« 架空循環取引事例における「不正早期発見」型再発防止策の登場 | トップページ | 管理部門はつらいよシリーズ(その1 社内ADRの巻) »

2011年6月 7日 (火)

被災地相談関連-相続放棄熟慮期間の延長措置等

6月11日で震災から3カ月が経過するわけでありますが、議員立法で相続放棄に関する熟慮期間(3カ月)の延長等が検討されていると報道されております。「そんなんあたりまえやん!」と同業者の方からブーイングが出そうなネタではありますが、最近のマスコミ報道であまり触れられていない点についてコメントしたいと思います。

ひとつは、相続放棄は(自分のために)相続開始を知ったときから3カ月以内に最寄りの家庭裁判所に申述手続きを行うのでありますが、注意しなければいけないのは、法定の単純承認事項です。被相続人の財産について、何らかの処分をしてしまったら、それは相続を単純承認したものとみなされ、その後は相続放棄はできません(民法919条、921条)。相続人の預金を解約して使ってしまったとか、死亡された方の債務者から借金の返済を受けた、といった後に、実は被相続人の借金のほうが大きかった、というケースなどは注意が必要です。悪質な金融業者等は、こういった法定単純承認事項を活用して、後日、相続放棄できない状況にしてしまうことも、過去にありました。これは相続放棄の熟慮期間が延長されても解消しないリスクです。(ただ、そのようなケースでも法律専門家に相談して、なんとかなるケースもありますが)

もうひとつは「限定承認」ですね。相続した資産の範囲でのみ負債を承継する(つまり責任財産は相続資産のみ)、ということで、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのか不明なケースで限定承認が行われる、というものですが(民法922条)、これは結構、難しい手続きなので、弁護士の支援が必要ではないかと。とくに土地などが資産に含まれている場合、譲渡所得税が高額となり、これはそのまま限定承認者の個人資産に影響を与えますので、相続放棄すればよかった、単純承認すればよかった、という結果になるケースがあります(弁護過誤もときどき散見されます)。

最後は「震災の行方不明者、死亡届の受理簡易化を決定 法務省」との日経ニュース。これは被災地の法律相談でも一番多かったので、被災地でお困りの方々によってはビッグニュースだと思います。現実には死亡認定制度が活用しにくい、と言われていたので、相続問題や保険金受け取り問題などに大きな前進がみられるのではないかと思います。

実際に避難所に行ってみますと、(私の行った避難所では)4台ほどのパソコンがネット接続状態で提供されていたのですが、ほとんど使われていませんでした。被災者の方々には、こちらから直接情報提供しなければならないことを痛感しました。また今年度中にもう一回被災地相談に行きたいと考えておりますが、こういった情報を被災者の方々へどうやって届けるかが課題ですね。

6月 7, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 |

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104680/51879664

この記事へのトラックバック一覧です: 被災地相談関連-相続放棄熟慮期間の延長措置等:

コメント

コメントを書く