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2011年9月17日 (土)

内部通報で大手製紙会社会長辞任とのこと。

本日は、プロデュース事件の株主の方々が、監査見逃し責任追及の提訴をされたこと、日本公認会計士協会のHPに「架空循環取引防止のための監査」の指針が公表されたこと、コージツのTOBが成立し会社側の今後の対応が注目されることなど、いろいろとエントリーを書きたい話題が多いのですが、内部告発ネタの備忘録としてひとつだけ。

グループ企業7社から合計84億円を借入れ、未だ50億円ほど返還されていないという大手製紙会社の創業家会長さんが「ガバナンス上よろしくない」とのことで辞任された記事が報じられております。日経ニュースでは、グループ会社社員からの「内部告発」(たぶん内部通報だと思いますが)によって、今月7日より社長が調査を開始、その後会長さんが辞任されたということですから、このたびも内部通報が発端となったようであります。ただ、たとえ内部通報が発端となったとしても、今回の結末に至るまでは、様々な葛藤があったものと推測いたします。

どうなんでしょうか、まったく親会社の中で公知の事実ではなく、本当に今回の通報で経営陣が知るところとなったのでしょうか。今後の特別調査委員会での報告内容で明らかになることを期待いたします。それにしても、先日のオリンパス事件といい、九電やらせメール事件といい、内部通報や内部告発が世間の話題となる企業事件の発端となる確率が以前と比較しても高くなってきたように思います。

9月 17, 2011 内部通報制度 |

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コメント

いつもブログ楽しみにしております。

本件、気になって有価証券報告書をみてみたのですが、平成23年3月期では関連当事者取引として開示されていました。
決算の承認取締役会はあってもわざざ有価証券報告書の提出にあたっての承認や報告はやはりなかったのでしょうか。
もしそうなら、取締役会の監督責任がありそうですよね。。。

またこの金額の取引でかつ利益相反ですから、普通の会社なら親会社決裁が必要なレベルに思えます。規程の整備不備、運用の不備、経営者の誠実性においても内部統制上も厳しいものがありますね。

一年たたないうちにこの額を必要とする使途不明金とはなんなのか、ちょっと怖いですね。。

投稿: MK | 2011年9月17日 (土) 03時36分

適時開示の内容が不可解なので有報の関連当事者の取引を確認してみました。
2010年3月末には特に記載はありません。2011年3月末には会長本人への貸付が23億円、会長の個人会社と思われる企業への貸付が17億円記載されていますので、「他の役員の知らないところで、会長が勝手にやった」とは言えない状況に思えます。

投稿: ty | 2011年9月17日 (土) 10時33分

今回の報道の「内部通報で発覚」の意味がよく分かりません。
自分たちで2011年3月期の有報で開示しているのに、何が発覚したのか。
「オーナー企業だったため、不正を見抜ける人材がいなかった」と社長は言うものの、借入だけであれば特に不正ではないでしょう。
(不正だとしても「内部通報で発覚」したのであれば見抜ける人材がいたわけですが。)
80億円借り入れて、30億円返済し、50億円の株式(担保?)を提供しているとのことですので、返済能力があったと考えられますから、有報にある通り「市場金利を勘案して利率を合理的に決定してい(る)」のであれば何も問題無いでしょう。
確かに、「子会社7社の側も、取締役会の決議や貸借契約書など必要な手続きを踏まずに多額の資金を貸し出していたケースが多数発覚」というのは内部統制上問題ですが、それは会社の問題であって井高会長の問題ではないと思います。
社長は「特別背任容疑での刑事告訴も検討する」と息巻いているようですが、隠された裏事情があるのか(資金用途も「今は言えない」そうですし)、ただの内部抗争か分かりませんが、いずれにしろ現段階では大騒ぎする根拠があるように思えないため不可解です。

投稿: I_Takaki | 2011年9月17日 (土) 10時47分

妙に腰の引けた報道に留まっている(笑)日経に対して、朝日新聞はその辺の事情をかなり詳しく書いております。どうやらもう話にならないほどの酷い公私混同(会社のカネは俺のカネ?)があったようで、逆らいたくもないオーナー家の不正に、役員たちも「仕方なく」こわごわと対応していく決意をされたということ、かと。

投稿: 機野 | 2011年9月18日 (日) 17時52分

皆様のおっしゃるとおりですね。私も有報の関連当事者取引の欄をみましたが、少なくとも2011年3月までに23億5000万円の短期貸付金があります。開示担当者と監査人は、この半端な金額ではない貸付金の存在を知っていたことになります。内部通報より先に、この貸付金の中身がどのようなものなのか、確認はされなかったのでしょうか?
いくらオーナ-企業だといっても、非常勤社外監査役の3名の方々は、ガバナンスの健全性を確保するにふさわしい(少なくとも外観的には)方々ばかりですから、ちょっと言い訳にはならないようにも思えます。あと、6月に社長から会長さんに異動がありますが、これは今回の件とは関係ないのでしょうか?
もう少し、いろいろと調べてみます。

投稿: toshi | 2011年9月19日 (月) 01時19分

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