日本内部統制研究学会(第4回)のお知らせ
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月刊監査役8月号(587号)に、内部統制研究の分野で第一人者でいらっしゃる柿崎教授が「日本の内部統制制度の運用も、そろそろ次のステージに移りつつある」と指摘しておられますが、私も同様に感じております。とくに中小上場企業の強みを生かした内部統制の運用を実践してきた企業は、誰に言われずとも効率性や有効性向上を図ってきたため、形式的な運用に終始してきた企業との差は歴然としてきたように思われます。
私が所属する関西の内部統制研究会も、(参加者はかなり減りましたが)もうすでに発足して5年が経過いたしました。しっかり取り組んでこられた企業の担当者の方は、本体だけでなくグループ会社や海外買収会社のJ-SOX対応に関する効率化に成功し、さらにIFRS任意適用に向けての準備も順調で、J-SOX対応によって得た監査法人の信頼も厚いところであります。私自身も、このたびの内部統制報告制度の見直しを題材として、モニタリングを活かした効率的な内部統制の運用を旬刊商事法務6月15日号上の論文にて提案させていただきましたが、限られた資源によって最大限の効果を得られるJ-SOX対応を、今後も検討していきたいと考えております。
さて、今年も日本内部統制研究学会の季節がやってまいります。今年は9月5日に関西学院大学にて、ご存じ平松一夫先生を準備委員長として開催いたします。(詳しくはこちらの日本内部統制研究学会のHPをご覧ください)午前中は、わが研究会のエースである雑賀(さいが)さんの「中堅中小上場企業における有効性と効率性を両立した内部統制」の発表がありますが、この5年、これほどまじめに内部統制システムを現場で実践してこられた方も、あまりいらっしゃらないのでは・・・と思います。好き放題、彼に管理部門をいじらせたニイタカの社長さんは偉い!(笑)。その結果、ニイタカ社の内部統制は目に見える形でハイレベルとなり、それに気を良くした(のかどうかは定かではありませんが)社長さんは、この規模の中堅企業では異例ともいえる企業内弁護士(東京の大手建設会社から転職)を採用されたのであります!
また午後からは高橋さんの「『損失の危険の管理』の規定の意義と今後の課題」について、たいへん関心がございます。高橋さんも新日鉄の監査役室時代より、内部統制研究の第一人者であり、震災後の日本企業にとって非常に関心の高いテーマをとりあげておられます。テルモ社、しまむら社、ヤマト運輸社など、震災後の危機対応としての情報開示がアナリストの方々に高く評価され、かつ株価にも大きく反映した事例は何度も日経新聞で取り上げられましたが、会社法に規定された「損失の危険の管理」をJ-SOX対応を通じて実践されてこられた企業の姿は、今後の各社の対応にも参考となるものであります。
雑賀さんと同じ時間に別教室で発表される「震災後のリスク管理体制の融合的構築の必要性と内部統制報告制度改訂の影響」も関心のあるテーマです。今年は関西での開催ではございますが、内部統制報告制度という「形」に「魂」を入れ始めた企業と、そうでない企業は、この4~5年でどう変わってきたのか、そのあたりの参考となる学会になるのではないかと期待をしております。どうか多数の方々のご参加をお待ちしております。<m(__)m>
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