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2011年11月 2日 (水)

日本は不祥事が発覚しやすい社会になったのだろうか?

大王製紙社のガバナンスが論じられるときは「創業家に対する絶対服従の企業風土」という言葉が語られるわけですが、オリンパス社のガバナンスの場合には、「業績の飛躍的向上という輝かしい偉業を成し遂げたK元会長への畏敬」という言葉になるのでしょうか?つまり、K氏の目利きの良さは、過去の成功例からみたら反論の仕様がない、だからその行動(リスクテイク)は適正なものと判断できる、というところかと。よく子会社トップの不祥事が語られるとき、「彼は常に子会社の業績を向上させていたので、だれもが素晴らしい実力の持ち主だと思っていた。まさか、粉飾していたとは・・・」と親会社役員が感想を述べることがありますが、これに近いものかもしれませんね。

オリンパス事件につきましては、現時点で「過去の企業買収に問題があった」と断定することはできませんが、注目の「第三者委員会の設置」も決まりましたので、今後は不透明な買収の経過が明らかになるものと予想されます。

ところで、このようにオリンパス騒動が大きな事件となったのは、もちろん元社長であるウッドフォード氏による告発が契機であることは明らかであります。では、もし元社長による海外メディアへの内部告発がなければ、オリンパス社はいまでも安泰としていられたのでしょうか?

たしかに会員制経済誌による一連の社内事情の暴露があり、元社長も当誌の記事をもとに調査に乗り出したそうですから、たとえ元社長による内部告発がなくても、「ゆくゆくは」経済誌のスクープによってオリンパス騒動が勃発していたのではないか、ともいえそうであります。

ただ、オリンパス騒動に関する日本のマスコミの初期対応がどうも気になりました。私は過去におきまして、一般経済誌の記者の方の(日本を代表する某会社の経営陣に関する)不祥事スクープに関与したことがありました。もちろん、ネット上にも大きく報じられたのでありますが、私のドキドキワクワクした気持ちとは裏腹に、日本の大手新聞社は全く後追い記事を掲載することもなく、ただの一発記事で終わってしまいました。内部告発モノですから、会社側が反論すれば、いくらでも再反論の用意はあったのですが。。。今回の件につきましても、FACTA誌の開示した情報を、大手のマスコミがどこまで追随して報じるか・・・といいますと、なにか発端となる事件でも発生しない限り、あまり期待できなかったのではないかと思います。

あの有名なダスキン事件のときは、たしか(ダスキン社が違法添加物入りのぶたまんを売り切ってしまったことに関する)口止め料を過去に受領した某氏が、またダスキン社にやってきて、今度は会社側が口止め料支払を拒否したところ、その数日後に大手新聞社からの問い合わせがあったものと記憶しています。

ネット掲示板や動画サイトが普及し、またブログやツイッターなどが内部告発を助長する手段となりましたが、それらは企業不祥事発覚の端緒にはなりえても、起爆剤がなければ大きな不祥事ネタにはならない。やはり世間で注目されるためには大手マスコミの力が今も大きいのではないでしょうか。

今回のオリンパスの件も、告発をしたのが従業員ではなく社長であったこと、海外メディアが内部告発を真剣に取り上げて海外の行政当局も興味を示したことなどが起爆剤となって、日本のマスコミに火が点いたように思います。つまり大手のマスコミ先行型の報道であれば格別、そうでないケースでは、この「起爆剤」がなければ、現代においても企業不祥事が大きく報じられることはむずかしいのでは・・・といった印象を持っております。よく「昔と違って不祥事は隠しきれない時代になった。だから自浄能力を発揮して、自ら進んで公表しましょう」と言いますが、いざ内部告発者を支援する立場に立ってみると、(良い悪いは別としまして)いまでも企業側が「火消し」に成功する機会も結構あるような気がしています。

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コメント

確かO社さんは内部告発した社員を左遷したかしないかで、最高裁まで争っているのではなかったでしょうか?
何を告発したのか詳しく存じ上げませんが、明らかにK元会長の経営に不満を抱く人は他にもいたということになりませんでしょうか?
私はその件(まだクロと決まったわけではないことになっていますが)と今回の件をリンクさせる人が少ないことにちょっと疑問があります。
モノ言えば左遷???

また、総理はフィナンシャルタイムズに本件のドタバタと日本のコーポレートガバナンス全体についてコメントする記事が出ていました。

WSJでも、独自に取材して、O社が買収した日本の「ベンチャー」3社が実は休眠会社ではないか、という記事を紹介しています。
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203707504577009732090310206.html?mod=business_newsreel
題名 Olympus Targets Had Scant Histories
(記者は日本人の様ですが)
ちなみにこの記事の読者のコメント欄には、反社が絡んでいるとか、日本は信用できないと言ったネガティブなものが多かった。
謄本や帝国データバンク、東京商工リサーチ他の調査で実態があやしいと言っています(この程度でバレる?薄っぺらいスキームなのかとも思いますが・・。)

ネット社会になってマスコミ自身のコンフリがマスコミの業績を更に悪化させる悪循環になっていると思っています。私も客観的に日本で起こったことを見るには旧来の一般紙やTVニュース以外の報道を信用するようになりました。あっちの人は利害関係が少ないですから(誇張も多いけど)。

投稿: katsu | 2011年11月 2日 (水) 09時02分

「オリンパス第三者委員会はいらない」
http://facta.co.jp/blog/archives/20111102001030.html

以前コメントした通り、同意見です。

投稿: 迷える会計士 | 2011年11月 2日 (水) 10時58分

今のマスコミには期待していません。
下世話な話題や政治家達の言動の揚げ足とりに終始しているようで、失礼ながらポリシーも何もないのではないかと。
日本の事件についても他国の報道を見た方が本質がわかるように思います。
本題に戻って、社内不祥事は発覚しやすくなったかどうかですが、
世間で言われるほどに社内不祥事が発覚しやすくなったとは言い難いのではないかと感じています。

誰でも首になったり左遷されたりするのはいやですから、経営陣のやることは見てみぬ振りをするという心情もわかります。
ホットラインなるものも、どういうわけか誰が通報したか判ってしまうというのが実情のようです。
勿論、経営者から一般社員まで高いリーガルマインドを持った会社も沢山あって、そういう会社さんは別ですが、大方の会社では、経営陣も一般社員も社内不祥事はできるだけ隠し通したいという潜在意識が強くて、一部の正義感の強い人は握りつぶされてしまうんでしょうね。

そうなると、利害関係が少ない社外役員に期待するしかないわけですが、月1回程度役員会に顔を出す社外監査役や社外取締役ではどろどろとした内情や人間関係まで見抜くのは至難の業でしょう。社外役員にはせめて週1~2回は会社に顔を出して形式的でなく実質的に取締役の業務執行やコーポレートガバナンス、コンプライアンスの状況把握と問題指摘に努めてもらいたいものです。

投稿: Chuck | 2011年11月 2日 (水) 12時30分

マスコミ批判(を受けてのマスコミの衆愚化)や過度の政党批判の
そのずっっっと延長線上に、かつて軍部の台頭を招き国を滅ぼした時代の
再来がないかどうか。

全然違う話ですし、日本の(既存)マスコミに深刻な問題があることは
確かですが、それでも一言、敢えて釘を刺さずにはいられませんでした。

投稿: 機野 | 2011年11月 2日 (水) 23時25分

機野さんのご指摘は、歴史の認識、反省を共有する意味においては重要ですが、現実的にはないと思っています。
理由は、日本には良くも悪くも「軍隊」が存在しないからです。

昔から俗にいう左翼方面からは自衛隊を軍隊として、批判をしてきましたし、警戒していました。一昔前、二昔前までは、その懸念は多少なりともあったかと思います。
しかし、今や、日本が右傾化しようが、ナショナリズムが高揚しようが、暴発するにもその手段を持たなくなっています。

自衛隊は、軍隊ではありません。
戦車をもって、戦闘機をもって、軍艦を持っていようと、それを運営する軍人がいません。戦争は巨大がシステム対システムの戦いです。今の自衛官のなかで、そのような経験を有する者がいましょうか?また、自衛官自体が「一就職先」と化しているので、命を投げ出すような行為に加わるでしょうか?

ですので、仮に自衛隊が2.29事件や5.15事件のようなことを起こして、軍国化したとしても、張り子の虎であって、経済封鎖で動かない、動いたとしても運営できる能力がない、といったところです。

むしろ現実的なのは、このまま「没落貴族」の道を歩むことかと思います。
過日の繁栄の栄光を懐かしみ、世間が悪い、自分は悪くないと毒づきつつも、自分は変化することができず、世間(世界)からは忘れ去られていく。世間の耳目を集めるのは、さみしく亡くなった後のみ。
このような経過を遂げるのかと最近では半ば諦めていて、外国移住を本気で考えています。

全然、本題と関係なかったですね。失礼しました。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年11月 3日 (木) 09時18分

機野さんのコメントは、軍の台頭に限った趣旨ではなく、ジャーナリズムの喪失により国民が政府を監視する手段を失ってしまうことのレトリックかと思います。
ツイッター等のソーシャルメディアがあるとはいえ、私のような一般市民の言論はゴミばかりですから、組織的な取材力とある意味での権威が備わったマスコミの言論はこれからも重要であることに間違いはありません。
なので、そのマスコミの問題点を指摘していく必要があるとしても、マスコミという手段の重要性を踏まえた建設的なものであるべきです。

一時的にせよ外国に逃げた人は、歴史、四季が織り成す様々な文化、隅々まで行きわたったインフラ、意思さえあればそれなりの教育を受け研究ができる等々、色々な面で日本の良さを再認識するとよく言います。私は、日本に居ながらにしても、日本はそれなりの税を支払って暮らす価値のある国だと最近思うようになりました。もちろん、腐った部分に対しては行動していく必要がありますが。

投稿: JFK | 2011年11月 3日 (木) 15時04分

お二方さま、ありがとうございます。

私の「懸念」がただの懸念、思い過ごしで終わるのなら、それは幸いなことであります。

マスコミというのは叩けば叩くほど、内に籠もっていくんですよね。なかなか素直に反省したりはしない。友人に新聞記者がいますが、人間としては素晴らしいし有能な記者だと思うのですが、やはり本能的に謙虚になりきれないところがあるように感じます。

そもそもマスコミ、というか、「新聞社を経営している企業」「テレビ局を経営している企業体」というものに、社内の不祥事を自らオープンにする機能は備わっていないようです。

さりとて、です。マスコミを叩けばハッピー♪(笑)みたいな風潮は、健全だとも思えないのです。

投稿: 機野 | 2011年11月 3日 (木) 20時02分

企業不祥事を早期に発見するには、 法制度や会社の組織論だけでは十分でなく マルチディメンジョナルなアプローチが必要でしょう。その意味からは、メディアも重要なプレーヤーの一つと認識すべきです。

今回、第三者委員会の調査対象に加えるべきと前社長が主張している別の不明朗なM&Aについて、経済誌『金融ビジネス』が報道したのが昨年夏のようです。(『ZAITEN』12月号)
前社長の内部告発から2週間以上がたち、やっとNHKあたりも報道するようになりましたね。NHKのニュースによると、09年の第三者委員会は1週間程度しか調査期間がなかったようで(それで報告書を出すんですか!)、監査役会の「違法性はない」との結論もこんな報告書に依拠したんですか!。
こちらの責任も追及してほしいものです。

問題のM&Aが行われた時期には社外取締役を導入し、形の上ではガバナンスが充実していたのも皮肉なものです。社外取締役の中には、ノーベル賞を受賞した経済学者という大物もいたと報じられています。
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_336333

オリンパスはこのような、表面的に形式を整えればよかれといった企業風土の改善なくして、再生はあり得ません。

投稿: 迷える会計士 | 2011年11月 3日 (木) 20時33分

皆様、コメントありがとうございます 勉強になりました。

ZAITENの12月号、迷える会計士さんならおわかりのとおり、ブログネタ満載です。広告が出ていました「TOB阻止完全マニュアル」は早速予約しました。

投稿: toshi | 2011年11月 4日 (金) 01時48分

今、nhkニュースの内容を知りましたが、
事実としたら、私もかなり問題かと。
これは名ばかり第三者委員会ではないかと。

投稿: toshi | 2011年11月 4日 (金) 13時35分

インタビュー:オリンパス<7733.T>第三者委、徹底調査できるか疑問=企業統治問題の専門家・大楠氏
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK065447820111104

その時々で都合よく法律を解釈していると(という疑念が個人的には晴れない)、こういう時に透明制度のある解釈が出来るのか、問われますね。

万が一、不正→粉飾決算となればホリエモンより重罪でしかるべき。

また委員会のメンバーは判事とかばかりでM&Aに精通しているとは言い難いという記事の指摘は当たっている。委員会が株主目線なのか、法律目線なのかという点でもこれは非常に意義深い。株主側が人選に異議を申し立ててもいいと思いますが。

手続きは正しくとも、経営判断が杜撰でした、というオチでも経営責任は問われるべきだと思いますが…。

投稿: katsu | 2011年11月 4日 (金) 16時28分

いつも楽しくブログを拝見させていただいております。上記でkatsuさんがご紹介された記事で気になる箇所がございましたので、少しコメントさせていただきたいと思っております。どうかお許しください。以下の通りでございます。また、『』内は引用となっております。

『──第三者委にはどのような調査を期待するか。
「問題視されているM&Aに実際かかわった人や、ファイナンシャル・アドバイザーなど、すべての関係者に調査をしないと意味がない。例えば、なぜ(英医療機器メーカーのジャイラス買収時に)こんなに多額のM&Aアドバイザリー手数料が支払われたのだろうか。おかしいと思う」
「(ジャイラス)買収後に多額の減損処理を行い、アドバイザーに支払われた手数料は資産計上された。通常、手数料は費用計上しないといけないはずだが、今回は買った会社の資産に計上し、ロスとして出していない。おかしいのではないか。積極的にそのように粉飾したのであれば、有価証券報告書の虚偽記載(金融商品取引法違反)の疑いが浮上するだろう」
 ──オリンパス側はすべて適切な処理をしたと主張しているが、最終的に違法性が確認された場合はどういう展開が予想されるか。
「(違法性が確認された場合は)オリンパスの現在の取締役会は、案件にかかわった元取締役らを刑事告訴すべきだろう。これは、会社法違反(特別背任)や、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の恐れもあり、オリンパスの株式は上場廃止の恐れもあるくらい大きな問題だ。一連の会計処理を認めた監査法人にも責任が問われるだろう。問題は本当に根深く大きい。開示された財務情報を信じ投資をした株主は、損害を受ける。当然、株主代表訴訟になるだろう」』(出所http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK065447820111104)


記事では、手数料の資産計上を問題にされております。確かに手数料は、費用処理されることが原則だと考えられますが、下記のような特別な規定がございます。


⇒『48. 企業結合に直接要した支出額のうち、取得の対価性が認められるものは取得原価に含め、それ以外の支出額は発生時の事業年度の費用として処理するとされている(企業結合会計基準第26 項)。取得原価に含める支出額とは、次の(1)及び(2)を満たしたものをいう。
(1) 企業結合に直接要した支出額
企業結合を成立させるために取得企業が外部のアドバイザー(例えば投資銀行のコンサルタント、弁護士、公認会計士、不動産鑑定士等の専門家)に支払った交渉や株式の交換比率の算定に係る特定の報酬・手数料等をいう。社内の人件費(例えば社内のプロジェクト・チームの人員に係る人件費)等は、これに含まれない。
(2) 取得の対価性が認められるもの
 (省略) 』(出所「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」)

記事上の手数料は、適用指針上の外部アドバイザーに対する報酬・手数料等に該当するものと考えられます。それゆえ、会計処理につきまして、GAAPに従っているのではと判断できますが、いかがなものでございますでしょうか。

投稿: cpa-music | 2011年11月 4日 (金) 20時51分

全く専門ではありませんが外野から失礼します。
上記規範を文理解釈すれば、「直接性」を満たさないように思います。
交渉や比率算定の手数料は、実行に不可避なコストの意味ではないでしょうか。仮に手数料が過大であると認定された場合はどうなるのか。それでも手数料は手数料だと言い切ることが可能なのか。そこが問題かと思います。実際どうなんでしょうね。

投稿: JFK | 2011年11月 5日 (土) 00時04分

会計処理は正解です。
しかし、手数料の額としては誰がみてもべらぼうに高い。

誰でも不正を疑うと思います。

ただし、立証はとても難しいです。
かつ、相当程度に黒であると心証形成できないと監査人としても不適正や意見差し控えはO社ほどに社会的影響の大きい会社については難しいです。怪しいといって間違ったらそれはそれで莫大な金額の訴訟を受けてお仕舞いです。

二者間で取引した訳ですから理屈上当事者が納得すれば成立した価格が当事者にとっての価値な訳ですよね。

企業そのものの取得の対価だって、当事者のパワーバランスやその時の経済状況によって如何様にも変わります。足元みられて安かったり高かったりするわけです。

FAアドバイザーが算定した企業価値が3000億だったとして、それ自体どの評価方法を採用するか、あるいは資本コストや類似会社をどう取るか、成長率をどうするかでいくらでも変わります。しかも実際のディールはそんな価格では決まらないわけです。

価格や手数料自体の水準+支払先や対価支払スキームから本件は怪しい点が盛りだくさんですが、では高いから、怪しいからといってそれをどう立証していけばいいかというと、公的権力による捜査権や司法権がないと実質不可能なんじゃないでしょうか。本人が自白しないかぎり・・

事業計画上の売上成長率が異常に高い点も、通常の独立系会社ならそうでしょうけど、O社グループの販路等のインフラがあったり展開方法如何では100%ありえないともいえないですよね。

まぁ、怪しいんですが。
真相を探る記事や批判が多く、自分が当事者(社外取締役、監査役)だったらどう判断するか的な記事や意見が少ないので。皆さんならどうされますか?

あと、日本の会計処理とちょっと外れますが、米国だと減損テストは任意の日に年1回です。収益の著しい悪化等前提が変われば減損を疑いますが、せめて1年は様子みるわけです。そういう意味で取得の翌期に減損させたのは非常に苦しい判断だったように思います。

投稿: M | 2011年11月 5日 (土) 02時18分

ジャイラス社については全く分かりませんが、国内3社の買収について一言。伝聞によると、事業価値の評価をDCF法のみで行い、その価格は下回っていることが正当性の根拠とのことですが、これは本当なのでしょうか。
DCF法では、割引率その他の数値を数%も動かすと、結果としては相当大きく動きます。結果だけで言うのはアンフェアだとしても、売り上げがの伸び率が非常に大きく設定され、さらに実際には大きな乖離があった今回のケースに唯一の算定方法として採用されたとすると、その正当性を主張するのは困難ではないのでしょうか。

最も、この評価を出した会社はどこなんでしょうか。御用聞きとして便利な会社として評価がされるでしょうし、杜撰な事業価値の算定する会社としても名が売れそうです。

投稿: 博多ぽんこつラーメン | 2011年11月 5日 (土) 23時09分

会計ニュース・コレクターさんが重要な記事を紹介されていますね。
http://ivory.ap.teacup.com/kaikeinews/

投稿: 迷える会計士 | 2011年11月 6日 (日) 09時26分

議論が尽きませんが、処理の合法性の観点とビジネスジャッジメントルールの観点と、いまや日本株式会社のコーポレートガバナンス全体の観点と、まるで資本市場版小沢一郎問題の様相を呈してきた感がありますね。

いまやK会長他オリンパスの取締役会の、最後の一線は刑事罰がない点を立証することぐらいなのでしょうか?
いまさら、投資判断がへたくそだったことを弁明しょうがない。

だから第三者委員のメンバーがそっちに偏重したのかなあ。

どっちに転んでも、投資家としても、まじめにコンプライアンスに取り組んでいらっしゃる会社さんのためにも、世間のグレーなイメージをすっきりさせる透明性のある答申を望みたいものです。

投稿: gonchan | 2011年11月 6日 (日) 16時43分

確かにDCF だけでは不十分ですね。
そう思います。

ただ、非上場の零細企業だと、類似会社の選定は難しく、将来の収益力を買うとするならば時価あるいは簿価純資産を用いるのもふさわしくないかもしれません。

あと、評価書はあくまでマネジメントの意思決定の参考にする、あるいは売り手との交渉材料に使うものです。かつ、評価の前提となる事業計画を評価者がいじることはすくないとおもわれます。ある程度ストレスはかけますが。かつ、その事業計画を使用することを含め、評価書には前提が事細かにかかれています。本件もそのあたりは当然にマネジメントは承知していたはずで、評価書が問題なのではなく、わかっていてなぜその価格で取引をしたかったのか、と結局マネジメントの動機や目的を早く解明して欲しいですね。

投稿: M | 2011年11月 6日 (日) 18時35分

以前のコメントはボール球でしたので、エントリーに合わせたコメントをさせていただきます。

今回の問題で、会計的な問題になるとすれば、A.取引当初の計上方法、B.取引後の決算処理(減損テスト)、の二点になるかと思います。

うち、A.については、M&Aの対価、外部委託先への報酬、ともに会計処理自体は適切なのだと思います。ですので、実は、有価証券報告書の虚偽記載だとかいうことには発展しないと、私自身では思っています。
この場合、重要な前提条件として「但し、その対価に見合うだけの取引が実在するならば」ということになるかと思います。
この点で、第三者委員会の選定としては、ロイター記事の指摘のとおり、M&Aの専門家である人選がされていない点で、不十分だと判断しています。

また、B.については、会計監査人の意見がポイントになるかと思います。そして会計監査人に対する監査対応が誠実かつ適切であったか、が問題であると同時に、迷える会計士さんがご紹介されているブログで引用されているロイター英語版の記事の点が事実とすれば、適時開示の問題にもなるかと思います。
こちらについては、M&Aの専門家である人選ではなくとも、一般の企業法務、企業会計が理解できれば充分ですので、第三者委員会の選定としては、問題ないかと思います。

しかしながら、市場での問題意識は圧倒的にA.の問題でありますので、社会の要請にこたえるべきコンプライアンスの観点からすれば、不十分であるとの結論にならざるを得ないでしょう。

また、A.が主要論点とすれば、企業投資に当たっての企業価値判定プロセス全体を検証することになるわけですので、とてもではないが1週間やそこらで終わるはずもなく(資料読みだけでも不可能でしょう。)、前回の第三者委員会は(報道が真実なれば)Toshi先生ご指摘の通り「名ばかり第三者委員会」となるでしょう。
09年といえば、すでに第三者委員会に対する問題意識も芽生えている時期でもあり、もし弁護士が参加しているのであれば、懲戒請求を受ける可能性も否定できず、その時には弁護士会も苦悩するのではないかと思われます。

しかし、どのような制度でも、それを潜り抜けようとする勢力はあるものですので、その制度を悪用ないし濫用するような場合には、毅然とした対応をしなければ、制度自体が守れないでしょう。
このたびの事件(あえてこのように表記します。)の対応如何で、第三者委員会への弁護士会の本気度が図れるかと思います。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年11月 8日 (火) 00時03分

ロイターの報道を会社も認めました。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120111108041438.pdf

FACTAさん、ローターさんの見事な勝利!

投稿: 迷える会計士 | 2011年11月 8日 (火) 09時25分

連投失礼します。
本日のO社の会見で、大事件に発展してきました。

個人的にはライブドア事件、日興証券事件との比較対照で、東京証券取引所がどのような判断を下すか、興味は一点に絞られています。

自白したこと、巨額なこと、過去の第三者委員会が機能していなかったことで、おそらくは企業としてのO社は絶望的な状況(破たんするとまでは思いませんが。)になるでしょうから、もはや他社の草刈り場になるしかないので、興味を持てなくなっています。

個人的に残念なことは、今般の引き金が外国人(ウッドフォード氏)が契機になっていることです。日本企業の自浄能力がないとの印象を強く海外に発信してしまいました。

投稿: 場末のコンプライアンス | 2011年11月 8日 (火) 15時47分

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