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2011年9月15日 (木)

カレログの違法性についてひとことだけ。。。

2週間ほど前からfacebookのほうでは話題になっておりました「カレログ」でありますが、ついに総務省が個人情報保護の観点から検証することになったと報じられております(たとえば こちらのニュース)「カレログ」とありますが、彼氏が彼女の居場所を常に把握するためにアプリを彼女のスマホにインストールして、24時間監視する、ということも多いと思われます。

この話題は、またブログが荒れることが予想されますので(笑)、あまり深入りしないことにしますが、そもそも24時間、彼氏(彼女)の居場所を監視する、という行為についての包括的同意をとったとしても、それは他人のプライバシーを侵害する行為の違法性を阻却しないと考えます(つまり民法上の不法行為に該当する、ということ)。

週刊朝日WEBで、ネット関連法に詳しい牧野二郎弁護士が指摘していることにまったく同感でして、情報を入手されるたびに個別同意があってはじめてプライバシー権放棄に関する同意があるといえるのであり、そもそもカレログアプリをインストールする際の包括的同意は、プライバシー権侵害の違法性を阻却する「同意」ではないと考えられるからです。

もちろん「プライバシー権」や「個人情報の開示」に関する考え方によってはご異論があるとは思いますが、「そもそも事前の包括的な同意」がプライバシー権放棄の意思表示とはいえないのでは?といった疑問が生じてもよいでしょうし、彼女(彼氏)が訴えられた場合にどうなるか・・・、リーガルリスクはある程度考えておくべきではないかと。そもそも同意があったとしても、他人の基本的な人格権を全面的に侵害するような行為は公序良俗に反するものであるため、社会的相当性のある行為ではない・・・と行為無価値的な発想で不法行為を認定する裁判官もいらっしゃるかもしれません。そのことに触れているマスコミの報道がないのは、少し違和感を覚えました。

9月 15, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 |

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コメント

情報提供ありがとうございます。(知りませんでしたので)

1)携帯高性能情報端末が出現すれば、当然の結果として、流通すると考えるべきと思いました。
2)規制して、条件を厳しくした場合、ヤミ市場で取引され、そして、相手が知らないうちにインストールできることが、ヤミ販売者のうたい文句になったり。犯罪を構成したとしても、取り締まりは容易ではないかも知れない。
3)一方で、自分の子どもの監視をしたいと、子どもにそのような端末のインストールを希望する保護者がいるように思う。
4)自然の流れとしては、知らないうちにインストールされても、それを検知しアンインストールするソフトが、今度は販売されると予想する。
もしかして、そんなアンインストールするソフトは、元々のソフト制作販売者であったりして。

頭を悩ませますが、危険性について、多くの人が認識するようになり、その対応策も広まることが望ましいように思います。規制して、しきれない部分があると感じます。

投稿: ある経営コンサルタント | 2011年9月15日 (木) 12時10分

インストールする人間の同意があれば違法ではないと考えます。
この場合はandroid端末を使うレベルの人間の情報能力が基準とされるべきです。そのうえで、アプリの機能が公表されている以上、基本的には本人の責任です。また、体にチップを埋め込むといった行為とは異なりますので、公序良俗をいうのはナイーブです(あくまで携帯電話の情報だから、電源を切るとかインストールするアプリを選別するとか、ある程度自己管理が及ぶ)。
他人に強迫されたり、アプリの機能をよく知らずに同意した場合に、真正な同意が認められなくなるにすぎないと考えます。

「包括的同意があっても違法」なのではなく、「包括的同意が認められなければ違法」というべきです。そういう意味で、週刊朝日WEBの書きぶりは原則と例外がひっくり返っており若干ミスリードな気がします。

収集される情報の内容・範囲をより明確にすること、他人が勝手にインストールしても本人が気付ける仕様にすることなどの改善は必要だとしても、同意確認機能を何回も設ける必要まではないでしょう。

ちなみに、私ならインストールを要求された時点で、お付き合いを継続しがたい重大な事由になります。

投稿: JFK | 2011年9月15日 (木) 22時17分

いつも先生の見識あるご意見が示されている当ブログを、とても無料で読める内容ではないなと思いながら拝見させていただいております。

この問題については反響が大きいものと思料いたしますが、一つ考えたのは、先日テレビ番組でも取り上げられていた会社貸与のスマートフォンについてのログ管理との関係です。確かに会社設置や貸与のパソコンと同様に考えることも可能なのかもしれませんが、スマートフォンの場合は24時間携帯することが想定される上、勤務時間外の移動等までGPS機能により把握することが可能となるケースも考えられることなどからすると、全く同一に扱うことに疑義が生じないわけではないように思うところがあります。

上記の点からは、「個別的同意」か「包括的同意」かという議論よりは、「(自己責任の前提としての)説明」と「同意」というJFKさんのご意見になんとなく親和的に考えてしまう自分がいるのですが、こうした観点からの先生のご意見などお示しいただけるようならありがたいです。

投稿: HK | 2011年9月16日 (金) 15時05分

皆様、ご意見ありがとうございます。たいへん、勉強になりました。参考意見にさせていただきます。

あまり深入りするとまたいろんなネタが出てきそうなので、舌足らずのエントリーになりましたが、「彼氏追跡アプリ」」と銘打ってますので、ホントに包括的同意があったとしても違法性が阻却されないのでは・・・と非常に懐疑的に考えています。100%、そのような考え方が正しいとまでは申しませんが、少なくともそういった考え方も成り立ちうるはずです。
プライバシー権を自己の情報コントロール権とか決定権といった言葉で置き換えて、財産権的な意味あいで考えたとしても、やはり個人が生存するための人格権的な色彩は消えないと思います。目的が正当であるならば、同意を得た相手方も当然に取得した情報を目的に沿って利用する義務が発生しますのであらかじめ明確な範囲が決まっていればたしかに事後的に個別同意をとる必要はないでしょう。しかし、「彼氏追跡」といった目的であれば、個別の説明をして同意を得たとしてもその行為の違法性が阻却されるのでしょうか。なお、ここではあくまでも刑事問題ではなく、民事上の不法行為の成否ということで考えています。
管理されるのが嫌ならスマホの電源を落とせばよい、との考え方もありうるでしょうが、たぶんそういう方は最初から同意しない、あるいは、付き合いを継続しがたい重大な事由があるとしてつきあいを解消するはずです。問題は、それでも電源を切らない、24時間追跡されることを受忍しながらつきあう彼氏(彼女)の同意は、どういった意味を持つのか・・ということだと認識しています。

投稿: toshi | 2011年9月17日 (土) 01時49分

社内メールモニタリングと同じように、会社と社員の関係であれば一定の限界があるのは確かだと思います。

しかし、個々色々な形がある普通の男女関係となりますと、やはり違法になる場面は極めて限定的だと考えます。携帯にパスワードをかけないこと、履歴は消さないこと、携帯の中身も通話明細もいつでも見ていいものとする、という約束で付き合っている男女が居たとして、それをお願いした方の人間に一般的に不法行為が成立するとは言えないんじゃないでしょうか。精神的なDVのような極限的な関係であれば別ですが、その場合は(私の立場では)そもそも真正な同意が認められないと説明することになります。

同意はコントロール権行使の最たるものです。それをパターナリスティックに扱ってしまっては理論的な矛盾を生じるような気がいたします。

投稿: JFK | 2011年9月17日 (土) 03時08分

違法かどうかの議論はともかくとして、現実問題としてストーカーによる犯罪行為への利用や必要以上のプライバシーの監視になる以上、そもそもこういう商品を開発し、平然と発売する会社の見識を疑います。

利用目的がどのように抗弁しても、合理性を有しないように思います。もともと軍事利用技術だったGPSの悪用以外の何ものでもありません。


投稿: コンプロ | 2011年9月17日 (土) 18時45分

コンプロさんのご意見に賛意を持ちます。
昨今、法的処理をすべきではないものを、法的に当てはめたがる風潮があるのは気になるところです。
特に経済的(世間で話題になるといったレベルでの)事件においては顕著のように思います。
ホリエモンにしても、日債銀の事件にしても、法的枠組みにおいて処理しようとするから、多くの無理、矛盾が生じるわけで、取引所のソフトロー、そして投資家、アナリストといった市場関係者の倫理観などにより埋められるべきものだと思います。
そして、そのために機関投資家などによる見識ある投資姿勢、銀行などの融資姿勢といったものが、健全に保たれることが重要なのだと思っています。

カレログについても、法的に不法行為だとか、プライバシー権の侵害だとか、そういう議論も重要だとは思います(違法性の境目を決めることで経済的自由権を確保するため大切)が、基本的には市場淘汰されるべきものだと思います。
同意と同意獲得に際して必要な情報提供について十分であれば、あとは、その財・サービスを受け入れるかどうか、社会が判断すべきであって、一定の価値観(それが裁判官か、検察官か、はたまた損害賠償訴訟等の原告側弁護士か解りませんが。)による断罪はすべきではないと思います。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年9月18日 (日) 11時29分

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