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2011年10月 4日 (火)

セミナーのお知らせ(東京開催)-取締役会と役員が知るべきリスクマネジメント

迷える会計士さんから教えていただきましたが、「日経ビジネス」WEBサイトにて、このたびの大王製紙さんの元会長辞任問題に関する記事を読みました(時事深層-大王製紙にみる企業の不統治)。従来から、元会長さんへの貸付金84億円の使い道については週刊誌ネタにもなっており、世間の興味もそちらに集まるものとは思いますが、当ブログでも以前から関心を寄せております「ガバナンス不全」に視点を置いた記事は初めてではないでしょうか。ちなみに、「元関係会社社員」さんがコメントで書かれていたとおり、この会社のガバナンスは「2代目創業家さん」その方自身であり、3代目の元会長さんが辞任されたのも、この2代目の方の絶大なる権限に基づく・・・というのが、結構真相に近いのではないかと推測しております。

この大王製紙さんのガバナンスを論じる場合にも、注意が必要なのは「子会社の利益相反取引」について、どれだけ親会社役員が目を光らせることができるのか?子会社にも役員がいるのだから、その子会社役員さん方のガバナンスを信頼していれば親会社役員は非難されなくても良いのではないか?といった問題であります。以下は、かりに会社に損害が発生した場合、という前提での話になりますが、私は基本的には子会社のガバナンスに信頼を置くことは妥当であるが、「異常な兆候」について、親会社役員が通常の職務執行をしていれば気が付くほどの「外観」を呈している場合に、見逃しに関する法的責任が問われるものと考えております。そして、(以前も書きましたが)2011年3月期の有価証券報告書に注記された関連会社の取引状況のところに「短期貸付金」として、関連会社から元会長さんに23億ほどの貸付金が存在することが、この「異常な兆候」にあたるかどうか・・・が問題になるものと考えています。

さて、上記日経ビジネスさんの記事にもあるように、「創業家オーナーの上場企業のガバナンス」という理由で、本件を片付けてしまうと思考停止に陥ってしまうと思います。たとえば社外役員を例にとるならば、業界や各企業の経営環境は常に同じではなく、いろんな局面に立たされますので、その経営環境と同時に変化する社内リスクを正確に読み取る才能(もしくは努力)が必要ではないかと。恥ずかしながら、私も監査役として、法律の専門家であるにもかかわらず、この局面の変化に伴うリーガルリスクを認識できず、失態を演じてしまったことが過去にございます。これは会社にとっても大きな損失であります。普段は経営陣と信頼関係を築き、重要なビジネス情報が常に入る体制を整えておく必要があります。しかし、いざリスクを認識した場合には、これを気兼ねなく役員会で述べる必要があります。ただ、ふだん経営陣と仲よくしていればいるほど、このリスク認識の意識が希薄となり、肝心なときにボーっとしてしまうのであります。

業績が良いときのリスク管理(予防措置)、リスクが顕在化したときの火消し(クライシスマネジメント)については、毎度申し上げるとおり、お金を出せばよいコンサルタントは見つかります。いわば「お金で買えるリスクマネジメント」。しかしリスクの早期認識(早期発見措置)はどんなにお金を積んでも買えません。役員の方々のリスク感覚が試されるところであり、企業に大損害が発生するか、何事もなく事態を収拾させることができるかの分水嶺となります。たとえばM&Aで買収した老舗企業A社の代表者は反社会的勢力との「密接関連者」である、とのA社社員による内部通報があったが、真偽不明という場合、あなたが担当役員ならどのような対応をしますか?あなたご自身のリーガルリスクがこわいですか?それとも会社のレピュテーションリスクがこわいですか?

今回、BDTI(公益社団法人会社役員育成機構)におきまして、トーマツさんと一緒に、取締役、会社役員が知るべきリスクマネジメントに関する講演をさせていただくことになりました(10月28日午後3時半より、場所はトムソンロイターさんの赤坂オフィス・セミナールームです。ご案内はごちらでございます)。「お金で買えない価値」については私が、そして「お金で買える価値」(?)についてはトーマツさんがご紹介したいと思います。

また、昨日ご紹介したドッド・フランク法922条とも関連しますが、近時FCPAや海外での賄賂規制法の執行事例が増えていることから、BDTIさん主催の「グローバルな腐敗防止法の波:会社役員が知っておくべきこと」なるセミナーが開催されます(これ、私自身が、いま一番聴講したい話題であります。詳しいご紹介はこちらです)。ホント、みなさんどうされます?カルテルなら、なんとか内部統制によって未然防止も可能でしょうし、そのために真剣に対応しておられるところも多いかと。しかし、外国公務員(もしくは公務員らしき人)への利益供与って、本気で防止できますか?連日、新聞では日本企業の海外展開、M&Aの活発化が報じられるなか、御社だけは絶対にクリーンな交渉で闘えますか?もとより違法行為を勧めることは絶対にございませんが、リスクを承知でグレーゾーンへ飛び込むのと、リスク自体を知らずに飛び込むのとでは、企業の損失に大きな差が生じることは間違いないわけでして、そのあたり、どのようなリスクがあるのか、ご認識いただく良い機会になるのではないかと思います。

どうか上記セミナーにご興味、ご関心がございましたら、ぜひお越しくださいませ<m(__)m>。

10月 4, 2011 未完成にひとしいエントリー記事 |

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