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2011年8月29日 (月)

内部統制報告制度の助言業務は「お払い箱」?

大手監査法人に「冬の時代が到来」とのことで、トーマツさんに続き、あずさ監査法人さんでも助言業務において50名の人員削減を行う旨のニュースが出ておりました(たとえばこちら。日経新聞でも3日ほど前に報じられていました)。とりわけ企業の内部統制部門における助言業務の減少に伴う希望退職の募集だそうで、「内部統制に関する助言業務の特需が出尽くしたことによるもの」と報じられております。

日経や上記ニュースなどを読みますと、もはや内部統制報告制度の助言業務は不要になってしまったようにも思われますが、そうではなくて、今回の内部統制報告制度の改訂(内部統制基準、実施基準の改訂)により、最も助言が必要と思われる中小規模の上場会社については内部統制監査人による指導的機能が強化されたことによるものと思われます。効率的な内部統制報告制度のために、経営者による内部統制の評価方法をなるべく尊重することとともに、会計監査人自身が「効果的、効率的な内部統制構築のために適切な指摘を行うこと」が明記されました。

各上場企業とも、効率的な内部統制報告制度の運用が必要なことは、この2011年3月期において内部統制が有効とはいえないと評価した会社がわずか8社であったことから明らかではないかと。せっかく各企業の内部監査部門が独立的評価の実力をつけてきたわけですから、効率的な運用を目指して、それぞれ会計監査人とのコミュニケーション能力を発揮する必要があり、適宜適切に監査法人さんが助言機能を発揮すべきなのかむしろこれからではないでしょうか。内部統制報告制度について、独立したコンサルティング業務は減少しても、監査証明業務を担当する監査法人さんの助言への要請が減少したわけではないと思います。

8月 29, 2011 内部統制の費用対効果 |

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コメント

えええ?!

今更改まった助言も何も、平常の(会計監査との一体的)監査業務の中で、
必要に応じて、必要な助言は「当然」受けられているわけですが。

投稿: 機野 | 2011年8月29日 (月) 06時25分

予想どおりの機野さんのご反応、ありがとうございます(笑)といいますか、最近はこのての話題で機野さんに素通りされてしまっては書く意味がないわけでして(^^;

機野さんが考えておられる「助言」とは具体的にどのような目的のための助言でしょうか?あくまでも内部監査の視点からの「助言」では?

私の場合は商事法務にも書かせていただいたとおり、若干、助言の趣旨が異なっております。いろいろな企業の内部監査担当者の方や、監査役の不平・不満をお聴きして、ということで。

投稿: toshi | 2011年8月29日 (月) 11時26分

お久しぶりです。中堅企業の内部統制担当者(?)のtonchanです。

 今回の記事を読みながらついに内部統制も死語になってしまうのか、と考えておる今日この頃です。

 toshi先生には申し訳ありませんが、助言の定義が誤っているように思えます。中堅中小企業で必要なのは有効性と効率性を両立させるための助言です。有効性だけの助言では何の役にも立ちません。また、中堅中小企業においてはPDCAによる内部統制の向上が必要です。それができる人材のための助言もまた重要です。
 以上の本当に必要な助言はおそらくコンサルティングになじまない(商売になりにくい)のだと考えます。
取り急ぎ、私見のみです。

追伸:本当の意味で中堅中小企業の内部統制に向き合う社会は本当に来るのでしょうか?(現場担当者の愚痴です)

投稿: tonchan | 2011年8月29日 (月) 12時50分

どうもです。
あれ?私は「効率性」を重視した助言のことを本エントリーの後半で述べたのですが、書き方がまずかったでしょうか?有効性だけの助言では役に立たないのは私も(いままで見てきて)重々承知しているところです。
あまり時間的余裕がないままに、エントリーを書いておりますので、誤解がありましたらごめんなさいです。

投稿: toshi | 2011年8月29日 (月) 13時05分

色つきの内部統制(会社法と関連付けた財務報告内部統制)と色のない内部統制(純粋に経営目的達成のための内部統制)の違いですよね?たぶん先生がおっしゃりたいのは。

ただ、監査法人担当者は会社法的な発想で内部統制の監査はしていないのが実際なので、これまでの助言を越えたものは出てこないのではないでしょうか。やはり無理があるように思えます。

色つきの内部統制の議論はまだまだこれからなので、死語になることはないですね。おそらくまた訂正事例などをきっかけにいろんな議論がなされることかと。

投稿: とおりすがり | 2011年8月29日 (月) 14時01分

よそさんの会社の事情はよく存じ上げませんが、少なくとも上場企業は、そういう、別カテゴリの「助言」って、不必要だと思います。「ここは省けますよ」というような「助言」込みの監査費用をお支払いしてきており、これからもしていきます(笑)。

別料金でしか、或いは監査チームとは別部署によってしか、「効率性」も考慮した助言、監査を受けられない…などというような「低サービス」では、監査法人はやっていけない(顧客が逃げる)でしょう。

投稿: 機野 | 2011年8月29日 (月) 23時48分

機野様に同じです。構築が終わっている会社については、通常業務の一環ですね。今まではちょっと後ろめたい印象もあったかもしれませんが、今年の改訂によって特別なものではなくなったという感覚です。

今後さらに実務が積み上がってくれば、運用に飽きた実務担当者(普通のサラリーマン)の転職でノウハウが流動化する現象も起きる可能性があります。

投稿: JFK | 2011年8月30日 (火) 00時47分

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