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2011年7月22日 (金)

会社法新判例50(ジュリストブックス)-弥永真生教授

L13605弥永教授から新刊著書をいただき、早速拝読させていただいております。平成20年から22年にかけての約3年間、弥永先生がジュリストに「会社法判例速報」として連載されていたものから、50件の裁判例を厳選され、加筆のうえ出版されたものであります。

ジュリストブックス-会社法新判例50 (弥永真生著 有斐閣1500円税別)

「事実」「判例要旨」「解説」がすべての判例について4頁でまとめられておりまして、非常に読みやすく、司法試験等学習者の方々にも人気が出そうな本です。もちろんそれぞれが著名な裁判例なので、詳しく研究される方には(本書のみでは)物足りないかもしれませんが、解説部分に広く参考文献が紹介されておりますので、(帯にも記載されておりますとおり)ここ数年の会社法判例の流れを概括的に押さえておくには最適です。会社法といいましても、ガバナンスやファイナンス、組織再編など、その範囲がかなり広いために、実務家としてもすべての分野をカバーすることはなかなか困難であります。少し勉強しようにも、すでに議論が進化していたりしますと、どこから手を付けてよいのかわらからず、結局「食べず嫌い」のまま研究を怠ったりするのですが、こういった本が手元にありますと、会社法分野のなかの「食べず嫌い」の分野について、勉強しようという意欲をかきたててくれるものとなり、たいへん重宝いたします。

しかし、こうやって平成20年以降の会社法関連の判例を眺めてみますと、当ブログでご紹介したものも結構ありますし、とてもなつかしいですね。自分が重要だと考えていた裁判例が取り上げられていたりしますと、「おお!弥永さんもこれは重要と認識していたんだ」と納得してみたり。。。

当ブログでは、私個人の取扱いました具体的事件の内容については(原則として)触れないことにしておりますが、私自身が米国投資ファンドの代理人として判決をもらった事例も選択されていたのには少々驚きました(No.42)。あの事件は日本で一番大きな法律事務所の方々が相手方代理人となり、正直とても恥ずかしい判決をもらってしまい「かっこ悪いなあ」と思っておりましたが、判決後は予想に反して学者の先生方が研究材料として取り上げることが多く、金融商事判例などの法律雑誌にも、比較的早い時期に判決全文が登載されました。

こういった判例解説は、解説者の意見が記載されているほうが、読み手には面白いのでありますが、本書では弥永教授の自説が各所において紹介されており、読んでおりましても飽きるところはないようです。価格もお手頃ですし、お手元に一冊、お勧めの参考書であります。

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