SMBC日興証券執行役員のインサイダー疑惑
10月6日の日経新聞ニュースによりますと、SMBC日興証券の社員(執行役員)が、今年2月、エノテカ社のMBOに関する情報を、公表前に知人金融会社役員に伝え、当該金融会社役員がエノテカ株式を購入、公表後に売却したとして、当該金融会社役員とともにインサイダー疑惑で強制捜査の対象となっているとのこと。ちなみに日興さんは公開買付代理人として関与していたものです。
SESCさんが、すべてのインサイダー事件を摘発できるかどうかは別にして、リスク・アプローチによる調査手法からすれば、賛同意見表明型のMBO事案(関係者が未公表情報を共有する範囲が広い)、しかも株主から相当に批判の出た事案(上場から廃止までの期間が非常に短い)において、疑惑の値動きが調査の対象になることはむしろ当然のことではないかと思われます(元々、取引所の審査にひっかかったのか、SESC独自の調査によるのかはわかりませんが)。
気になるのは、日興証券側のチャイニーズウォールですが、上記の日経ニュースによると、疑惑の執行役員さんは投資銀行部門を統括されておられるようですから、もともとM&A事案については情報が集約されてくる立場にあるのでしょうね。したがってneed to knowのルールが破られた、というわけではないようです。(チャイニーズウォールが機能しなかった、とすれば一大事ですね(^^; )ただ2009年ころから、当該金融会社役員の方が未公表情報によって売買を繰り返していた、と報じられているところは気になりますが。。。
他の案件の主幹事証券たる地位に影響する等、証券会社の場合は、単なる個人の犯罪では済まないと思いますので、今後のSESCさんの調査が気になるところです。そういえば、特別調査案件といえば、3が月前ころに、あの経産省幹部のインサイダー疑惑がありましたが、その後、どうなったんでしょうね。西友インサイダー事件のように、結構「落としどころ」がしんどい状況になっているのでしょうかね?
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コメント
東証主催のインサイダー取引(防止)に関する研修会に行ったことがありますが、「すごい」です。「そこまで調べるのか?」という感じです。しかも、研修(講習)用資料は会社事例が「実名=本当の社名」で書かれていて驚きます。だから(ゆえに)本当に「迫力」というか臨場感というか、具体的に驚き、その追求する力に驚くのです。ホント、あの講習会に行けば「ヘタなことはできないな」と、妙に「神妙な?」気持にになるほどです(笑)。それほど「スゴイ調査体制、調査能力」です。なお、同講習会はとき折開催されていますので、読者の皆さんも行ってみることをお薦めします。
投稿: 伊藤晋 | 2011年10月 9日 (日) 01時02分
伊藤さん、コメントありがとうございます。
毎年、東京や大阪で複数回行われますが、今年は震災の関係で1回だけだったように記憶しています。結果として「大儲け」した人については、かなり厳格な調査をされているのは事実ですね。でも、なかなか減らない犯罪のひとつだと認識しています。
投稿: toshi | 2011年10月14日 (金) 01時37分