が市場から去らないために、不公平な取引を規制する趣旨」とみて、その趣旨に合致した解釈指針を展開した日本織物加工事件判決の流れからするならば、今回の最高裁判決の内容はごくごく当然のことと思われます。「実現可能性」が構成要件の内容になってしまったら、おそらく今度は故意犯(規範的構成要件事実)の解釈が大問題となってしまって、金商法を含めた全法律体系にゆがみが生じてしまうことになるのでは・・・と考えておりましたので、至極穏当な解釈に落ち着いたものと考えております。
いずれにしましても、有識者の方々が、「今後はインサイダー取引規制が厳格化する可能性が高く、企業としても情報管理を徹底する必要がある」と指摘されておられます。私も同感でありますが、こんなときにタイミングよく、7月11日(月)のインサイダーセミナー(大証、大阪弁護士会共催)のお知らせでございます。大証のホームページにて広報されておりますとおり、原先生(北浜法律事務所)、小西氏(大証上場管理グループリーダー)の講演とともに、今回は宇澤先生(宇澤公認会計士事務所)を交えてのインサイダー取引規制の現状とその最新論点と題するシンポを開催することとなりました。3月のセミナーとは異なり、今回は大証JASDAQ上場企業の役職員の皆様向けのセミナーでありますので、多数ご参加いただければ幸いです。
以前ご紹介いたしましたとおり、宇澤先生(公認会計士)は、約12年間にわたり、財務捜査官として警視庁、証券取引等監視委員会で犯則事件の摘発に従事されてきた方でして、インサイダー事件、粉飾決算事件の立件に関わってこられた方であります。最近ではあのエフオーアイ、プロデュース等の粉飾決算事件の立件にも関与され、また私も事件の代理人として関与しておりましたアイ・エックス・アイ事件の立件も手掛けられた方です。もちろんインサイダー事件も間近で見ておられたので、摘発する側からみたインサイダー事件の現状と課題について、いろいろと語っていただこうと思っております。小西さんを交えて、取引所審査と行政当局の特別調査との連携などについても実務的なところをお話いただければ、と。また、原先生には個人犯罪にすぎないインサイダー規制につきまして、なぜ最近は企業の内部統制構築の問題としてとらえられるようになったのか、企業のリスクという視点からわかりやすく解説していただきたいと考えております。
モデレーターは不肖私ですが、関係者の方々に、守秘義務スレスレの濃いお話(ただし個別案件にわたるお話は無理ですが・・・)をしていただくよう尽力いたしますので、どうか皆様(お時間の都合がつきましたら)7月11日午後2時から5時まで、大阪弁護士会館2階ホールにお越しいただきますよう、お願い申し上げます<m(__)m>
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コメント
たびたびすみません。追記をさせてください。
先生のご意見についても、本業を行っている際には「社会の要求にこたえる」というコンプライアンスの趣旨からは傾聴して業務遂行しています。
本件を含め、本業の「コンプライアンス」から離れた、個人的見解として述べさせていただいています。
ま、匿名ですので問題ないとは思うのですが、読む方によっては「とんでもねぇコンプラだ。」と思うひともいると思いますので、一応。
投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年6月13日 (月) 16時17分
偉い方々の生レクチャーをぜひ受けたいと思っています。
インサイダー取引規制については、「社会の要求をこたえる」ながらも、やはり会社(自分)の利益を守るためのお話を聞きたいと思っていますね。いわゆる、『うっかり』インサイダーってやつですか?
投稿: unknown1 | 2011年6月13日 (月) 21時01分